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コーギーとお昼寝

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ぼくらは地獄を裸足で行く

『此花には怒られるんだろうなあ』
あの日、和歌山がそんなことを言っていたのを思い出す。
新日鉄との合併話が初めて世間に取り沙汰された日のことだ。
『怒るだろうなあ』
ぽつりと俺が返すと『だよねえ』と困ったような寂しいような苦笑いをこぼしてきた。
そんな事をなぜ今思い出したのだろうと重い身体を起こしながら考える。
「あ、おはよう海南」
「……ん」
壁時計を見るともう午後だ。昼飯どきは過ぎたがおやつ時には少し早い午後2時過ぎ。
しかしお腹は空っぽで何か食べたいような気はしていた。
「とりあえず焼きそば作ったけど食べる?」
「食べる」
のろのろと食卓に腰を下ろすと麦茶と焼きそばが目の前に置かれた。
「ああ、そう言えば今日久しぶりに此花に会ったよ」
その言葉で今日は和歌山が大阪へ行く日だったことを思い出した。
半月ほど前に新日鉄住金の社名変更が世間に知らされてから和歌山と此花が顔を合わせるのは今日が初めてだった。
「そうか、」
「……なにも無かったけど、発表直後だったら俺ぶん殴られてたかもね」
「ぶん殴られたらちゃんと傷冷やしといてやるから安心しろよ」
「うん、」
「此花の事をかわりにどやしてやってもいい」
腐っても和歌山は俺の大事な男なのだ、それを傷つけられて大人しくいられるほど俺は丸い性格はしていない。
「俺は一緒にいてやるから」
もしもこの身に死後があるのなら、地獄でデートしてやろう。



和歌山と海南が男夫婦してる話。

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