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コーギーとお昼寝

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減っていく思い出

「筑西、何開いてるんだ?」
「・・・・・・桜川が病院はうちで作らないって」
よく見ると書類のマークは筑西ではなく桜川のもので、桜川から届いた書類であることは明確だった。
今でこそ地域史と言う表舞台から消えてはいるが、現在もまだ生きているのでまだ若い筑西の為に仕事の面倒ぐらいは見ている。
「ああ、中核病院の一件か」
話は平成の大合併の頃にさかのぼる。
旧下館市と旧岩瀬町には市営の病院があったが、平成の大合併で下館市は筑西となり岩瀬町は桜川市となったので隣同士となった。
そこで二つの病院を統合して県西地域の医療の中心となる中核病院を作ろうと言う話が持ち上がった。
俺も含めて筑西市は作るほうに完全に賛成し、候補地も用意した。
しかし桜川のほうでは「桜川だけでなく筑西に候補地があるのでお金を出す必要はないのではないか」と言う理由で議会が紛糾し、市は作ることを諦めた。
「その正式な通知か」
「はい、だからどうしようかと」
「・・・・・・県と国に金だして貰えないかこっそり聞いとけ」
軽く深呼吸をする。
筑西が頷いてからパタパタと走り出すのを見送りつつ、窓の外の晴天を見る。
(少しづつ減っていくなぁ・・・・)
下館市が存在した頃のものが減っていく。
それは時間の流れだとしても、ほんの少しさびしかった。





おわり





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