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コーギーとお昼寝

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いま思えば完全にお見合いである


イチマルさん(@10_plus10)の茨木市さんと高槻市さんと吹田市さんをお借りしたうちよそ。



「なあ、そのアニメ好きなん?」
そもそも高槻との出会いはそんな一言だった。
全国の市町村を集めての会議のトイレ休憩でかけられた一言だった。
「ガルパンはうちが舞台のアニメだから好きなんだぜ?」
「そうなんか!あ、俺は大阪府高槻市な、推しはアイマスの高槻やよい」
「俺は茨城県東茨城郡大洗町なんだぜ……ところで推しって?」
そんな感じでガルパンの話で盛り上がって連絡先を交換し、その後どんどん高槻の趣味嗜好に染められていくのだがそれはそれとして。

その次の日。
「大洗と話してるとおもろいわー、うち割と内陸の方やから海ってあんまり縁ないし何でそんなサメ詳しいん?」
「大洗水族館はサメが多いからそれで自然に覚えてた感じなんだぜ!」
「へー、今度いっぺん大洗行ってみようかな。聖グロの戦車突っ込んだ店行ってみたい」
そんな風にわいわいとお茶なんか飲みながら話していた時だった。
「大洗くんこんなところにいたの?」
「茨城町?」
「携帯繋がらないからどこにいるんだってひたちなかくんが……」
「充電切れたまんまで放置してた!」
「携帯貸すからすぐ電話して」
淡いブルーのスマホを受け取ってひたちなかに連絡を入れ(ただ単に顔が見えないから心配してくれていただけのようだった)ると、様子を見ていた高槻が口を挟む。
「このお嬢さん茨城町さん言うん?」
「おう!おんなじ東茨城郡でお隣さんなんだぜ!茨城町、この人は大阪府高槻市。ガルパン好きだから仲良くなったんだぜ!」
「はじめまして高槻さん、茨城県東茨城郡茨城町です」
そうして高槻が茨城町の顔を見て、にやっと悪だくみしたような顔で「……俺いまめっちゃええこと思いついてんねんけど」と俺に告げてくる。
「なんなんだぜ?」
「大阪のいばらきと茨城のいばらき、会わせたらおもろない?」
「いいと思うんだぜ!茨城町友達少ないし」
「大洗くんが多いだけだからね?!」
ちなみに当時茨城町は姉妹都市がなく、生来のどちらかと言えば大人しい内気気味な性格もあって県外の友人というのが皆無だったので外の友人が増えるいいきっかけになると思ったのだ。
たぶんこれが水戸なら絶対会わせなかっただろうが、高槻のアイディアが面白そうだったのも事実だ。
「ほなちょっと連れてくるから待ってて!」
そう言ってものすごい勢いで休憩室を出ると、高槻は茨木と吹田を引き連れて戻ってきた。
「早すぎなんだぜ?!」
「たまたまこの近くにおってん。ちなみにこっちの眼鏡のねーちゃんが吹田で、眼鏡のあんちゃんが茨木な」
「……なんで俺ひっ捕まえてきたん?」
「それはな、お二人さんの正体聞けばわかる」
「茨城県大洗町なんだぜ」
「あ、えっと、茨城県茨城町です!」
「これでちょうど『いばらき』が二人そろったやろ?」
吹田さんが妙に納得したような表情でぽんと手を打ちながら「いばらきが2人でニバラキ……」と呟き、茨木市がしょうもないなと言いたそうに高槻を見ていた。
「なんかうちの身内がしょうもないことに巻き込んですいません……」
「あ、いえ……」
そうして目が合った時に「あっ」という茨木市のつぶやきが漏れた。
いま思えばたぶんあれが人が恋に落ちた瞬間なのだとわかる。
ちらりと高槻の方を向く。
(とりあえずこの後どうするんだぜ?)
(ごめん、俺何も考えてへんかった……!)
「とりあえず記念写真でも撮ってみるんだぜ!」
「えっ?」
「いばらき二人の初対面記念と、茨城県と大阪府の友好に……?」
我ながらよく分からない言い訳だったが茨木市の方が「茨城町さんがええんなら」と言うので、茨城町の方も「じゃあそうしようか」と言うので記念写真を撮ったのだった。





「でもその二人が付き合いだすんだから世の中ってすごいんだぜ……」
『ほんまそれな。』
パソコンの画面越しの高槻とそんな話になったのは、休みが取れたのでいまから大阪に行く今朝がた茨城町から連絡があったせいだろうか。
『きょうあいつんとこ行ったら茨城ちゃんおってびっくりしたわー』
「なんか休みが取れたから行ってくるって。恋は人を変えるんだぜ」
『俺もあいつ見てるといつもそう思うんよなあ』

「「恋してみたいな」」

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