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コーギーとお昼寝

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盛岡支社歓談

*ぷらいべった再録

「相変わらずこっちは賑やかだな」
ぽつりと大船渡線が独り言を漏らした。
いつもの田舎のヤンキー然とした服装から明らかに着慣れないJRの制服に着替えたおかげでビビる人は少ない。
「当たり前でしょ、県庁所在地なんだから」
「まあな、兄弟は嫌じゃないのか?」
「仙台に比べたら盛岡はそこまでじゃないよ、まあそんなこと言ったら怒られるだろうけどさ」
エリート然とした顔立ちを崩して苦笑いをこぼした気仙沼線の足取りの速さに、大船渡線は何故そんな早歩きなのだろうと考える。
「随分と早歩きだが会いたい奴でもいるのか?」
「あ、歩くの速かった?」
「兄弟の足取りが随分と軽い気がしてな」
大船渡線の言葉に対して正直なことを言うのはやめておいた。
着慣れない制服を着た大船渡線にドキドキしてるなどと誰が言えようか?

****

「「いつになったらやまだはおよめにくるの?」」
双子の言葉に山田線はグッと言葉が詰まる。
西洋人形のような整った顔立ちの双子の少年は本来の自分のエリアである三陸沿岸から盛岡くんだりまで来ていたのは、恐らくそれを上司に聞くためなのだろう。
「やまだはやくおよめにきてよー」
「そうだよ、ねえ?」
「うん!ぼくたちやまだのことたいせつにするよ?」
「ちょくつううんてんだってするよ?」
双子の子犬のような目に思わずのけぞる。
飴でも渡して切り抜けるか?と思ったが飴はない。どうする、俺。どうするよ。
「はいはいそこまでー」
割り込んできたのは見慣れたJRではなく東日本交通の制服を着た男の姿。
来客者の名札を首から下げているのがその証拠だ。
「岩泉線!」
後ろから山田線を抱きかかえるように腕を絡めれば「わしの唯一の友人とらないでくれんか?」と笑う。
「「えー」」
「いわいずみせんはたぎょーしゅでしょー?」
「ぼくと南リアスはせいしきによばれたのになんでいるのー?」
「特別参加!というか勝手に来た!」
「それいいの?」
「いいの!元JRだからいいの!」
中々しょうもない口喧嘩に挟まれながら、心の底から思う。


(誰か助けて!)

****

「ぶえっくし!」
「釜石線、汚いぞ」
「あー悪い悪い」
不機嫌そうに会議室の机を磨く田沢湖線と違い、ひたすらお茶を準備する釜石線は何故か妙に楽しげだ。
「しっかし、田沢湖線も背ぇ伸びたよなー。すごい腰きつそう」
「きつそうだと思うならお前がやれ!なんで天下の秋田新幹線が会議の準備を……」
ぶつくさ言いつつもまじめに仕事をこなす田沢湖線はいいやつであることを釜石線はよく知っている。
「お茶全部淹れおわったし、俺山田線呼んでくるから待ってて」
「おう」
早速椅子に押しかけて自分の席のお茶を取る。
「……あ、茶柱」



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