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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

堺が夜食を作るだけ

人間でもないのに空腹感を感じるとき、なんで人間でもないのにお腹がすくのだろうと思う。
午前0時過ぎに目が覚めて空腹感を覚えながらそんなことを考える。
とりあえず開けてみた一人用小型冷蔵庫の中身は空っぽで、ああめんどくさいと思うながらもとりあえず近所のコンビニに行こうと決めて歩いて5分のコンビニに向かう。
「いらっしゃせー」
やる気のない店員の声を聞き流しつつ店内を歩き回ることにする。
真夜中のコンビニは手っ取り早く食べられるものの宝庫だが、この時間だと弁当やおにぎりは売り切れでパンがちょっと残っている程度だ。おでんと肉まんも少しあるがそれだけだと物足りない。
ちらりと眼に入ったのは一人前のゆでうどんで、じゃあうどんにしようと籠に放り込む。
それとレトルトの牛丼の具、それと揚げ玉。あとデザートに苺アイスとチョコチップパンも買うことにする。
さっくりとお会計を済ませてとりあえず自宅に帰ることにしよう。

****

真夜中の台所にスイッチをつけて、まずは中華鍋に水を汲んでお湯を沸かす。
だいぶ前に光から貰った中華鍋は大きくて深いので鍋の代わり茹でるときに重宝している。
レトルトの牛丼の具は深皿に移し替えてレンジで温める。
中華鍋のお湯が沸いたらうどんを投入し、ほぐれて柔らかくなるのを待つ。
あとはうどんを湯切りしてレトルトの牛丼の具と揚げ玉を混ぜるだけだ。
牛丼の濃い醤油味がうどんに絡んでつるりと胃に落ちていく。
時折揚げ玉がサクッと音を立てて口の中に混ざってくるのがいいアクセントになっていく。
「ごちそうさま」
空になった皿は水に浸してシンクに置いておく。洗うのは明日で良い。
少し物足りないなと冷蔵庫のアイスに手を伸ばす。
『食べることは命を繋ぐことなんだから』
まだ小さかった時に食事を億劫がる俺に光が繰り返しそう言っていたことを思い出す。
今はお腹がすいたら食べるようにしているが、四日市がいないのになぜ食べて命を繋がないといけないのだろうと理不尽さすら感じていた記憶がある。
まあ、いまは少しまた違うのだけれど。





堺と牛肉ぶっかけうどん。
製鉄所組で一番食に関心がないのは堺と直江津です。

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海南が夜食を作るだけの話

「かーいーなーんー、おきてー」
真夜中に俺をたたき起こしてきたのは泥酔した和歌山だった。
「……酒くせぇ」
「のんだからおなかすいたー」
いい御身分だなこの野郎、と苦情の一つでも漏らしたくなるが酔っ払いに何を言っても通じないのはこの世の理である。眠い体を起こしてしぶしぶ茶の間に向かう。
「何食いたい?」
「なんでもいいよー」
なら適当になんか差し出して寝よう。酔っ払いに包丁持たすよりはましだ。
冷蔵庫の中にはちょうど冷凍のごはんと今朝の残りの鮭の切り身。
「ちょっと待ってろ」
「はぁぃ」
ご飯茶碗に冷凍ご飯と少量の調理酒を入れてレンジにかけ、お湯を沸かして、切り身のしゃけをほぐしておく。
あとは温まったご飯にほぐした鮭、冷蔵庫に投げ込まれていた乾燥刻み葱、粉末だしを乗せ、最後に沸かしたお湯を注いで鮭のだし茶漬けの出来あがりだ。
「ほれ」
「いただきまぁす」
壁掛け時計を見てみれば午前1時前、まだもうひと眠りできるだろう。
「かいなん、」
「うん?」
「すきだよ」
ふにゃりと穏やかな笑みをこぼす。
(こいつ、絶対分かっててこれやってんな?)
しかしそれをありがたがるのも癪なので「……知ってる」としか言わないのであった。





和歌山海南とだし茶漬け。
ちなみに二人は同じ家に住んでる設定です。

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此花ネキが夜食を作るだけ

目が覚めたら、午後11時過ぎだった。
しばらく仕事がバタついていて自宅に戻って少し昼寝するつもりのはずが、疲れがたまってたのか思ったより寝すぎてしまったらしい。
「……腹減ったな」
そう言えばまだご飯を食べていなかったことを思い出して冷蔵庫を開く。
コンビニに買い出しに行くのもめんどくさく、パパッと食べて風呂で体を洗いたい。
缶ビールと一緒に入っていたのは和歌山が職員から貰ったという白菜、冷凍豚肉、この間作った鍋の残りの鳥つくね。
「こりゃ鍋だな」
そうと決まれば話は早い。
土鍋を引っぱり出し、水と粉末だしを入れて火をつける。
その間に白菜を刻んでおく。
豚肉と鳥のつくねはひっくり返したアルミ鍋の上に冷凍された豚肉とつくねを乗せ、またアルミ鍋で挟む。こうするとアルミの熱伝導で普通に解凍するよりも早く解凍される。
土鍋の水が沸いたら白菜を放り込み、半解凍の豚肉とつくねを放り込んで蓋をする。
あとは煮えるのを待つだけだ。
「……って、どっちにせよ腹は減ったまんまか。まあしょうがねえか」
とりあえず風呂でも洗って沸かしてれば鍋もいい具合に煮えてるだろう。

―15分後―
土鍋のふたを開ければ鍋はいい具合に煮えている。
小皿にポン酢をとってあつあつの白菜と豚肉をぱくりと口に放り込む。
「……うまいねえ」
片手でビールの栓を開けながら、まずはのんびりと空腹を満たすことにした。




此花ネキと白菜の常夜鍋。
夜食シリーズたぶんまたそのうち書きます。

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真夜中の焼き鳥とビール

金曜日の夜だから、という理由でちょっとお高いビールとやきとりを買って遊びに来た兄に思わず驚きの声が漏れる。
「……にっちゃん、いま何時か分かってる?」
現在の時刻は午前2時。立派な真夜中だ。
ほろ酔い気分なのだろう、英国紳士然とした銀の瞳を甘く蕩けさせて「なんじだっけ」と笑ってくる。
「お迎え呼ぼうか?」
「やだ、ひさしぶりにきょうだいみずいらずでさけのみたい」
「酔ってんじゃん」
「そう?」
「十分酔ってるよ」
ああでもこの調子じゃあ帰らなさそうだなあと諦めて家にあげることにした。
ふわりと甘辛い焼き鳥の匂いがして思わず食欲がかき立てられて、ぐうっとお腹の虫がなる。
「びーるよりやきとりのほうがいいか?」
「食べる」
やきとりの入った箱を開けて、玉ねぎと肉の刺さったやきとりを一串づつとる。
ちょうど6串入っているから夜食にはちょうどいい量だ。
「おとうとのぜんとようようとしたみらいをねがって、Cheers!」
酔ってても発音はきれいなクイーンズイングリッシュだ。
とんと軽くやきとりを重ね合わせてから、ぱくりと口にほうばる。
室蘭やきとりらしく豚の油と玉ねぎ、それとたれの甘みが口に広がり練りからしがピリッと味を引き締めてくれる。
ここ室蘭のやきとりはやきとりという名前に反して豚肉と玉ねぎが標準で(八幡に言わせれば詐欺らしい)個人的にこの味が一番なじみ深い。
「わにし」
「なに、にっちゃん」
「むこうでいじめられたらおれにいえよ、やはたにガツンといってやるから」
「今更いじめる訳ないでしょ?」
「のちのしゅしょーもおいはらったこのおれがガツンといえば!」
「大丈夫だから、ね?」
「……わかった」



そうして、兄と弟の夜は更けていく。


室蘭兄弟の話。

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雨の日と名前の話

奇妙な取りあわせになってしまったな、と思わずため息が漏れそうになる。
毎年のように訪れる奥出雲の地で秋の通り雨に降られて雨宿り。
それ自体はいいのだが一緒に雨宿りする相手が問題なのだ。
隣にいた少女がちらりとこちらを見やるとチッと舌打ちを漏らす。
日立金属安来、たたら場の血を引き継ぐ日本で唯一の存在。
出雲は古来から日本有数の製鉄の地であったが、明治以降量産に不向きのたたらは高炉による近代製鉄にとってかわられ今や正当なたたら場の地を引き継ぐのは彼女ばかりとなった。
「……日立金属、「そんな風に呼ばせん」
ぎろりとした彼女の三白眼が突き刺さる。
安来訛りをきつく響かせてこちらを睨まれると妙な凄味があって思わず腰が引ける。
「すまん、ただこの雨がいつ止むかと思ってな」
「知らん」
懐に入れていた携帯が鳴ると八幡からの電話だった。
『釜石、今どこです?』
「林道で雨宿り中じゃが……」
『わかりました、迎えに行きますからそこにいてくださいね』
「ああ、それなら傘一本多めに持ってきてくれ」
『は?』
「頼むぞ」
電話を切ると安来はやはり先ほど以上に不機嫌になっていた。
「ここでずっと雨宿りしとっても仕方なかろう?」
すると安来は思い切りこっちの脛をけ飛ばされて雨の中を走り出す。
さすがに骨は折れなかったが結構痛い。
「釜石なんで蹲ってるんですか?!」
「脛蹴られた」
「……また安来ですか、あんな手負いの野良猫みたいのに構う必要ないでしょう」
「言うてもなぁ。出雲来るたびに敵意むき出しにされるのもしんどくてな」
「安来のことは佐賀関辺りに丸投げしておけばいいんですよ、ああいう手合いは構わないのが一番です」
「そうかねぇ?」
蹴られた向こう脛を引きずりつつ、雨の林道をゆらりと歩き出す。
まだ雨はやみそうにない。





日立金属安来と釜石さん。
2人の間にあったあれこれについてはいずれ。

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