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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

君津くんと廃プラスチックリサイクル

君津は意外とごみの分別にうるさい。
「ったく、もう少しちゃんと分別しろよな……」
「いやあついめんどくさくて」
半分キレ気味ではあるけど鹿嶋市のクリーンカレンダーを確認しながらごみを分別してくれるから、見た目のわりに君津は根っこのところは面倒見がいいなと思う。だから堺に変な粘着されてるんだろうけどね。
「だいたい、ペットボトルは回り回ってうちで燃料になるんだからちゃんと分けろよな……」
「そう言えば毎年君津のところで加工した廃プラが来てるもんねえ」
「毎年1万トンそっちに送ってるんだけどな……」
「コークス炉の燃料送ってくれてありがとうね?タールやガスも俺たちが正しく機能するのに大切な副産品だしね」
「分かってるならもう少し分別に気を遣おうな……?」
「あはは、ごめんごめん。そういうのって人ににまかせっきりだから覚えられなくてさ」
「もう慣れたけどな、とりあえず燃えるゴミは明日回収日みたいだし今すぐに出して来い」
そう言って君津が燃えるゴミの袋を押し付けてくる。
まあゴミ出しぐらいはしないと駄目だよねえなんてのんきに考えてしまう。
「あ、そうだ。ゴミ出し終わったら冷蔵庫に入れてあるアイス食べようよ。此花からアイス屋さんに置いてあるようなおっきいアイス3つも貰ったんだよね」
「アイスクリームディッシャーこの家になかったと思うんだけど」
「でぃっしゃーってなに?」
「……もういい。後で買いに行くぞ」





君津と鹿島。廃プラスチックの話をして欲しかっただけ

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或る師弟

「おや師匠、こんなところで珍しい」
本来この国にはないはずの赤と青の入り混じった青年の視線がこちらに飛んできて、思わず顔をしかめる。
「……あなたの師匠と呼ばれると寒気がしますね、浦項(ぽはん)」
「師匠は師匠ですから」
さらりと言い切ったその台詞には怒りすら沸いてくる。
恩知らずのクソガキの手元には付き合いの深い日本一を奪って行った自動車メーカーの封筒。
(分かっていても、殺意しか湧いて来ませんね)
ある時期、国の求めのままに釜石や京浜と韓国で仕事をしていた時期があった。
その時に育てたのがこの目の前の青年であるのだけれど、彼は私たちの誰にも似ることなく育った。
京浜が言うには目や耳のかたちが八幡に少し似ていると言っていたけれど、そんなもん似てたまるかという思いの方が先に出る。
まだらになった赤と青の瞳は不自然さを感じさせるが、この青年が生まれた時からずっとこういう色であったことを私は知っている。ああ憎たらしいったらありゃしない。
「どうぞ、風邪など召されないよう気を付けて」
「あなたは一生肺炎で苦しんで死んで欲しいですけどね」
「嫌だなあ、僕は死にませんよ。韓国鉄鋼業は僕と妹にかかってるんですから」

****

「君津サンのごはん久しぶりですネ!」
大盛りのカツカレーを目の前ににこにこと笑う南国青年……もとい、ミナスジェイラス製鉄所は素晴らしくいい笑顔であった。
技術研修という名目で2年ぶりの来日を果たした(というか適当に言い訳つけては2~3年に1度は地球の真裏から遊びに来ている気がしてならないぞ?)弟子の事は、まあ、可愛いと思ってはいる。
「ええっと、イタダキマス!」
片言の日本語でそう返してくる弟子に「Vamos lá, mastigar(めしあがれ)」と呆れ気味に返す。
今日はあまり腹も減っていないからと選んだ卵サンドとコーヒーをもさもさと口に運ぶ。
(……弟がいたらこういう気持ちなんかな)
俺たちは人間じゃないから、そういう気持ちをちゃんと理解している訳じゃない。
でも「Delicioso!(美味しい!)」と叫びながら飯を食うミナスジェイラスを、可愛いと思うのはきっと普遍的な感情なんだろう。





浦項と八幡の死ぬほど仲悪い師弟と、ミナスジェイラスと君津のげろかわ師弟。

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梨を食う

大分からクール便の荷物が届いた。
『この半年お世話になったのでそのお礼です』という簡素なお礼状と一緒に届いたのは、カボスや冷凍のから揚げととり天に大分の焼酎と言った大分の特産品の詰め合わせだった。
比較的日持ちのするものが多いのはありがたい。大分の妹分である光の入れ知恵だろうか。
とりあえず冷蔵庫にポンポンと押し込んでいくことにすると、箱の奥の方にまだ入っていたことに気付いた。
「……幸水か」
大玉の梨が二つごろんと箱の隅から飛び出してくる。
一つは冷蔵庫にしまうとして、もう一つを水で軽くすすいでから皮をむく。
皮を剥いだ真っ白な身から果汁がしたたり落ちてくるのは食欲をかき立てる。
梨は秋の果物のイメージが強いが、幸水は7月下旬ごろから出回り始めるので今頃がちょうど旬の手前の走りの時期に当たる。
包丁でざっくりと4つに割り、一つを口に運ぶとひんやりした梨の甘い果汁が口の中に満ちていく。
「いい梨だな」
ここ半年ほどずっとバタバタしていたけれど、こういう美味いものが届くなら頑張った甲斐があると言うものだ。





君津と秋。
フォロワさんに指摘されるまで君津の話であることを明確にしていなかったという衝撃。

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おやすみなさい、大分さん

「大分さんはまだ寝たい」の直接的な続きです


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遠い友達

胸の奥に閉じ込めた思い出がある。
海の向こう、外地という名の異郷の匂いを背負った少年と過ごした記憶だ。
今はもう会う事も出来ない彼のことを覚えてる人ももうずいぶん少なくなってしまった。
「ねえ、呉」
「はい?」
「もう会えない人に会いたいって、思った事はある?」
今、目の前にいる年の離れた友人はその問いに困ったような顔をした。
「……俺の会いたい人はいつも近くにいてくれますから」
きっとうまい返事が思いつかなかったのだろう。
呉なりに言葉を選んだ答えだった。
「それは、すごく幸運なことだよ。大切にしてあげな」



俺の、もう一度会いたい友達は、あまりにも遠くにいる。


広畑と呉と広畑の遠い友達。

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