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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

瑠璃の翼で飛んで行け

「ルリーロ!!!!!!」
博多駅について一番にキューデンさんが臙脂の髪を揺らして俺に駆け寄ってくる。
「リーグワンにようこそ!」
「いえ、挨拶遅くなってほんにすいません」
今日は九州協会でリーグワン昇格後のことを話し合いに来たのだが、まさか出合い頭に祝ってもらえるとは思わなかった。
この人は生まれた直後から色々と気にかけてくれたので喜んでもらえるのは嬉しい。
「ええよええよ、可愛い後輩がこっち来てくれるだけで嬉しいし」
この場合のこっちは博多にという意味か、リーグワンにという意味か。はたまた両方だろうか。
「あとこれ、お土産の干し柿です」
「おっ、干し柿かあ。有名やもんなあ」
地元の名産である柿を使った干し柿を笑顔で受け取ると「こっちな」と案内してくれる。
博多という目が回るほどの大きな街においてもキューデンさんの臙脂の髪はよく目立つせいか、あれを目印にすれば迷うことはないという妙な安心感がある。
まして誰に似たのかこまか(小さい)と言われがちな自分であるので迷わずに歩けるというのは安心感が大きかった。
「ルリーロはD3の試合見たことあったっけ?」
「何度かは。目標は具体的な方が良いので」
「それはそうよなあ、まあ今期の試合もあといくつかあるし見においでな。やっと九州が俺1人やなくなって嬉しいわ」
わざと明るくそう告げたその人に思わず口が滑る。
「……1人は、寂しかとですか」
「さみしいなあ。でもしゃーないのよ」
自分が想像もできないほどに長く生きたその人は淡々とそう答えた。

「ならつらい事いっちょんおぼえんぐらいラグビーしましょう」
(いっちょんおぼえん=なにも思い出せない)

ルリーロという名前にはフランス語で笑いという意味もある。
寂しくてつらい事があってもずっと笑ってラグビーをすること、それが自分に託された望みなのだと思っている。
「ほうやねえ」
その人は俺の瑠璃の髪に触れる。
「その瑠璃の翼で全部塗り替えさせてもらおうか」

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ルリーロとキューデンヴォルテクス。
瑠璃君ずっと頭の隅にはあったのでこんな感じになる予定です。

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結局カレイは煮付けにした

「今日天神講ですね」
福井が突然そんなことを言うので「ああ、そういえば」とつぶやいた。
つくばのほうのイベントのついでに顔を出してくれた妹分が切り出した行事はこちらではなじみの薄いものである。
「今夜泊めて頂くのでカレイ2匹お持ちしたんですけど、カレイお好きですか?」
「嫌いじゃないですけど、なんでカレイ?」
「いや、天神様のお供え用にカレイ焼いてると食べたくなるから2匹あればちょうどいいかなーって思ったんですけど」
「……少なくともうちにはそんな風習ありませんよ」
「えっ」
福井が困惑したようにこちらを見てくる。
試しに天神講で調べてみると福井や富山といった北陸周辺の情報しか出て来ず、その辺りの文化だろうと察せられた。
「天神講の日にカレイを焼いてお供えするのってうちだけ……?!」
「少なくとも北陸周辺だけでしょうね」
同じ日本といえど日本海側と太平洋側、文化の違いは仕方がない。
それにカレイもしばらく食べてない。多めに作って小山さんに明日持って行ってもいいだろう。
「まあせっかく持ってきて貰ったわけですし今夜は私がカレイで何か作りますよ」
私がそう告げると「ありがとうございます」と福井が嬉しそうに微笑む。
いつもは愛する隣人のために振るう腕もたまには妹分のために使うのも悪くはないだろう。



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結城+福井。今回は結城視点なのでこっちのくくりです。
福井は時々マジで知らん文化が出てくるので本当にビビる。

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冬に食べたい

*今回は短編集です

・肉まん(ライナーズ+スティーラーズ)
きっかけはスティーラーズのとこのマスコットのTwitterに上がっていた写真だった。
薄い板の上で真っ白で丸くてホカホカのそれを見てから、今無性に食べたくて仕方ないのだ。
お陰で仕事抜け出して買いにきてしまったのである。
「ひさしぶりやなぁ、551の肉まん」
仕事でちょうど大阪市内まで来る用事があったから店で蒸し立てほかほかの肉まん買ってきてしまった。
天気は良いけれど強くて冷たい風が吹きつけており、こう言う日ほど肉まんの似合う日もない。
包装紙を開けて思い切り齧り付くと、肉まんのふわふわの皮の奥からじわりと肉汁が滲み出る。
「うんま……」
ついでにLINEで肉まんの写真送ったろ、ちょうど今腹が空くタイミングやしな。
『お前のとこのコーロくんのせいで肉まん食いたなってもうたわ』
551の包装紙に包まれた食べかけの肉まんと一緒に写真を送り付けるとすぐに返事が来る。
『あの写真の肉まん、蓬莱やなくて​四興樓なんやけど』
……分かるか!

・カレーパン(ブラックラムズ)
最近パンの企画をやった時にパンを貰ったのが結構溜まっている。
「今宵は貰ったパンを少し頂くとしよう」
冷凍庫に凍らせてあるパンのうち、今回は真っ黒のカレーパンを選ぶことにした。
竹炭を練り込んだ真っ黒い生地にピリ辛のカレーが入っているというそれは、試食でもらったときから中々の旨さだったのでお気に入りの一つだ。
何よりこんな寒い日には辛いカレーを食べて温まりたい。
トースターに入れてカレーパンを解凍し、その間にコーヒーを淹れておく。
(そう言えば、ライナーズがカレーパン好きだったな……何個か送ってやっても良いかも知れないな)
そのうちコーヒーと共にカレーパンの香ばしい匂いがしてきて、軽く頬が緩んだ。

・牡蠣(シーウェイブス)
ここ数年、冬になるとどうしても牡蠣が食べたくなって牡蠣小屋に行くようになってしまった。
特別牡蠣が好きなつもりは無いのだが、冬なのだから冬のものが食べたいと言う気持ちが牡蠣小屋へと駆り立てているのかも知れない。
鉄板に山盛りにされた焼き牡蠣を取って何もつけずにちゅるんと口の中へ流し込むと、潮の香りとミルキーな味わいが口いっぱいに広がってくる。
「……冬の味だなぁ」
この山盛りの焼き牡蠣を全部1人で食べて良いと言うのは贅沢であるし、平日だから並ばずに食べられる。
お待たせしましたーと差し出された地酒のワンカップを受け取ると、焼き牡蠣の味を酒が引き立たせてくれる。
この贅沢は中々真似できないだろうなぁと思うと中々な優雅な休日であった。

・キムチ鍋(レッドレグリオンズ+スカイアクティブズ)
「なぁ、昼飯食ってくか?」
スカイアクティブズのあにさんがそんな風に書くので「もちろん」と即答してしまった。
広島ダービーの入場者数一万人を目指して始めた新企画の打ち合わせが目的ではあったが、会社ではなく自宅の方に呼ばれたので何となく期待してたのも事実なのだ。
「ほんなら良かった、昨日の夕飯で作った豚キムチが余ってたから鍋にリメイクしようと思ってたけぇ」
普段は多忙な親兄弟に代わりこの家を管理しているあにさんは結構家事が得意な人だから、手料理も期待出来る。
「赤い鍋ですね」
「チームカラーじゃけぇね」
豚キムチ・カット野菜・豆腐をだし汁で煮込み、一煮立ちしたら味噌を少し入れてマイルドにしてから軽く味を染み込ませる。
それだけのシンプルな鍋が本当に美味しそうだ。
「あんまり寒いと嫌になりますよねえ」
「ほんになぁ、まあ暑いよりはマシかもしれんけど」
「まあそれはそうなんですけどね。あ、そういえはうちでやる企画用に作ったエコカイロのサンプル、あげようと思って持ってきてたんでした」
うちのマスコットが印刷されたユニフォーム型の赤いエコカイロを手渡すと嬉しそうに笑ってくれる。
作ってくれた鍋もあったかいけど、その笑顔もポカポカと暖かかった。

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ろうそく

*阪神淡路についての直接的な描写を含みます

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美味しい黒魔女とクリームシチュー

土曜日の夜、先輩の家に泊まりに来た。
「良く考え付いたものだな」
「公式戦の次の日に練習試合が来たのは偶然ですよ?まあそれに便乗したのは僕ですけど」
久しぶりにとまりに来たブラックラムズ先輩の家はいつも通りモノクロでおしゃれな部屋だ。
だけど机の上には赤いバラが一輪。それがモノクロの部屋によく映える。
(ほんとにこういうセンスすごいよなあ)
人間で言えば高齢者に差し掛かる年でありながらセンスが若々しいのは本当にすごいと思うのだ。
「小腹空かないか?」
「あー、ちょっと空いてます。アフターマッチファンクションってつい話すことに夢中になっちゃうからあんまり食べられないんですよねえ」
「だと思った。クリームシチューを作ってあるが、食うか?」
「もちろん」
手伝えという風に視線で僕をダイニングへと呼んでくる。
僕は先輩の横に立つとすっとフランスパンを差し出してくる。
「適当に切ってトーストしておいて欲しい。ちなみに、冷蔵庫にカルピスバターとガーリックバターがある」
「……ガーリックバタートーストにホワイシチューですね?」
その組み合わせは絶対にうまい。
栄養バランスは置いといて今日だけはがっつり行かせてもらおう。
パンをザクザクと切ってから冷蔵庫にある二種類のバターを塗りたくる。
「もうこの時点で美味しそう」
「焼いた方が美味いぞ?」
鍋をかき混ぜるブラックラムズ先輩はなんとなく魔女っぽい、たぶんモノクロな見た目と羊の角のせいだろう。
「美味しい魔女の助言は聞いておきます」
トースターに入れてパンを焼くと、鍋からシチューの匂いが立ってきた。
野菜たっぷりのクリームシチューは彩り鮮やかだ。
「結構色々入れるんですね」
「野菜が結構残ってたんでな。玉ねぎ・人参・じゃがいも・かぼちゃ・ブロッコリー・ロマネスコ・赤と黄色のパプリカ・グリーンピース・しめじとまいたけ・鶏肉だが……食えないものはないよな?」
「ないですね、というかロマネスコって僕食べたことないんですけど」
「ブロッコリーと大体同じだからブロッコリーが大丈夫なら食える」
これだけ野菜が入ってるならビタミンはある程度補給できそうだなと妙な安心をしたところでトーストが焼けてきたようでいい匂いがする。
「もう良いな。イーグルス、食べられる分好きに盛るといい」
お玉を差し出されると先輩はトーストのほうを見に行ってしまった。
(……ちょっと味見させてもらお)
小さなスプーンで味見してみるとミルクと野菜の甘さの広がる優しい家庭の味が広がる。
純粋な料理の腕前で言うならサンゴリアス君のほうが上なんだけど、先輩のは料理上手なお母さんの味って感じがする。
でも先輩はお母さんじゃないので、つまり。
「美味しい黒魔女さん……」
「我が黒魔女なら汝は可愛い使い魔だな」
僕の感想を聞いて先輩は楽しそうに笑っていた。



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イーグルスとブラックラムズ。
公式戦で試合した次の日に練習試合組むのめちゃくちゃ仲いいな!という叫びを込めて

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