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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

梨を食う

大分からクール便の荷物が届いた。
『この半年お世話になったのでそのお礼です』という簡素なお礼状と一緒に届いたのは、カボスや冷凍のから揚げととり天に大分の焼酎と言った大分の特産品の詰め合わせだった。
比較的日持ちのするものが多いのはありがたい。大分の妹分である光の入れ知恵だろうか。
とりあえず冷蔵庫にポンポンと押し込んでいくことにすると、箱の奥の方にまだ入っていたことに気付いた。
「……幸水か」
大玉の梨が二つごろんと箱の隅から飛び出してくる。
一つは冷蔵庫にしまうとして、もう一つを水で軽くすすいでから皮をむく。
皮を剥いだ真っ白な身から果汁がしたたり落ちてくるのは食欲をかき立てる。
梨は秋の果物のイメージが強いが、幸水は7月下旬ごろから出回り始めるので今頃がちょうど旬の手前の走りの時期に当たる。
包丁でざっくりと4つに割り、一つを口に運ぶとひんやりした梨の甘い果汁が口の中に満ちていく。
「いい梨だな」
ここ半年ほどずっとバタバタしていたけれど、こういう美味いものが届くなら頑張った甲斐があると言うものだ。





君津と秋。
フォロワさんに指摘されるまで君津の話であることを明確にしていなかったという衝撃。

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おやすみなさい、大分さん

「大分さんはまだ寝たい」の直接的な続きです


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遠い友達

胸の奥に閉じ込めた思い出がある。
海の向こう、外地という名の異郷の匂いを背負った少年と過ごした記憶だ。
今はもう会う事も出来ない彼のことを覚えてる人ももうずいぶん少なくなってしまった。
「ねえ、呉」
「はい?」
「もう会えない人に会いたいって、思った事はある?」
今、目の前にいる年の離れた友人はその問いに困ったような顔をした。
「……俺の会いたい人はいつも近くにいてくれますから」
きっとうまい返事が思いつかなかったのだろう。
呉なりに言葉を選んだ答えだった。
「それは、すごく幸運なことだよ。大切にしてあげな」



俺の、もう一度会いたい友達は、あまりにも遠くにいる。


広畑と呉と広畑の遠い友達。

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夏のお話

・酷暑(君津+東京)
クーラーの効いた事務所から一歩外に出ただけでむわっとした湿気と熱波が顔に来る。
もう日も暮れた午後5時過ぎだというのにこの暑さはいかがなものか、と彼女の脳裏によぎる。
「よう、」
「君津がこっち来るなんて珍しいじゃん」
黄色みの強い金髪をオールバックにしてクールビズ仕様のビジネススーツを着た君津がそこにいた。
ビジネス仕様の服装なんて珍しいから今日は客相手に何かしに来てたのだろうか。
「帰ってから飯食うのめんどくさくて泊めてもらおうと思っただけ」
「ああそういう事ね……」
その名の通り本来は内房に住む彼がこの東京とは名ばかりの板橋の外れまで来ることは意外に少なく、むしろ彼女が彼の元へ行くことの方が圧倒的に多かった。
「というかどこ行くつもりだったんだ?」
「食材調達、冷蔵庫が空だったんだよ」
「……夕飯スイカで良いんじゃねえ?」
ほれ、と掲げてきたのは立派な大玉スイカである。
バスケットボール大はあろうかという立派なそれは確かに二人で分ければちょうど良さそうだ。
「お前がそれでいいなら夕飯スイカでいいか」
そもそもスイカは食事ではない、という事実には目を背けてこの熱波から逃れるために事務所へと戻って行った。

・海(大分+佐賀関)
この隣人は釣りが好きである。
自分が生まれた時にはすでにこの豊後水道に釣り糸を垂らし、それを捌いて食っていた。
「……何か釣れてる?」
「仕事サボりか?」
「息抜きの散歩」
「散歩にしちゃあ少し遠くまで来たな?」
そう言いながらもクーラーボックスを椅子代わりに座り込んだ俺を追い返そうとはしない。
佐賀関は自分よりもずいぶんと長く生きてきた。同じ会社どころかヘタすると業界内でも年少に分類される自分には想像もできないほど昔の時代を彼は知っている。
「火傷の調子はどうだ?」
「だいぶ良くなってきた」
「そりゃあ良かった」
佐賀関の視線は水面に浮かぶ浮きに向けられている。
ちゃぷん、と浮きが海面に沈むとタイミングを合わせて一気に引き上げる。
その先にいたのは大ぶりなマイワシだ。
「……美味しそう」
「生きてる魚を見て美味そうって八幡辺りが聞いたら卒倒する発言だぞ」
「でも、イワシの刺身って前作ってくれたじゃん」
「そうだっけ?」
「忘れた?」
「ま、どっちにしても刺身食いたいなら食い終わったらちゃんと仕事に戻るって約束しろよ」
「うん」





フォロワさんとの絵茶会の際に書いたもの。

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ほたるこい

「名古屋君って、蛍見たことある?」
知多さんがふいにそんなことを聞いてきた。
「……ほたるですか?ないですね」
「やっぱ今どきの子は見たことないのかなあ」
「蛍がどうかしました?」
「うちで毎年蛍の鑑賞会やってるんだけどさ、ほんと毎年結構人来るから蛍なんて割とその辺でみれる気がするのにほんとなんでこんないっぱい来るのかなーって」
テレビで見たような、あの黄色の光が暗闇を飛ぶさまを目前で見たことがあるんだろうか。
それはちょっとだけうらやましい。
「一度見たいですねえ」
「うん、見に行くといいよ。綺麗だし」
「……じゃあ、そうします」




知多と名古屋。

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