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コーギーとお昼寝

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ヴァレンタイン・イブと高級チョコレート

ラグビーシーズンも終わり年度末の多忙さに追われる2月半ば、神戸からひと箱のチョコレートが届いた。
筆記体でhappyValentine!とだけ書かれた紙と、白くて高そうな箱に入れられた9粒のカラフルなチョコレートに思わず小さなため息が漏れる。
(ホワイトデーのお返しとか用意した方がええんか?)
仮にも惚れた腫れたの仲であるのでそう言うのは必要なのだろうが、年度末の多忙さに追われてすっかり忘れていた。
バレンタインより少し早めに送ってきてくれたのは手違いなのか気遣いなのか、そのあたりは定かじゃないがとにかく何か考えねばならない。
甘党なヤツのことだ、あんまり安いもんを送るのも悪かろう。同じぐらいの値段のものを送るのが良かろうか。
箱に書かれた文字はブランド名か?と検討をつけて一粒齧りながら携帯で検索をかけることにした。
「は?」
うっかり取りこぼしそうになったチョコを口に押し込んで、画面に映し出されたチョコの値段をもう一度見る。
9粒で3780円、つまり一粒420円。
つまり今食べていた水色のブルーベリー風味のチョコ一粒で420円。牛丼並のサラダセットより高い。調べものしながら食うようなもんじゃないぞこれ、ちゃんと味わわなかったことを心から後悔した。
反射的に電話をかけると奴はすぐに電話を取った。
「もしもしー?どないしたん?」
「バレンタインチョコ、受け取ったんだがえらい高価なもん寄越してきたな?!」
「ちゃんとしたチョコなら普通の価格帯やけどなあ」
「こんな高価なもん寄越して来たらお返しに悩むわ!」
「ええねん、俺がお前にお気に入りのチョコ食わせたかっただけやし」
「いや、だとしてもなあ?」
確かに自分よりもスティーラーズの方が金銭的には余裕がある。だとしてもあんまりいいものを貰い過ぎるのは気が引けるのも事実なのだ。
「……ほんなら、お返しのかわりに神戸来たってや。5月ぐらいになったらお互い都合ええやん?」
「そんな気軽に「お前を神戸に呼べるんやったらいくら出してもええわ」
電話越しのその声色は冗談に見せかけているくせに本気の色合いをしていて、ああしょうがないなと小さくため息を吐いた。
腐っても惚れた相手にそんなこと言われたら抗うすべなどないのだ。
「分かった、」
どんなことをしてでも5月は会いに行ってやろう、どんな高価なプレゼントよりもそれが一番のお返しになるのだから。




早めのバレンタインV7ダービー。
スティーラーズのあげたチョコはサ○ハルア○キです。

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おやすみなさいと言ってくれ

枕元に置いておいた携帯電話に『お疲れさん』という短いメッセージが届いた。
送り主は案の定というか、スティーラーズからで一緒に呑んでいたらしいヴェルブリッツの写真も添付されている。
『そっちこそお疲れさまだろ、あと日本選手権決勝進出おめでとう』
『おう、そっちはまだ残留決めてないんか?』
『次の試合に持ち越しだな』
『そっか』
短い文字のやり取りを繰り返していると声が聞きたいと思う。
あの柔らかな神戸訛りで名前を呼ばれるのは好きだし、多少なりとも惚れた相手の声を聴くのは心地が良いことだった。
『電話してええ?』
いいぞ、と短い返信を送ればすぐに電話がかかってきた。
通話ボタンを押せば「もしもし」と柔らかい響きがした。
「おう」
「……なあ、俺の試合は見たん?」
「試合が終わってからネットで結果は確認した。疲れたろう」
「疲れへん試合はないやろ。80分走って叫んでしとったら誰でも疲れる」
「それもそうか」
試合とその後の打ち上げも終わってのタイミングだから疲れも多少は抜けたろうが、ぼちぼち眠りにつきたい頃合いだろうに電話を寄越してくるのはそれだけ恋しいような気持があるからなのだろう。
シーズン中はタイミングが合わないと会える機会もないから、寂しいのだ。
「ほんと疲れたわ」
「そりゃそうだろう、もう寝たほうが良い」
「……ん」
これはたぶん俺の方から言わないと切らない奴だな、と察してしまう。
「おつかれさん、きょうはしっかり寝ろよ。おやすみ、コベルコスティーラーズ」
「おやすみ」
そうして電話越しの相手は喋らなくなり、しばらくすると電話越しに寝息が響いてきた。
一晩かけて釜石へと帰るバスの揺れと電話越しに聞える寝息を子守歌に俺はそっと目を閉じた。



ただのV7いちゃいちゃ。
決勝もどうなるのか楽しみですね

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めがね

「汝のメガネ、随分と汚れてきていないか」
ふいにラムズさんが僕の普段使いのメガネに手を伸ばした。
試合ちゅう以外はずっと愛用しているこのメガネも言われてみれば随分長いこと使っているしフレームも塗装のはげが出てきているから、言われてみればそうだなと気づいた。
「確かにそうかも知れませんね」
「新しいのを買うべきではないか?」
「うーん……でもこれ親の選んでくれた奴で気に入ってるんですよね、レンズも非球面で薄いし」
「なら我が選んでやろうか」
「えっ」
その指先で僕のメガネフレームをなぞりながら彼が優しく微笑むのがはっきりと見えた。
「赤いフレームがいいな、今の銀縁の細いフレームも元の顔の印象をあまり変えることが無くて悪くはないが赤は汝の色であるし汝は赤がよく似合う」
あまりに優しくていい笑顔でそんなことを言いだすものだから、僕の心臓が急に鼓動を速めてくる。いきなりすぎて心臓に悪い。
「眼鏡のつるも赤がいいな。然し……どうせなら黒をさしてやりたいな。耳かけの辺りに黒をさして、我の色もまとわせてやりたい」
「あの、」
「うん?」
「……いきなり恋人の顔出してくるの、ほんと心臓に悪いんで」
あまりの事に耐えられず燃えるように熱い顔をうつむけた僕に、その人は愉快そうに美しく笑うのだ。



意味もなくいちゃつく光学ダービーは可愛い

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初夏を愛せよ

しゃっしゃっとすきバサミが音を立てて赤い天然パーマを薄くしていく。
「マーズあにさん意外に器用ですよね」
「意外か?」
「はい」
「そりゃあ心外じゃのぅ、これでもうちは製造業じゃし」
マーズあにさんの手で軽くなった髪の毛が初夏の風にふわりと揺れた。
梅雨入り前の蒸し暑い昼下がりにはちょうどいい髪型になってきた。
「あにさん、」
「うん」
「……今年も、あにさんと試合するの楽しみです」
「おう」
ちゅっと小さな口づけを落とせば、夏の匂いがした。



いちゃいちゃする広島ダービーの話

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手紙を書く話

うちの姐さんからインクを貰った。
小瓶の入った鮮やかな赤の万年筆用インクである。
「大瓶で1つ使い切るの大変だから半分あげるわ」
「なんでそんなもん買うたんですか」
「使わないとは思っても綺麗な赤に一目ぼれしちゃったのよ、スティーラーズは万年筆持ってたかしら?」
「万年筆なんてどっかにしまい込んでどっかやってもうたままですよ」
「ならガラスペン貸すから手紙でも書いたら?」
引き出しからこれまた鮮やかな赤いガラスペンと白いレターセットを引っぱり出して俺に押し付けてくる。
インクの小瓶を晩冬の日差しに透かせば確かに宝石のような美しい赤が目に飛び込んでくる。
その赤で連想したのは、かつて見た赤と白のユニフォームを纏うシーウェイブスの姿だった。
今でこそあの青いユニフォームも見慣れたものだが、かつてあいつの纏う色と言えば赤だった。
(……あいつに手紙でも書いてみようか)
そう思い立ってみれば話は早い。
自分用に与えられた部屋に戻ると、小瓶のふたを開けてガラスペンの先をインクに浸してかりかりと文字を書き連ねる。
定期的に会っているはずなのに書くことは不思議と尽きないもので、結局便せん四枚にもなる友愛の台詞を書き連ねた手紙が出来上がっていた。
最後の一行に『返事は要らんので出来たら捨てずに取っといて欲くれ』と書き添えて封をした。
(あいつが捨てんといてくれたら上出来やな)
数日後、東北から一通の手紙が届いた。
送り主はシーウェイブスからで、書き添えてあるのは一言。
『捨てる訳あるか阿呆』


……ああやっぱ好きだ。


ただの神戸鉄海波の甘い話。
神戸行ったときに小瓶入りの神戸インク物語セットを買ったのですが、南京町フォーチュンレッド買えばよかったなと未だに少し思ってます(中山手ブラックを買ってしまった)

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