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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

ハロウィンを遊ぶ

千葉君から『京浜さん今日暇なら渋谷行ってみませんか』というメールが来た。
『どうして?』
『ハロウィンで盛り上がる町を見てみたいなって』
『そうね、行ってみましょうか。ハチ公像で待ち合わせで良い?』
『了解です』
携帯をポケットに戻してゆっくりと身体をあげ、外出用のコートを引っぱり出した。

ハロウィンを遊ぶ

小雨の渋谷に集う仮装した人々の群れの中で、いつもと変わらない私服で立っている千葉君は少し目立っていた。
ひらひらっと手を振ると「こんばんわ、」と声がかかる。
今夜だけはワインレッドの瞳が血糊のようにも見えてくる。
「こういうバカ騒ぎ嫌いじゃなくて良かった」
気にしないでという風に顔を振る。
幸い池上や渡田の方もこういうバカ騒ぎは嫌いじゃない方なのだ。もちろん私も。
そういった旨をぽちぽちと携帯に打ち込んで見せると千葉君が「ならよかった」と呟いた。
お祭り騒ぎに紛れて歩いていれば、小さな子供がひらっと手を振るので私も振り返す。
≪7つまでは神のうち≫というけれど今の子も見えてたのかしら、なんて考えてしまう。
「子どものときなら、鹿島や君津呼んでたんだろうけどなあ」
『遠慮なんて要らないんじゃない?』
「そうかもしんないんですけどねえ」
他社である二人の事はあまり知らないけれど、私よりも2人の方がよっぽど年が近いのだし気にしなくてもいい気がするけれど千葉君なりに思うことがあるのかも知れなかった。
『次会った時にトリックオアトリートすればいいんじゃない?』
私がそう告げれみれば「じゃあ京浜さん、





trickOrtreat
(お菓子をくれなきゃいたずらするぞ?)



東日本製鉄所コンビがハロウィンの渋谷を歩くだけ

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あねとおとうと

『今晩鍋やるから好きな鍋つゆと具材買ってこい(すき焼きは不可)』というメールが届き、ビニール袋を片手に姉の家を訪れる。
「ねーちゃーん、いるー?」
「おう、何のつゆ持って来た?」
「とりあえずピリ辛味噌味にした、あと酒もあるよ」
「よくやった。コンロ準備してあるからつゆあっためといて野菜だけ寄越せ。全部切る」
「鍋用のカット済み野菜買った」
「お前いつの間にそんな気の使い方覚えたんだ、褒めて遣わそう」
ちゃぶ台の上にはカセットコンロと土鍋が並んでいてつゆを鍋にそそいで火をつけてから野菜と肉を放り込んでふたをする。
冷蔵庫から出てきたのは貰い物だという赤ワインのハーフボトルとコーラ。
それをグラスに半分づつ注いで手渡してくる。
「なにこれ」
「職員に教えて貰った、赤ワインとコーラ混ぜて飲むと美味いんだと」
「それつまり俺を毒見係にしてない?」
「そうとも言うな」
まあいいけどさ、と思いながら一口飲んでみる。
赤ワインのベリー系の匂いをコーラの炭酸が混じり合い、まあ不味くはないけど特別美味いとも思わない。というかワインが辛いからコーラとぶつかってるのかなこれ。
「不味くはないけど、もっと甘い赤ワインでやった方が良い。コーラ足していい?」
「了解」
そう言いつつもワインのハーフボトルが空になった頃にはいい感じに鍋が煮えてきたので、買ってきたワンカップで乾杯しながら鍋に箸を伸ばす。
ピリ辛味噌という売り文句のわりにはちょっと辛味が薄いというので七味を足し、日本酒で肉の油を洗い流し、そしてまた野菜に箸を伸ばす。
鍋と日本酒の組み合わせはいいよね。飽きない。
「最近一人鍋とかいうけど、最低2~3人はいないと鍋やってもつまんないよな」
「それは分かる。でも和歌山呼ぶと海南がついてくるから煙草吸えないしね」
「鹿島は地理的に論外だし、西宮は向こうの都合があるし、神戸は呼ぶとめんどくさいしで、結局お前と鍋するのが一番気楽なんだよなあ」
「西宮と神戸呼ぶんだ」
「前に一度女三人で飲んだら、神戸が食いもんの好き嫌い多くて選ぶのめんどくさいし西宮はちょうど葺合がいなくなってまだ間もない時期だったからきっつい酒がばがば飲んで葺合葺合って泣くしで地獄だった」
完全に死んだ目だった。
うん、まあそうなるよね気持ちは察する。
「しかも神戸って日本酒飲めないだろ?」
「あー、なんか醸造酒飲むとすぐ気持ち悪くなるとか言ってたね」
「酔っぱらった西宮が神戸に日本酒飲ませて潰した挙句気持ち悪いとか言ってベランダで吐いた」
「家のなかじゃなくて良かったね、としか言えないんだけどそれ」
「ついでに言うと翌朝も吐くから上から土かぶせてごまかした」
「すごい苦情きそう」
「それ以降あの二人と仕事以外で食事するときは酒抜きなんだよな、仕事なら飲む量セーブするからいいんだけどもうあんな大惨事やだ」
「なんかもうその話で色々理解したわ」
「結局一番気楽なのは弟って訳だ。……ぼちぼち〆にするか」
鍋に〆のうどんを入れてから再び火をつけると、食後酒にと林檎のシードルを持ってきて笑うのだった。





此花と尼崎の話。
そういえばちゃんと尼崎を出していなかったので姉と弟のぐだぐだ話を。

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きょうのかなしみ

まあ何となくこうなってるだろうな、という気はしていたのだ。
ベッドの隅に丸まった呉は一人静かに泣いていた。
「呉、」
「……俺はもう、何もしたくありません」
「気持ちは察する。でもね、

黒田の引退は仕方ないと思うよ」

そう、呉が落ち込んでいたのは先ほど発表された広島カープの黒田の引退であった。
25年ぶりの優勝に導いた名選手の引退を悲しむ気持ちは察するに余りあるが、仕事はしてほしい。
不在の周南に頼まれて呉の様子を見に行けばこれである。
「むり……もうむり……」
「語彙力の死んだオタクみたいなこと言わないで」
「次の優勝はいつだろうと思うと泣けてきて……」
そしてまた思い出し泣きが始まった。
駄目だこれ。今日明日使い物になりそうにない奴だ。
「……今晩泊まっていい?」
「どうぞ」
今日はもうずっとこの調子の呉の面倒見てることになるなあと思いながら、よしよしと呉の頭を撫でていた。




カープファン呉と巻き添え広畑の話。

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あくがれる

ごうごうと煙を吐く巨大な生き物に、ほうっと溜息が一つ漏れる。
名古屋の工業地帯を巡るクルーズ船の上から見る製鉄所は光にくるまれて生きている。
「知多、」
西宮は呆れたような声で俺を呼ぶ。
よっぽどひどい顔して見ていたのだろうか
「なに?」
「……そんなもの欲しそうな顔で見てたら、こっちの良心が痛む」
西宮の言葉でああやっぱりそんなひどい顔で見てたのかなあと考えてしまう。
いま目の前で光に包まれながら煙を吐く彼の象徴にして、玉音放送によって俺がついに得る機会を失ったモノ。それが高炉だった。
俺がそれを欲しいと願う事に西宮が罪悪感を抱く必要はなくて、ただ運が無かった。それだけのこと。
分かってはいてもあれは俺が得るはずだったという駄々ばかりは消えそうもない。
「別に大丈夫だよ?」
「大丈夫なら、そんな顔しないで」
西宮がそう告げるので俺はこくりと頷いた。





西宮と知多の話。知多と高炉についてはそのうち。

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コミュニケーション・ブレイクダンス

「お前ほんといい加減にしろよ」
君津の瞳の人工的なブルーが怒気に染まるのが分かる。
まーた堺が踏んだら駄目な地雷(またの名の四日市と言う)踏んでやがんな、懲りないというかなんというか。
「光、助けに行かなくていいの?」
「アレは私じゃ助けようがないよ」
隣に座っていた光の声は完全に呆れてる。
あたしはポッキーをぼりぼり食いながら二人を見つめている。
「そうなの?」
「本人に悪意無いもん、四日市は本人にとって最上級のものだから。私も一度だけ言われたことあるよ」
「……その四日市と比較するのが君津の地雷なんだけどな」
君津のもっとも踏んではいけない地雷が四日市になった原因の9割くらいは出会った頃に君津と四日市をあからさまに重ねて見てきた堺なので完全なる自業自得なのだが、本人があまり懲りてはいないのが図太いというか何と言うか。
ぎゃんぎゃんとキレる君津を楽しさと満足感で見つめているあたり、なんか不気味なものを感じるのだがあんなコミュニケーションしかできないのは誰の責任なのだろう。
「正直、堺くん見てると育て方間違えたのかなって思うことあるよ……」
「間違えたのは光じゃなくて八幡だと思う」
いい加減仲裁してくるわ、と席を立てばやっぱり堺はちらりと不機嫌そうにこっちを見てくるのだ。



まともなコミュニケーションが出来ない堺と君津の話。

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