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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

7月7日はだいたい雨:前

「あー……」
体温計を仕舞った深い深いため息を吐く。
のろのろと起き上り、救急箱から取り出したのは葛根湯。
(まさか私のほうが風邪をひくとは)
薬を水で流し込み、再びのろのろとベットへ戻って行った。

****

「……おかしい」
僕は頭を抱えていた。
いつもならしつこくうちにやってくる結城さんがうちへ来ないという異常事態。
この日が近づくと体調が悪くなるのに異常が全くないというおまけつきだ。
「そんなに心配なら行けばいいのに」
「いや、これはなんかの策略のような気も……」
「小山は結城に恨みでもあるの?」
「恨みと言うかトラウマと言うか重すぎる愛情と言うか……」
結城と面識のない宇都宮線にはいまいちよく分からないが本人が言うのならそうなのだろう。
これが古河ならまた少しは違っていたのだろうが。
「なら水戸線に聞けばいいんじゃない」

 「 そ の 手 が あ っ た か 」 

そんな訳で水戸線に電話を繋ぐと、意外な事実が判明した。
『結城さんいま風邪なんですよ、ちょっと手伝ってください』
「……ふぁっ?」




つづく

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寒の戻り

1:下妻とつくば
「下妻ぁ」
甘えたような声を出したその人にはいはいと駆け寄る。
昨日の午後から突然降りだした雪は庭を真っ白に染めてくる。
お互い色々と忙しかったので久しぶりの休日だったのだが、休日に雪とは神様も空気を読み過ぎだ。
暦の上でこそ春だが、雪のせいかまだ冬の盛りのような気すらしてしまう。
「これあげる」
そう言って差し出されたのは手に乗っかるほどの雪だるま。
小学生じゃあるまいし、などと思いながらもなんだか無性に目の前の相手が愛らしく見えるのは仕方のない事だろう。

****

2:筑西広域組と笠間
「まったく、子どもは元気ですねえ」
無邪気に雪と戯れる筑西と桜川と下舘を窓越しに眺める。
こたつから出られないのは年齢故と言ってもいい。
「本当にな、こうやって見っと下舘もガキに見えるわ」
「若い人との交流も多いですからね、見た目的に」
お茶をすすりながら見た笠間の目はやけに優しくて、それがどう言う意味の目であるかはすぐに察した。
「下舘が気に入ったなら早く痕跡を残してあげたほうが良いですよ」
「は?」
「……気づいてないならいいです」

****

3:神栖と銚子さん
「……くっそ寒い」
ヒーターから一歩も動こうとしない神栖を眺めながら、ほれとコーヒーを差し出す。
どうやら雪による底冷え的寒さが本人には耐えがたいようだと悟る。
「暖めてやろうかぃ?ベッドの上で」
「氏ね、いやむしろ死ね」
「まあ気のすむまで暖房当たってけ」
寒さでぶるぶる震えてるのを見るのも、なかなか悪くない。



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夏の二人ごはん

つくばさんちはものすごくクーラーが効いている。
理由は簡単で、自分ちの電気は太陽光電池で自家発電しているのだ。
お蔭で節電の夏と言われた去年も全く気にせず電気を使っていたし、時々暑さに耐えられなくなると僕のほうが転がり込んでいたぐらいだ。
「……やっぱり太陽光発電、つけようかな」
「下妻の家につけたらもっと涼しくなるだろうねえ」
そんな事を考えつつ塩ゆでした枝豆を笠間焼の小皿に盛りつける。
刻んだ茗荷は豆腐に乗せてシンプルに冷ややっこ。
「あ、男/前豆腐」
「もともと古河の会社ですからねえ」
鮎もシンプルに焼いて美味しくいただくことにした。
きゅうりは刻んでにんにく醤油で軽くあえることにした。
「並べ終わってる」
「ふふふー、やればできる子ですから」
やけに自慢げにこちらを見てくるので、軽くよしよしと撫でてやることにした。
鮎もそろそろ焼けたし、夕ご飯にしよう。

***

「そう言えばにんにくって夏が旬なんだねえ」
「ええ」
夏が旬の食材を基本に組み立てた夕飯はさっぱりししている。
ポリポリと心地よい歯ごたえのきゅうりは瑞々しい。
「きゅうりも枝豆も美味しいし、夏ですねえ」
「だねえ、花火デートも楽しみだし」
「……そんな話しましたっけ?」
「ばれたか」






補足:男前豆腐の製造元は2つあり、そのうち三/和豆/水庵は古河の会社です。
そこらへんの経緯は若干複雑なのでwiki参照で。

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きみとおでかけ。

「どっか出かけよう」
そんな唐突な一言は、いつもの事と言えどやっぱり慣れない。
しかも目が本気だ。
「どこ行くんですか」
「新しく出来たイオン、大きいらしいしさ」
結局気づけばいつものように押し切られ、イオンへと出かけて行く事になるのだ。

きみとおでかけ。

真新しいショッピングセンターはやたらと小奇麗かつ大きく、案内図を見てから軽いため息をこぼす。
屋外に広がる施設まで回ったら確実に体が持たない。
「……なんでハーレー●ビットソン」
「後で見に行く?」
「広すぎて疲れるんで館内だけでいいです」
ふと思うけれど、自分もいい年なのだ。
外見こそそこまでの年ではないのに、中を開けば……やめておこう、きりがなくなる。
そもそも色んな意味で非現実的な存在なのだし、あまり現実的な事は考えたくない。
「じゃあさ、お揃いでなにか欲しい」
「はあ」
「ほら、お揃いとか一つあるとカップルっぽいし!」
そんな風にはしゃぐ幸せそうな笑顔にこっちはもう何も言えなくなって、ああもう勝手にしてくれと思いながらフラフラと連れまわされた。

***

グラス、水筒、マグカップといろいろ候補が出た末に結局クッションを買う事にした。
床にじかに座ることは減ったとはいえ、意外とクッションの活躍の場所は多い。
両面に編まれたい草のくっついたそれを手に取り、何故か差し出されたのはピンク。
「ピンクは嫌です」
「えー」
「いやピンクじゃ完全に乙女趣味じゃないですか……そんな趣味ないので」
全力で失望されながらも、結局我が家にはつくばさん専用のピンククッションが並ぶのはまた別のお話。






新しく出来たつくばイオンの専門店街二人のデート妄想していた変態はここです。

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ドーナッツ下さい

「ねぇ下妻、ドーナッツ食べたい」
「……藪から棒になんですか」
ひとの膝枕で寝転がる相手にため息をつきつつ、軽く髪を指で梳いた。
良いもの食べてるせいで無駄に髪質もいいから触り心地もいい。
「ほら、最近ドーナツ食べてないから」
「なんでそうなるんだか」
「んー、色んな人に愛想ふりまくの大変なんだよ」
ちょっと腹が立ったので思い切りデコピンを食らわせてやった。
(その愛想ふりまく相手が天下の首都様であるあなたに言われたくないですよ)
ほかの地方自治体のような苦境とは無縁のボンボンなのでなおさら。
「……酷い」
「酷くない酷くない」
「こんな風に甘えるのは、下妻だけだよ」
「知ってますよ」
だから、こっちは文句ひとつ言えなくなってしまうんだ。







下妻はつくばの甘えに弱いけど、つくばは下妻にしかまえないんだよって話。
このあと下妻はつくばにドーナッツ手作りします。

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