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コーギーとお昼寝

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鹿児島は春

ほんのりとした酔いで上機嫌の中天文館通りを歩く。
土曜の夜の繁華街だけあってにぎやかな通りの中にいて、美味い酒と暖かな南国の夕べがもう一杯行こうかなあと言う気分にさせる。
「お、スピアーズじゃん」
「ブレイブルーパス」
今日の試合相手だったスピアーズは夕食後のようで、飲み屋の前で思案顔な辺りまだ飲んでいなさそうだ。
「そこ入るのか?」
「うん、ネットで評判良かったし」
「悪くはないけどもっと安くていい店あるぞ、鹿児島の焼酎をたらふく飲ませてくれる地元民行きつけの角打ち」
「角打ちかー……立ち飲みはなあ」
「折りたたみ椅子あるぞ。一緒に来いよ」
上機嫌でスピアーズの手を取ると天文館から一本裏道に入り、地元民御用達の酒屋の引き戸を開ければそこは酒がずらりと居並ぶ酒飲みの楽園だ。
居並ぶ酒瓶の中から自分用にさつま白波の新酒の瓶、スピアーズに七窪を選んでやり、つまみも貰って店の奥の角打ちスペースへ腰を下ろす。
「……またディープな店だねえ」
「土地さんに教わったからなあ」
自分の分をストレートで注いだあと、スピアーズにも入れてやろうと思ったら「さすがにストレートはちょっと」と断ってきたので水割りにしてやる。
「じゃ、鹿児島の夕べに「「乾杯」」
ちびっと酒に口をつければ芋の風味と香りがアルコールと一緒に広がってくる。
新酒特有のフレッシュで荒々しい風味もたまらない。
「っはー……」
「で、俺の勝ち点は美味しかった?」
水割りに口をつけたスピアーズが若干皮肉めいた口調と態度でそう言い放つ。
「お前拗ねてる?」
「そりゃあこんなとこまで来たんだもの、勝ち点持ち帰りたいじゃん」
「まあな。でもだからこそこういう土地の美味いもんが癒してくれるんじゃないか?」
「そうだけどね」
ちびりと水割りを呑むと、がね(サツマイモベースのかき揚げみたいなやつ)に箸をつける。
この店は店の人が揚げたやつを提供時に焼き戻して食べられるのでいつもサクサク熱々なのが嬉しい。
「ただそれはそれとして負けたら悔しいじゃん」
「まあな?でもだからって拗ねるのはガキっぽいぞ」
「じゃあブレイブルーパスはどうするのさ」
「美味いもん食って酒飲んで寝る。んで、起きたら反省会して練習」
「当たり前だねえ」
「その当たり前をちゃんとできる奴が一番強い」
これは俺の実感でもある。
いついかなる時も当たり前をミスなくこなせる奴が、多分一番強い。
「ミスしなければペナルティは出ないし、イエローも出ないかー……」
「お前今回イエロー2枚だもんな。まあうちも1枚貰ったけど」
「んー……そこは反省点だよねえ。ちょっと試合見返す?スマホで見れるはずだし」
「お、見たい見たい」
南国鹿児島の夜はまだ始まったばかりだ。


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ブレイブルーパスさんとスピアーズさん。
今年も先輩の大好きな鹿児島でのゲームという事で。

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