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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

夏のリヨンからのお荷物です

春先から続く病気の流行によるマスク焼けだけでなく、夏の湿気と暑さでやられている今日この頃。
小さな段ボールが遠く異国から届いてきた。
送り先はフランス・リヨン。
箱の中身はワインやチーズに、あちらの名物だと言う鶏のレバーケーキやピスタチオ入りのソーセージがぎっしりと詰め込まれている。
買い置きの冷凍食パンを焼き、その間にソーセージを茹でて切ったりチーズを準備したり、貰い物の冷製スープも出して簡単な夕食を揃えてみればいつもより豪華に見える。
……いや、普段から粗食すぎるとスピアーズに叱られていることを思えばいつもが質素すぎるのだろうか。
焼いたパンにクリームチーズを乗せて食べてみれば、さくりとした食感にハーブやニンニクの風味が広がって美味しい。
ソーセージも薄めに切って口に放り込むと肉の脂っ気にナッツの食感が面白い。
この時間なら大丈夫だろうかと時間だけ見てから、インターネット回線で送り主への電話を繋ぐ。
液晶画面には薄い色のサングラスをかけた狼耳の男性が朝の景色を背景に映ってくる。
『オハヨウ!シャイニングアークス、comment allez-vous?(調子はどう?)』
フランス語で話しかけられた瞬間に意識がフランス語に切り替わる。
「もうこっちは夜ですけどね、Louさん」
荷物の送り主であるリヨンloさんとは最近意気投合して色々やるようになった。
『じゃあコンバンワだね、荷物は届いた?』
「はい。有り難く頂いてますよ」
カメラの前に差し出してくると『そりゃあよかった』と笑う。
『気に入ったものがあったら教えておくれ、この病気の流行が落ち着いてリヨンに来たらもっと旨いものを準備しておくよ』
サングラスのせいで表情は読みづらいが声色から感情は読める。喜ばしい感情が声色から滲んでいる。
「僕の方も準備しておきますよ、お酒なんてどうです?」
『くれるのか?なら日本酒がいいな』
「ええ、日本酒とそれに合うものお届けしますよ」
元々はビジネスで知り合った仲だが、こうして良い関係を築くきっかけになるならお安いものだ。
縁は異なもの味なもの、こう言う縁も楽しむのが吉だろう。




ーーー
シャイニングアークスとリヨンou
そのうち海外リーグ組が増えそうなのでちまちました習作を。

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おいでよアークス学園!

ある平日の昼下がりの船橋。
「ねむ……」
駄目だこりゃと仕事道具を所定の場所へ戻し、眠気覚ましのブラックコーヒーを入れに給湯室に行くとウォーターサーバーの水タンクが切れていた。
せっかく冷水と熱湯が出るウォーターサーバーになったのに水がなきゃ意味がない。
仕方なく水タンクをウォーターサーバーに差し込んでお湯が沸くのを待つ間、スマホに来ている連絡の類を確認するとアークスからLINEが来ていた。
(珍しいな、こんな時間にLINEなんて)
届いていたメッセージをたっぷすると、そこにはなぜか学生服姿のアークスがいた。
思わず自分の目をこするけどやっぱりスーツじゃなくてブレザーだ。
ニットの胸元に青い校章がついてるし、靴もひも付きの革靴ではなく紐のないローファーだ。
思わず電話をかけるとすぐに電話がつながった。
「LINE見たけどあの写真何?!」
『スピアーズでしたか、というか挨拶もなしにそれ聞くんですね』
「俺の眠気が飛んだもん!なにあれ?!」
『ああ、チームのバリューアップ活動の一環で学生風の服装で動画を撮る企画が進行してまして』
「そういう謎企画ってグリーンロケッツの担当じゃないの?!」
最近のアークスはぶっ飛んだ企画が多かったけど、もうこれは俺の理解を超えてる……何で社会人に学生服着せようとしてるの……?
思わず宙を見上げたけど、あるのはただの切れかけた蛍光灯だった。
『まあそうですけどね、面白い企画をやれば注目されて、私や選手も注目されますから』
「うん、まあそうだけど……というか、まさか今度入団するレイドローに学生服とか……」
『検討中、とだけ。それでどうですか?』
本人はいたって正気なようでフラットな声で答えられた。
楽しいことは好きだけど、アークスのボケって真顔で想定外の方向に行くからはた目からするとほんとにビビるのだ。
「インパクトはあると思うよ」
『これでキンプリとかBLやれば受けますかね?』
「何考えてるの」
真剣な声色でぶっ飛んだことを検討するアークスに、ちょっと前のお堅いぐらいに真面目なアークスが恋しくなった瞬間だった。


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スピアーズとシャイニングアークス。
最近ちょっと企画力がぶっ飛びすぎて私の脳がおいつきません。

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夏越の祓

6月30日、広島市内某所。
静かに曇る空を見上げながらこの後どうしようかと少しばかり考える。
父親に呼ばれて広島市内の本社まで来たが昼過ぎには用事が片付き、ようやく再開された練習が始まるまではだいぶ余裕がある。
久しぶりにパルコかゆめタウンにでも行って新しいトレーニンググッツでも見に行こうかと思案していると、ポケットに入れていた電話が鳴った。
「マーズ兄さん、どうかしましたか」
『いや、今暇しよるか?』
「そうですね、本社に呼び出されたのは早く用事が済んだので新しいトレーニンググッツでも探そうかと」
『ちゅうことは市内に居るんか、ならちょうどええな。いま宇品の工場に居るけえ護国神社の六月祓に行かんか』
「良いですよ」
待ち合わせ場所を決めるとすぐに電話が切れた。

****

護国神社の駐車場に車を止めると、思ったよりも参道は賑わっていた。
平日昼間でこの病禍のご時世によくもまあみんな来るなとつぶやくと「こういう時ほど神頼みなんじゃろ」と兄さんは笑った。
六月祓というのは6月の最終日に行われるお祓い行事で、茅の輪くぐりと言えば分かりやすいだろうか。
青々とした茅で作った大きな輪を八の字にくぐって厄払いをするアレだ。
「でも何で六月祓なんです?」
「上半期の厄落としだな、それに今シーズンのこととか新リーグのこととかもお祈りしてこようと思って」
「あー……今年はほんとに大変でしたもんね」
今年上半期に起きた様々な出来事が脳裏を通り過ぎていく。
下半期のほうもはたして穏やかに過ごせるのか?と思えば頭を抱えたくなる不安要素ばかりだ。
「ついてる厄は少ないほうがいいしなあ」
「ですねえ」
そうこうしていると茅の輪くぐりも自分たちの番になる。
ぐるぐると輪をくぐり、ぶつかって付いた茅もちゃんと払い落とす。
「……少し体も軽くなった気がしますね」
「そうだな」
ついでに神社もお参りしていこうと言って本殿のほうへ足を延ばすと、同じような考えの人たちが距離を保ちつつ並んでいる。

「そういやあ、新リーグの参加申し込みどうしたんだ?」

いかにも暇つぶしのようにそう切り出した兄さんの目は、どこか淡い不安の色があった。
(……本当はこのこと聞きたかったのかな)
申し込みチーム名の発表は明日だ。
事前に知って心の準備がしたいと思ったって不思議じゃないのかもしれない。
「参加するって話、あったろう」
「ええ」
「出しましたよ」
僕があっけなく答えると、「そうか」とつぶやいた。
「再来年には広島ダービー復活か」
「はい」
兄さんがどこか嬉しそうに呟くので、僕も心が穏やかになる。
明日から7月。本格的な夏は近い。



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レッドレグリオンズとブルーズ―マーズ。
広島ダービー復活確定めでたい!

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最近の小ネタ集

・日々愉快(グリロケ+アークス)
最近のマイブームは寝起きじゃんけんだ。
『という訳で今朝のグリロケじゃんけんのお時間です』
『……フェイスガードつけて人んちに突撃するのやめてくれません?』
寝不足顔のシャイニングアークスに対して僕のほうはスマホのカメラを起動して撮影続行中である。
『ほら、グリロケじゃんけんだよ。グーリロケじゃーんけーん、じゃーんけーん?』
『グー、という訳で10秒以内に退室しないとグーで叩きだします今すぐ帰りなさい』
『パーを出した人は超ラッキー!明日もこのミラクルセブンが誰かの家に突撃するよー!』
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と言う謎動画が届くだけの平和な世界

・なまえのこと(スピアーズ+グリロケ)
『兄弟でおんなじ名前ってめんどくさくない?』
グリーンロケッツが画面越しにそんなことを言ってくる。
「んー、まあそうだけど決めたのうちの親だし、文句つけようがないよねー」
このたび同じ名前で活動することになった男子バレー部-いちおう俺の兄である-のことらしい。
まあ住んでるところ違うから兄弟間でそんなに交流ないし、名前を兄弟で共有することはちょくちょくあるから俺は気にしてない派だ。
『そうだけどさー、兄弟で名前一緒ってややこしいじゃん』
「どうせそのうち慣れるから大したことじゃないでしょ」
『……お前は、自分の名前に執着とかないの?』
グリーンロケッツがそんなことを聞くので「ないねえ」と答える。
「だって俺自身の権限で決められることなんて全然ないし、何かに執着したって苦しいだけじゃない?」
『そんなんじゃ自分がぼやけるよ』
妙に真剣みのある声で俺にそう告げたのは彼らしい言葉だ。
兄弟たちと姿かたちがよく似ていたグリーンロケッツだからこそ、兄・姉と自分が別人だと明確に感じていることで自分の輪郭を明瞭にしたかったのかもしれない。
「ま、たぶん大丈夫だよ。たぶん」
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スピアーズさんはのんき

・海の街の夏(シーウェイブス)
この町に夏が来る頃、冷蔵庫にはオレンジ色の詰まった牛乳瓶が並ぶ。
時期の名物であるウニの牛乳瓶詰はこの季節特有の貰い物であり、瓶詰づくりのバイトはオフシーズンの重要な収入源でもある。
しかし今年は昨今の飲食店自粛で売り上げがよろしくない。となれば、自分で知り合いに売るしかないだろう。
『新鮮な瓶詰ウニ要らないか?欲しい人は返信希望』
友人知人に送り付けたメールの返事を待ちながら、初夏の風を静かに浴びている。
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三陸のウニを喰え

・夏の盛りは近い(イーグルス)
色々なことが原因でいつもならば春先にやるような退部・入部の事務仕事に追われる日々が続いている。
「はー……疲れたな」
背筋を伸ばしてぽつりとつぶやけど、きょうも事務所の人気はまばらだ。
練習はようやく再開されたものの外での練習がメインだから中にいる人は少ない。
いつもなら屋内でやる筋トレやストレッチも器具を外に移したので、建物内は妙にすかすかした感じがする。
換気のため開け放たれた窓から入り込むぬるい風は夏の湿った芝草の香りがする。
「もっと暑くなったら、どうなるんだろうなあ」
夏の盛りは刻一刻と近づいている。
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もうすぐ夏です

・去り行く人(ブレイブルーパス+スティーラーズ)
『キンさん、引退するってホンマなん?』
「ほんとだよ。今度からうちの広報になるよ」
同じ内容の確認の電話を貰うのは今日で三人目だ。
みんなから愛される人だったのだと喜ばしいけれど、何度も同じようなことを答えないといけないのは正直うっとおしい。
『……人間が歳食うのって早いよなあ』
「戦前生まれが言うと説得力違うよね」
『俺のことジジィ思っとるよなお前』
「この界隈じゃ戦前生まれは年寄りでしょ、事実として」
俺は一応戦後生まれだけれど、年月の経過の早さは俺だってわかる。
自分が拾って育てた人が、鉄人と呼ばれて第一線を去る姿を見届けていればなおさらのことだ。
「今度福島行きたいな」
ぼんやりとそんな言葉を漏らすと『一人で行けや』と大変冷たいコメントが帰ってきた。
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大野選手、お疲れさまでした

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うちの妹は可愛いので

「ルーヴ、髪伸びたね」
このところのバタバタでろくに顔を合わせていなかった妹の髪がずいぶんと伸びていることに気づく。
「そうですか?」
「うん、前は肩甲骨ぐらいまでだったのにもう背中の真ん中ぐらいまで伸びてる」
ちょっとおいでと妹を隣の椅子に座らせると、ああやっぱり伸びてるなあとよくわかる。
猫っ毛気味の細く柔らかい髪は触り心地がいい。
俺も伸ばしたらこれぐらいふわっとした感じになるんだろうか、まあ俺男だし伸ばす予定ないけど。
「長いとふんわりしてるのがよくわかって可愛い」
「兄さまにそう言っていただけるなら幸いです」
俺はそんなに兄弟と縁の濃いほうじゃないから、妹が一人増えてもさほど気にしたりはしていなかった。
けれどこうして一緒に過ごしてると兄弟姉妹もいいものだととつくづく思う。
ダイナボアーズとかサンゴリアスが兄弟を大事に思う気持ちがようやくわかってきた気がする。
「いまゴムでもあれば三つ編みにしてやれたんだけどね」
「三つ編み出来るんですか?」
「簡単なのならね」
「……じゃあ、今度してください。わたし、兄さまに髪結んでほしいです」
妹が野花が咲くように表情をほころばせる。
……うちの妹めちゃくちゃかわいいな。




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ブレイブルーパスとブレイブルーヴ兄妹のはなし

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