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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

友情の外側

「あの人、ほんと最後まで私になんにも言わないで逝っちゃったわよね」
姐さんがぽつりとシードルを飲みながらつぶやく。
平尾さんのドラマを2人で見ながらあの頃を思い出せば、そう言いたくなる気持ちもわかる。
「姐さんも聞いて無かったんか」
「今にして思えば私に言ってしまえばあなたにも伝わってしまうと思ったんでしょうね」
「……俺らに言うてくれても良かったのになあ」
人とは違う時間を生きる自分と姐さんは人を見送ることには慣れていた。
それにあの人には信頼されていたと俺も姐さんも思っていたんだろう、そうでなければずっとうちのチームに関わり続けるようなことはないと信じていた。
「本当よね。まああの人からすれば人間じゃない私やスティーラーズに伝えたら空気が変わるとでも思ったんじゃない?」
「あの人の発想やなあ」
こんな事今言ったところで本人からの返事はない。
だから愚痴ばかり漏らしながらドラマのあの人によく似た姿を見つめるしかできないのだ。



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スティーラーズと神戸ネキ。 スペシャルドラマ「友情」見ました……?

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あの子が休みを取るという

『八幡さん、11月の12日休みにしていいですか?』
電話越しに光が申し訳なさそうにそう聞いてきた。
「別にいいですけど職員にもちゃんと伝えておいてくださいね」
人間ではない私たちにも有休や福利厚生などの一般社員同等の権利が与えられているので休みを取ることは別に悪ではない(鹿島のように有休日数を無視する場合は別)が、
生来真面目であまり有休を取らない光が申請してくるのは珍しい。
『所長や職員さんはむしろ取りなって勧めてくれたので大丈夫です』
「そうですか。ところで12日って何かありましたっけ?」
わざわざ光に有休を取るように勧めて来る理由が思いつかずに尋ねると、光は『確認してないんですね』とつぶやいた。
『社会人野球の日本選手権ですよ、うちの野球部が30年ぶりに出るんです』
「あ」
言われてみれば納得の理由である。
私たち全員で共有している業務予定を記したウェブページを開いてみると君津と鹿島の野球部も出場する旨が記載されている。
『八幡さん本当に興味薄いですよね』
「自分のところの部活たちはさすがに覚えるようにしてますけど、他の製鉄所の部活まで覚えてられるわけないでしょう」
『……ほんとですか?』
それなりに大事にしてきたつもりだが、時折光や君津や堺からそういう疑いを向けられるのははなはだ遺憾としか言いようがない。
「まあいいです、12日の面談予定は繰り上げましょうか。23日の午前中でいいですか?」
『はい。あと今回の日本選手権は君津くんのところのかずさマジックくんも出るみたいですから気にかけてあげた方が良いですよ』
それでは失礼します、と言って光からの電話が切れる。
手帳の予定を書き替えておくとやっぱり光がまるで私を白状みたいに言うのがちょっとだけ腑に落ちず、釜石にメッセージを送ってみる。
『私って薄情な男に見えます?』
返事は思いのほかすぐに来た。
『急にどうした』
『ちょっと思うところがあったので。釜石はどう思います?』
『わしとわし以外で態度がだいぶ違うからわし以外の人間に対して薄情に見えるんだろ。もう少し他の奴も気にしてやれ』
そう言われても釜石が一番気にかかる相手であることは未来永劫変わらない気がするので『無理ですねえ』としか返せない。
自力でどうにもならない問題で不当に評価が下がっている気がする事に対する文句は、どこにも送りようがないので一服して切り替えるしかないのだった。



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八幡と光と釜石。
社会人野球の話のつもりが八幡の薄情さに話がズレていく謎。

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あの子の誕生日

「スティーラーズ、今日のおやつ何が食べたい?」
私がそう聞くとスティーラーズが「急にどないしたんです?」と聞いてくる。
「あなたの創部日、昨日でしょ?昨日はイベントだったけど私からは直接祝えなかったから今日祝おうと思って」
そう答えると腑に落ちたという風な顔をして、それからふふっと笑った。
「姐さんが誕生日祝ってくれるの何年振りやろ」
実は昨日のイベントでマスコットの子が創部日の事を言ってたから思い出したのは秘密だ。
まあこれぐらいなら誤差の範囲だし、何よりスティーラーズが嬉しそうならそれでいい。
「紅茶は私が淹れるわ、何にする?」
「ほんならルフナでロイヤルミルクティーを。お茶菓子は―……姐さんがこの間貰ってはったユーハイムのバームクーヘンとパウンドケーキで」
思わず紅茶缶を取ろうとした手が止まる。
私が最近取引先から貰って夜更けに加古川とふたりでこっそり食べたお菓子のセットを何故把握してるんだろう?
「姐さん、この間加古川の姐さんと夜中にこっそり食うてはりましたよね?俺がああいう焼き菓子系好きなの知ってるはずやのに」
背後からじとーっとした眼差しがこちらに突き刺さってくる。
紅茶缶を取り出してお茶を煮出しつつ言い訳を考える。
「……私はともかくスティーラーズは夜更けに食べたら余計な脂肪つくでしょ」
「せやから俺かてお菓子とお茶の量抑えてるんですけどねえ。
姐さんも高炉廃止で身長縮んだんやし、夜更けのティータイム止めたほうがええと思いますよ」
それを言われると反論できない。
水を沸かしたミルクパンに茶葉を入れてしっかりお茶を煮出し、その間にお菓子やミルクの準備をする。
「でも夜更けのお茶会でしか味わえない背徳感も含めて美味しいのよね」
「それは俺も同意見です」
紅茶がしっかり煮出されたらミルクを入れて軽く温める。
いつもはお茶を加古川が淹れてくれるけれど、もともと加古川にお茶の入れ方を教えたのは私だから腕前は変わりない。
茶こしでこしながらなみなみと注がれたロイヤルミルクティーの香りがふわりと立ち上る。
「ただいまー」
「あ、加古川さんや」
「スティーラーズくんが昨日創部日だったって聞いたんで、モロゾフの冬限定チョコサブレ買って来たんですけど姐さんも食べます?」
加古川もたいがい同じことを考えていたらしい。
幸いお茶は少し多めに作ったので加古川の分も注いでおこう。
「もちろんいただくわ」



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神戸とスティーラーズ。
昨日の神フェス、コーロクンが喋ったらしくてすごいびっくりした……君そんな声だったのか……

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秋花火

打ち上げ花火は空気の澄んだ秋が一番美しい、と教えてくれたのは誰だっただろう。
だからその美しい花火をファンと一緒に楽しむ企画が出てきた時になんとなくイーグルスに花火の誘いを掛けた。
『お気持ちは嬉しいんですけどその日は練習試合後なので体力的にちょっと……』
(練習試合か、練習でも試合後の疲れは尋常じゃ無いしな)
なら仕方ないと諦め『分かった』と返信をしたのが今月の頭。
そして当日になってみると、家族や友達連れで見に来る人々をほんの少し羨ましく思う自分に気づいた。
(誰も都合がつかなかったのは如何しようも無いからなあ)
あの後、近しい身内に話を振ってみたが誰も都合があわなかったので今日は一人だ。
花火を見に来る選手スタッフも家族連れが多く、一人でぼうっと花火を待っているのは自分くらいだ。
一人でも二人でも花火は花火だが一人でいると浮いている感じが否めない。
小腹を満たすのに購入した唐揚げをビールで流し込んでいると、スマートフォンが着信を知らせてくる。
(テレビ電話?然もイーグルスからか)
不審に思いつつも電話をつなぐと『こんばんわー』と手を振ってくる。
ベッドで寝そべっているらしいイーグルスに「急にどうした?」と聞いてみる。
『大した事じゃないんですけどぉ、声が聞きたくなりましてぇ』
普段よりも甘え気味の言葉遣いや微かに赤い頬を見て気づいた。
「試合後に酒でも飲まされたか?」
『ブルーシャークスくんがごはん奢ってくれたんですけどねぇ、水と焼酎水割り間違えて飲んじゃいまして~』
「其れでか」
『おうちまでは自力で帰ったんですけどそういえば今日デートの約束あったなーって、でも飲んじゃったから車使えないのでお電話しました~』
イーグルスは下戸ですぐに酔っぱらってしまうので滅多に酒を飲まないが、この調子なら本当に間違えて一口二口飲んだ程度なのだろう。
ほろ酔いの表情でゆるく笑うイーグルスがかわいいので少々表情が緩む。
「今日は多摩川の花火大会でな、イーグルスが暇ならうちで一緒に見ないかと誘ったんだ」
『そうだったんですねえ』
「ああ、」
言葉を続けようとした瞬間、花火の打ちあがる音がする。
咄嗟にスマホのカメラを切り替えて花火が上がるのをカメラに映し出す。
秋の澄んだ夜空に大輪の花が咲くとイーグルスが『たーまやぁー』と嬉しそうに声をあげた。
周囲にいるファンや選手スタッフも花火に感嘆の声を上げ、嬉しそうにスマホのシャッターを切っている。
『はなび、きれいですねえ』
ふわふわとした声の酔っぱらいがそう呟く。
選手やファンとみる花火は美しい。
でもライバルであり可愛い後輩と一緒に見る花火はまた違う美しさがそこにあった。



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ブラックラムズとイーグルス。
公式の花火鑑賞動画から思いついたネタでした。

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君だけのいない庭

合宿地がジャパンベースになったのは偶然だった。
予算とか仕事の予定の都合を勘案したらここになったってだけのこと。
(でも、ここにレッドスパークスがおらんって不思議な感じするな)
かつてレッドスパークスの暮らしていた場所を協会が買い取って、合宿用施設に建て替えられてまだ半年ちょっと。
どこかの物陰を覗いたら『バレちゃったですネー』なんて笑ってそうな気がしてしまう。
それをブルースが『隠れきれとらんかったたい』なんて叱りつけて、それを自分がまーまーなんて言いながら二人を宥めるのだ。
ちょっと前までは日常的にあった光景は、もう見れない。
ここはもうレッドスパークスの家ではなくてラグビー協会運営の合宿施設なのだ。

「……ほんと、あいつら俺より先に死によってなあ」

普通なら年長の自分が先に死ぬべきだったろうに、自分よりも遥かに若かった二人はここを去ってしまった。
下手に何かを口走る程若くはない、だけど年長者としてそれくらいの文句は許されたっていいだろう。


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キューデンヴォルテクス先輩の話。
先輩が今日からジャパンベース合宿と聞いたら書かずにいられなくてだな……

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