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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

新しい名前

新しい名前の発表会見を見ながら、ちょっとため息が漏れる。
「全部あいつに持ってかれたな」
シャイニングアークス改めDロックスの新しいスタッフ陣や選手陣の多くがうちの主力なのだ。
無論それは仕方のないことであり、分かっていても本当に全部持っていかれた感じがしてため息が漏れる。
それが少し悔しくてスマホを立ち上げて一言嫌味を送ってやることにした。
『お前うちの主力みんな持ってったんやからすぐD1戻らんかったらぶん殴るからな』
送信完了を確認してからアプリを閉じる。
D3という新しい舞台へ移ることも選手の移籍も既定路線としても文句の一つ言わないと気が晴れない。
「落ち着いたらD1戻れへんかなあ」
もう戻るのも難しいかも知れない。
けれど、まだあの場所を惜しむ気持ちが残ったままなのだ。

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戻り梅雨の陰鬱

夏が来たと思ったら急に梅雨の天気に戻ったせいか、どうにもぼんやりとした不具合を感じる。
報告書を一文書いては消してばかりで全く仕事がはかどらない。
東京がいたらぼうっとするなと怒られそうだがいない奴の事を考えても仕方ない。
「君津ー、元気?」
「……急に来るなよ」
後ろからフラッと現れた鹿島に思わずため息が漏れた。
「えー、俺LINEしたでしょ?既読もついてたし」
スマホを確認してみると確かに遊びに行くというLINEに既読がついている。
「あー、悪いちゃんと読んでなかった」
「いきなり天気悪くなったもんねえ」
空いた事務椅子に腰を下ろした鹿島に「お前こそいいのか?」と聞いてしまう。
「俺は大丈夫、至って順調だから職員さんも文句言わないで送り出してくれたよ」
どこか能天気な鹿島の笑顔が今はちょっと快く思える。
やっぱり今日の俺は疲れてるんだろうか。
鹿島が近くにいた職員呼び止めると俺の腕を引っ掴んで突然口を開く。
「ちょっと君津借りてくんで所長さんに伝言しといてください」
日本人離れした美しい相貌を生かしたビジネススマイルには有無を言わさぬものがあり、職員もうんうんと頷くのを見ると鹿島は俺のほうを見た。
「行こう」
そう言って引きずられるがままにうちに帰らされると、そのまま布団に放り込まれる。
クーラーをつけてカーテンも閉め、いつだったか鹿島が持って来た古い家庭用プラネタリウムをつける。
「……なんだよ」
「だっていかにも疲れたような顔してるから」
「東京みたいなこと言うな」
「たまにはね」
そう言って何の遠慮もなく「おやすみなさい」と目を閉じた。
天井に浮かぶ星空を見上げながらほうっと息を吐く。
人口の夜空は今も昔も変わらずに瞬いていて、この部屋の外に溜まる梅雨の空気も憂鬱な報告書も今だけは置いておけと言われてるようだった。


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君津と鹿島

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ちょっとしたお知らせ

こんばんは、あかべこです。
実はだいぶ今更ではあるのですがえふいーの東京ちゃんこと東京地区が2020年5月で閉鎖になっていたことを把握しまして、それに伴い一部のお話を非公開にする事にしました。
対象は「風邪をひく」「ただ春の夜の話」のふたつです。
東京ちゃんのその後とかはいずれ本編に書きますし、キャラ紹介も修正しますので気長にお待ちください……。

Qなんでそんなに把握遅いの?
Aごめん……

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カモミールティーどこだっけ

ニュースに嫌気がさした日にはカモミールティーが効く。
釣り戸棚のお茶コーナーからハーブティーをいれたかごに手を伸ばそうとするも、微妙に手が届かない。
諦めて踏み台を取り出そうと背伸びを辞めると後ろから手が伸びた。
「姐さん、きょうはハーブティー飲まはるんですか」
「スティーラーズも飲む?」
「貰います」
ポットやティーカップを出してもらい、お湯を沸かす間部屋にはジムノペティを流して。
カモミールティーはぬるめに淹れておく。
マグカップに注いだものとティーカップに注いだものを作って、マグカップのほうを渡しておく。
「はい、スティーラーズの分」
「助かります」
ちびちびと飲みながら心のよどみを吐き捨てるように深く息を吐く。
「……長く生きてるとこういう事ばかり上達してくわね」
「それが長く生きる事なんやないんですか」
お茶に再び口をつけて、ジムノペティに耳を澄ませる。
げんなりする現実と折り合いをつけていかなくちゃいけない。
神様とは名ばかりの何の力もない私たちは無力だし、ただ人間社会に寄り添って傍観するだけの存在にすぎない。
なのになぜ私たちには人と同じ心と体を持つのだろう。
刺されても撃たれても死ぬことを知らず、製鉄所という存在とともに生まれて死んでいく。
その癖死ぬことが誰よりも怖い臆病な自分がいる。
(こんなこと考えてたって何の答えも出ないのにね)
それは私自身がよく知っている。折に触れて自問自答してきた問いはいまも答えが出ないままだ。
……こういう時は頭を切り替えよう。
「スティーラーズ、」
「はい?」
「あなたがやってるパブリックビューイングって明日の試合でもやるんだっけ?」
「明日はないですね」
「じゃあ二人で現地観戦行きましょうか、私仕事休むから」



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神戸ネキとスティーラーズ

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ビアガーデンはじめました

熊谷に引っ越して迎える夏はやはり過酷だった。
「これ、一歩間違えたら死ぬんじゃない?」
「夏だからね」
まだ朝の9時だというのに30度超えの外気温のなか、ストレッチの時点で汗がダラダラと吹きだしてくる。
「夏ってこんな死と隣り合わせだっけ?」
「そういうもんでしょ」
根っからの熊谷人だからなのか、それとも昭和の夏を知らずにいるからなのか、アルカスはそういうものだという口ぶりだった。
さっさと日陰に逃げ込んで出ていった分の水分を補いつつ、改めてグラウンドを見返す。
広く青い芝生に面した俺のクラブハウスにアルカスのいる管理棟。
そのはす向かいにはカフェやショップ、そして大きなホテル。
「つくづく、良いもん貰ったな」
「ホントにね。あんたのおこぼれとはいえ私も助かってるしね」
「そりゃよかった」
そんなことを話しつつ水分を取り体を冷やしていると、アルカスが思い出したように口を開く。
「……今度ホテルのほうでビアガーデンやるんだって」
「ビアガーデン?」
「そう、オープンは1日なんだけどその前に練習も兼ねてプレオープンやるから来ないかって支配人が」
「初耳なんだけど」
「今思い出したから、明日一緒に飲みに行く?」
「奢り?」「奢りというかただ酒」「じゃあ行く」
熊谷の暑い夏の夜に冷たいビール。
想像しただけでなかなかおいしそうだ。




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ワイルドナイツとアルカス。
ビアガーデンで思い付いたネタでした。

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