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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

手紙を書く話

うちの姐さんからインクを貰った。
小瓶の入った鮮やかな赤の万年筆用インクである。
「大瓶で1つ使い切るの大変だから半分あげるわ」
「なんでそんなもん買うたんですか」
「使わないとは思っても綺麗な赤に一目ぼれしちゃったのよ、スティーラーズは万年筆持ってたかしら?」
「万年筆なんてどっかにしまい込んでどっかやってもうたままですよ」
「ならガラスペン貸すから手紙でも書いたら?」
引き出しからこれまた鮮やかな赤いガラスペンと白いレターセットを引っぱり出して俺に押し付けてくる。
インクの小瓶を晩冬の日差しに透かせば確かに宝石のような美しい赤が目に飛び込んでくる。
その赤で連想したのは、かつて見た赤と白のユニフォームを纏うシーウェイブスの姿だった。
今でこそあの青いユニフォームも見慣れたものだが、かつてあいつの纏う色と言えば赤だった。
(……あいつに手紙でも書いてみようか)
そう思い立ってみれば話は早い。
自分用に与えられた部屋に戻ると、小瓶のふたを開けてガラスペンの先をインクに浸してかりかりと文字を書き連ねる。
定期的に会っているはずなのに書くことは不思議と尽きないもので、結局便せん四枚にもなる友愛の台詞を書き連ねた手紙が出来上がっていた。
最後の一行に『返事は要らんので出来たら捨てずに取っといて欲くれ』と書き添えて封をした。
(あいつが捨てんといてくれたら上出来やな)
数日後、東北から一通の手紙が届いた。
送り主はシーウェイブスからで、書き添えてあるのは一言。
『捨てる訳あるか阿呆』


……ああやっぱ好きだ。


ただの神戸鉄海波の甘い話。
神戸行ったときに小瓶入りの神戸インク物語セットを買ったのですが、南京町フォーチュンレッド買えばよかったなと未だに少し思ってます(中山手ブラックを買ってしまった)

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ジントニックと東京の夜更け

シーズンオフは退屈だ。
仕事が嫌いな訳ではないけれど、ラグビーをするために生まれた訳なんだからそれをやらないことがとにかく退屈なのだ。
ワインでも飲もうかと思ったけれどやっぱりいいかと諦めて戻してしまう。
ポケットに突っ込んであった携帯が低い音で着信を知らせてくる。
『サンゴリアス?』
「なんだ、ブレイブルーパス先輩か」
『それが先輩に対して吐く台詞?』
「いえいえ、でご用件は?」
『ドライジン貰ったんだけど一緒に呑まない?』
「行きます」
『じゃあ今から来てよ、あと割り材もよろしく』

****

そうして尋ねた部屋には、イーグルスとブラックラムズさんもいた。
「おつかれさまー」
「久方ぶりだな、サンゴリアス」
「ブラックラムズさんもお久しぶりです、イーグルスも」
割り材の入った袋を机に並べれば、あっちこっちに散らばったレコードやCDのなかでレコードプレーヤーの前に座り込むブレイブルーパス先輩がそこにいた。
その傍らにはジントニックの入ったグラスがぽつんと置かれていた。
「……なにしてんですか」
「次なに流すかなって」
「今日はクラブナイトがテーマの飲みらしいですよ」
「へー、それで割り材持ってこいって言ったんです?」
「そういうこと。サンゴリアスも好きなのあったらかけて良いよ」
足元に散らばっていたレコードを一枚取って再生させてやれば、今では懐かしくなったロックの名曲が流れ出す。
「懐かしいですねえ」
「最近の曲じゃないか?」
「僕にとっては懐かしい曲なんですよ」
これならクラブナイトにはぴったりの歌だろう。
「踊ります?先輩」
「サンゴリアスが踊りたいなら」




ただ東京組をキャッキャさせたかった。
あんでぃもりのクラブナイトは東京組の歌だと思うんですよね。

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ボードゲームができない

「粗鋼生産量世界第二位、おめでとう」
思ったよりもすんなりと口からこぼれたセリフは宝山の表情を驚かせた。
「……怒らないんですね、老師」
「わざわざ怒るかよ、弟子は師匠を超えるものだろ」
八幡は不機嫌になるだろうが俺としてはそちらの気持ちの方が少しだけ大きかった。
微かに目を細めて「なら良かった」と呟いた。
宝山製鉄所、その日中共同の超巨大プロジェクトは常に政治と民衆に振り回されて複雑で困難で耐え忍ばなければいけないことがあまりにも多すぎた。
だからと言ってこいつ自身を恨んでも仕方がない、あの思い出しただけで頭痛を起こしそうになるような無茶苦茶は時代と政治のせいだ。
「もう、お前が二度と政治の道具にならないことを祈るよ」
政治というボードゲームの駒になってしまったこの弟子が、自らの足で飛ぶ日を待っている。



君津と宝山。

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なぜなにスーパーラグビー

ゆるっとした小ネタ。
書いている人がまだ新米なので間違い・勘違いも含まれている可能性がございます。


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春近く

大都会にも春の気配が近づいている。
ふらっと立ち寄ったビルの片隅にその少年はいた。
「調子はどうだ、サンウルフズ」
「サンゴリアスさん、お仕事サボっていいんですか」
「俺がいなくても父さんたちはちゃんと会社回してくれてるから大丈夫だよ」
それに俺たちなんぞは父さんからすればいてもいなくてもそんなに大差ない、ということは敢えて伏せておいた。
手土産代わりに持って来た甘めの缶コーヒーを差し出してやれば遠慮がちに受け取ってくる。
「開幕戦準備に追われてバッタバタですよこっちは」
「土曜日にホームだもんなあ、よく頑張ってて偉い偉い」
髪を軽く撫でてやれば不満そうにその手を押しのけて「……トップリーグの皆さん全般的に僕のこと年下扱いしますよね」とぼやいた。
「スーパーラグビーにおける日本代表って言われても実際年下だしな」
「まあそうなんですけどそれはそれで大変複雑というかですね……」
「じゃあ今季は全勝して俺たちをアッと言わせてやれよ、みんなで見にいくつもりだしな」
にっと笑ってやれば「……当然です」と呟いた。




サンウルフズとサンゴリアス。
開幕戦見に行こうかなあとぼんやり考えてはいるけど見に行かないで終わりそうな予感。

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