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コーギーとお昼寝

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うちよそ短編

ツイッターでお世話になってるらぎーさんちのお子さんをお借りしての短編3つです



・水島へ里帰り
僕たちの母は、それはそれは美しい赤を纏っている。
「「母さん!!」」
「久しぶりだねえ!」
川崎製鉄水島製鉄所―今はJFEスチール西日本製鉄所水島地区に名を変えてしまった―それが、僕らの明るくて美しい母の名前であった。
岡山駅で待ち合わせた弟との久し振りの里帰りに、母は思い切り僕を抱きしめてくる。
「久しぶりだねえ、神戸で西宮とか神戸製鋼姉妹とかにいじられてない?」
「いえ、西宮さんは関西圏の試合はよく見に来てくれますし神戸さんや加古川さんは時々お茶に誘ってくれますよ。スティーラーズさんもいい人ですし」
「そりゃ良かった……ヴィッセルに何かあったら灘浜まで殴り込みに行くところだったよ」
「水島、殴り込みは止めた方がいいと思うよ?」
福山さんがやんわりと母を差し止める。
ふわりとした優しげな雰囲気の幼馴染である福山さんに、母はそれはそれはぞっこんであることを僕たち兄弟はよく知っている。
母さんの綺麗な幼馴染である彼女との暮らしは結構楽しいらしいことは僕らも伝え聞いている。
「そうだけどさー、ヴィッセルもファジアーノも息子同然に可愛がってきたんだから何かあったら嫌なんだよ……」
「母さん、僕も兄さんも大丈夫だから」
「葺合も千葉や私に対してこう言う感情抱いたりしてたのかな……?」
母さんは、僕らを大事にしてくれている。
今は母さんの手を離れた僕のこともこうして抱きしめてくれるのだ。
(……里帰りって、いいな)
たぶんそういうこと言うともっと頻繁に顔出してなんて言うだろうから、直接は言わないけれど。


・ヤマハさんちの兄弟
休日だからいつもは行かない少し遠くのお店で買い物しよう。
そう思い立って車を飛ばしたら、見慣れたサックスブルーが二つ並んでいた。
「……ジュビロ?」
「「なに?/はい?」」
見慣れたジュビロよりも頭一つ分は大きくてがたいも立派な青年だ。
彼ははちらりと隣にいたジュビロを見ると、「ねえ」と俺に声をかけた。
「エスパルスってうちの弟と会うの初めてだっけ?」
「弟?なんか最近お前と同じ名前にしたっていう?」
「うん、これうちの弟なんだよ」
「あー……だから反応したのか」
少し前にラグビーをしている弟が愛称を兄と同じジュビロにしてつい最近本当に名前まで同じにしてしまったことは知っていたが、なるほどそう言われればラガーマンの風格がある。
こちらもスポーツマンではあるがやはり求められるガタイが違うのだろうなと思わされる。
「ヤマハ発動機ジュビロです、ややこしかったら弟の方とでも呼んでください」
「おう。清水エスパルスだ、宜しくな」
(しかし兄弟で同じ名前って少しややこしいな……)
そんな本音は、一応伏せておいた。

・きみはかみのこ
「アントラーズ、」
そう呼びかけたのは、久しぶりに見た兄弟分の顔だった。
「鹿島臨海線か、大洗鹿島の方じゃないんだな」
「……今日は年に一度の旅客運転絡みの話だから」
ホームスタジアムの前にある駅から神栖までを走る彼は、俺と同じ企業を親に持つが生来めんどくさがりな気質であり普段はモノを運んでいることもあって人前に姿を現すことはめったになかった。
弟の大洗鹿島線はホームゲームのたびに臨時列車を走らせてくれるので顔馴染みなのだが、兄の方とはいまいち距離感がつかめないのが実情だ。
「ああ、そういうことだったのか」
「それと今度のホームゲームに向けた増発列車の時刻表」
「ありがとう」
手渡された時刻表をざっと確認する。
いつものことではあるが、こうして列車を増発してくれるのは俺にとってもありがたい事だ。
「……あと、次のゲームも頑張れ」
「いつだって俺は手を抜いたことはない」
「知ってるよ、兄弟」
それじゃあと言うようにさっさと去っていく。

(……今度会ったら俺も兄弟と呼んでやろう)

いつ会えるかは、分からないけれど。

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