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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

クッキーだけじゃ足りてない

好きな人からの荷物は嬉しい。
「ヒート君から荷物届いた……!」
わざわざ今日という日に日付を指定して用意してくれた荷物の重みが嬉しくて、小躍りする気持ちを抑えながら箱を開く。
綺麗な包装材に包まれたクッキーとチョコレートボックスが詰められ、一緒に小さなメッセージカードも添えられている。
バレンタインカードが嬉しくて荷物はそこそこにまずはカードを開いてしまう。

パールズへ
ハッピーバレンタイン!初めてのバレンタインだから何かできたらいいなあと思って色々用意してみたよ。
クッキーは13日の試合で配布予定のものなんだけど天気悪そうだから余る気がするってスタッフさんがくれたものだよ。
でもバレンタインのお菓子って色々意味があるって言うし、これだけじゃどうしても足りないなあと思って思い切ってチョコレートを作ってみたんだ。
出来栄えについてはちょっと微妙なんだけど俺なりにパールズにしてあげたい事を全部したつもりなので、よかったら美味しく食べてください。
ヒート

その手紙だけで嬉しくなってしまう。
「出来栄えより私のためにしてくれた気持ちのほうが嬉しいんだけどね」
手紙も包装紙も大事にとっておこう。
そしてこれも誰にも見つからない場所に隠しておかなくちゃ。


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パールズとヒートのバレンタイン。

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真夜中テンションのハロウィンが一番怖い

「先輩、トリックオアトリートです!」
布マスクを外したイーグルスがうちに押しかけてきたのは日付も変わった午前零時すぎ。
妙に雰囲気のいいスーツに謎の棒とそれっぽい牙までつけてきている。
「……Halloweenのコスプレか?」
「移転先の横浜にちなんでネットミームでお馴染みの吸血鬼Y談おじさんです!」
この可愛い後輩の口から猥談という単語が出て来る事に何とも言えない気分になるがまあいい。
あと眼の下に大きめのクマが出来ているが大丈夫なのだろうか。
「因みに悪戯の中身は?」
「口を開くと性癖丸出しになる催眠をかけます!」
「其れは危ういな、寒いし中に入ると良い」
後輩を中に入れた後とりあえずデカフェのホットラテと一緒におからのクッキーを出してやる。
「お菓子はこれらで良いか?」
「はい」
即答だった。善良な吸血鬼で何よりである。
もりもりとクッキーをかじりコーヒーを飲む姿を妙に穏やかな心地で見守っていると、ふとあることが思いつく。
皿の上のクッキーが切れたタイミングで目の前の後輩にこう問いかけた。
「イーグルス、Trick or Treat」
「え」
しばらく考え込むと「ちゅーでいいですか」と聞いてくる。
「然うだな、キスは甘いからお菓子だ」
微かな笑みを零して菓子よりも甘い口づけを一つ。
「然し此れだけでは足りぬな」
「……僕もです」
何よりも甘いものを欲する夜はまだ始まったばかりだ。



なお、翌朝正気を取り戻してふたりは恥ずかしさで死んだ。

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ブラックラムズとイーグルスのいちゃいちゃ

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じめじめ日曜日と恋人

鈴鹿での大会に合わせてヒート君の家に泊まりに来たが、結局何も起きずに朝を迎えた。
ふたりでブリティッシュ&アイリッシュライオンズ戦を見ながらずーっとお喋りしていたせいで、試合が終わった時にはもう午前二時前。
正直まだ眠くて仕方ないけれど、今日も試合があるから寝ているわけにもいかない。
「……パールズ」
「おはよう」
まだ寝ぼけ気味のヒート君が私を見て「冷蔵庫に朝ごはんあるから食べてって~」と寝ぼけた声で告げてくる。
「ありがとう、おやすみ」
寝室を出て冷蔵庫を開ければおにぎりの乗ったお皿や片手鍋に入ったお味噌汁に野菜入り卵焼きが出てくる。
お味噌汁はひとり分だけお椀に入れてレンジで温め、その間に天気予報をチェックする。
昨日からのじめじめは今日も続くようだけれど雨は降らないらしい。
チンしたい味噌汁におにぎりと卵焼きを合わせれば十分な朝食だ。
昨晩も得意料理だというカレーうどんに半熟卵を乗せてくれて、あれも美味しかったなあ。

「……今日も頑張ろ」

今日はホームゲームだし、あとでヒート君も見てくれるはずだ。頑張らなくちゃ、ね。


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パールズとヒート

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Love so sweet

一目見た瞬間に確かにきらきらしてる、と思った。
「はじめまして、四日市から来ました三重パールズです!」
風になびく金と青のポニーテールが最高に綺麗だった。
「あ、ホンダヒートです」
お互い握手で手を伸ばそうとすると後ろからラブソングが流れだし……って
「……誰だよいま嵐のLove so sweet流した人!」
反射的にツッコミ入れたらスタッフの悪乗りだった。
危ない、うっかりこのまま恋に落ちてしまうところだった。
今はラグビーと仕事で十分なのにと思ったら「なんだ、」とパールズが笑う。
「私の幻聴だと思ったのに」
「は?」
そこから付き合うという話になるのは早かった。ほぼ勢いである。
インスタに応援メッセージを見返していると、心にふわっと春風が吹いてきた。
「……何にニヤてるんです?」
シャイニングアークスからのドストレートな暴言も今は平気で受け流せる。
「彼女からの応援見てた」
「誰ですか彼女って」「自粛中に出来た恋人」
スマホを伏せた俺がニヤッと笑うと、本気で意味が分からないという顔で見てきた。
恋人ができて史上最高に浮かれてる俺なので今日はとても調子がいい。
「さーて、開幕スタートダッシュ切りますか!」
「勝つのは私ですが?!」




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ヒートさんとパールズちゃん。
お互いに一目惚れした三重コンビ書きたかった。

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冬の鍋にはお前が足りない

知り合いの漁師から鱈を丸々一匹買う事が出来たので朝からいろいろと調理して保存食が出来た。
塩漬けや干物にした鱈が庭に干され、残ったアラと白子は野菜と一緒にざっぱ汁に。
本来ざっぱ汁は男鹿半島の料理だが、うちには岩手以外の人間も多かったので秋田・津軽の料理を食う機会もあった。その時に覚えたのがこの汁物だった。
津軽のじゃっぱも悪くはないが、大量の野菜と魚のアラで作るこちらのほうが腹に溜まるしおかず代わりにもなって好みだった。
最後に味噌と少量の酒粕を混ぜて仕上げれば出来上がりになる。
ポケットに突っ込んでいた携帯電話がテレビ電話の着信を鳴らしてくる。
『メリークリスマス!』
スティーラーズはほろ酔いの顔をして、画面越しに手を振った。
「……そうか、今日クリスマスだったな」
『忘れとったん?!』
「クリスマスでも練習はあるしな」
『まあ……それは、そうか』
向こうもそれで概ね納得したらしく、ほろ酔いながらも頷いていた。
『ちなみにそっちはホワイトクリスマス?』
「雪は降ってないな、大みそか辺りに降るって話じゃなかったか?」
携帯を専用の台に置いてから白米とざっぱ汁、それと漬物を並べて夕飯の支度をする。
『そのデカい鍋なに?』
「きょうの夕飯の鱈のあら汁」
『白い魚でホワイトクリスマスかー、ちなみに俺はフライドチキンとハイボール~』
「クリスマスっぽいな」
『おん、でも姐さん先に寝てもうたから今ひとり飲みでなあ』
「……それでこっちに、か」
存外寂しがりなところのある男だ、らしいといえばらしい行動である。
その後も電話でああだこうだと喋ってくる酔っぱらいの話をBGMがわりに聞き流しながら、ざっぱ汁の溶け込んだ魚のうま味に舌鼓を打つ。
しかしずっと声が聞こえてるのに、小さい液晶越しにしか相手の顔が見れないというのが妙に寂しい。
『なあ、』
「うん?」
『次いつ会いに行けるやろか』
「……お前さんが鵜住居に来てくれりゃあいつでも行くんだがな」
『意地悪言うなあ、俺が日程決めとるわけやないもん』
ほろ酔いですねながらそうぼやくのが、なんだか妙に愛おしい。
そんなクリスマスイブの夜である。

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