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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

もう一度翔んで行け!

久しぶりの日本代表戦は同行者の少ない旅になった。
このご時世なのでリアル観戦を控えたメンツが多くて、今回は本業である映像の仕事も兼ねてる僕と試合前に行われるキンさんの引退記念イベントの手伝いに来たブレイブルーパス先輩の二人だけだ。
「ちょっと雲は多いですけど雨降らなさそうで良かったですね」
お昼ご飯を二人で食べながら外の様子を確認する。天気も暑さや雨は避けられそうだ。
「そうだな。……あと、イーグルス袋あるか?」
「マイバックなら大きいのいくつか持ってきましたけど」
「いや今日のマッチデイプログラムと再来週のB&Iライオンズ戦記念グッツ欲しいってサンゴリアスが」
そう言えばツイッターでそんな告知があった気がして確認しなおすとその通りだった。
「僕もブラックラムズ先輩に買って行きますかね」
「めんどくさいから関東組全員に送るか?でもそれやると関西九州も欲しいって言いそうだよな」
「じゃあ僕確認しますよ、あとでネット送金してもらえばいいですし」
LINEで全員に今日のマッチデイプログラムやライオンズ戦記念グッツの希望を募ると、各々が好き勝手にアレがいいこれが欲しいと言い出してくる。
ジュビロくんから個別でLINEが来た。
『僕今日アザレアと県ブースにいるので買い出し手伝いますよ』
「あ、ジュビロくん今日来てるみたいです」
「そっか静岡枠……現金足りなくなったらアイツに借りるか」
「いや、電子マネー送ってもらってそれで払えばー……電子マネー使えたっけかな?コンビニで現金化すればいいのか」
「とりあえず開いたら即並んどいたほうが良い?」
「それでお願いします。ついでに僕の分の確保お願いしていいですか」
「もちろん」
欲しい人は先に僕のほうに電子マネーを送ってもらって現金化してる間、先輩には先にエコパの売店でジュビロくんと一緒に並んでおいてもらうことにした。
お昼ご飯を済ませてる間にそれぞれからの送金が届いてるのが確認できた。
先輩には先にエコパでお土産やグッツを確保してもらい、僕はいったんお金をおろしてからエコパに向かうことにした。
『ジュビロと合流した、結構並んでるからゆっくりでいいぞ』
ブレイブルーパス先輩からのメッセージに既読を付けて、辺りを眺めながら歩く。
日本代表ユニやどちらともつかない服装の人に混ざってサンウルフズユニの人が目に入る。
「……あの子は帰ってきたんだな」
大人の不条理な都合に振り回されて消えてしまったサンウルフズ。
それでもみんなあの子を愛していたのだという事を、その人たちの背中から感じる。
せっかくだしサンウルフズグッツも買って帰ろう。もしあの子がいたら写真も撮って残しておくんだ。
ぐっとエコパへの道を踏みしめながら跳ねるように僕は歩いた。



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イーグルスとブレイブルーパス。
今日の試合が楽しみですね。

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お祝いものはどうしよう?

・始まり
リーグも終わって数日過ぎたある日、トップリーグ&トップチャレンジリーグの面々にある一通のメールが届いた。
送り主は今回の優勝者であるワイルドナイツであった。
『啓上 ともにラグビー界を盛り上げてきた皆々様方。
軽暑の候、日ざしに初夏を思わせるこのごろですがみなさまおおかわりはありませんでしょうか。
さて、例年であればリーグの閉幕後はそれぞれ優勝者が発案し地元で祝いの席を行うのが通例となって久しくなりましたが昨今の状況を見て今回は延期といたします。
ですが何かやらねばそれはそれで退屈と言うものであるかと考え、皆様に祝いものを選んで送ってもらうという事を考えました。
そしてそれらの祝いものを飲みながら全員で12日の日本代表対サンウルフズ戦をオンラインで楽しむイベントを企画します。
つきましては以下の条件の下、お祝いの品を選んで6月12日正午までに当方へ送付いただければ幸いです。
・祝いものはご当地の酒と肴&転居先で使えるものの組み合わせにすること
・予算は一万円程度(送料はこちらで負担します)
・冷蔵冷凍品生酒可、日持ちしない生鮮品や金券/カタログギフトは不可
・酒やつまみの種類と量は上の不可条件にはまらなければ不問
住所は(個人情報保護のため省略)です。
皆様からの祝いの品をお待ちしております 拝具』

・サンゴリアスさんとブレイブルーパスさんの場合
「普通さあ、祝いの品って相手への好意で送るものだよな?」
「暇だったんじゃない?」
地元のショッピングモールで先輩と遭遇した俺は小さくため息が漏れた。
伊勢丹が潰れてさえいなければもっと手早く決められた思うけれどなくなったものはしょうがないので、駅前のアートマンを見て回る羽目になる。
「酒はどうせ自社の酒だろ?」
「とりあえずウィスキーとジンを一本づつとチョコレートボックスまでは決めてるんだけど、あとグラスでも送ろうかと思って」
「それでアートマンね」
「先輩は?」
「国府鶴と地ビール、あと新しいハードディスクまでは決まったけどつまみどうするかなって」
「試合録画してるとハードディスクすぐ埋まるもんね」
「なあ、このグラスよくないか?」
先輩が見つけたのは薄口のグラスセット。酒を飲むのに使えるし予算的にもちょうどいい。
ワイルドナイツはこういうの持って無かったと思うので引っ越し先でも酒を飲むのに使えるだろう。
「そうだ、俺が甲府鶴に合うつまみを作って先輩の名義で送れば良いんじゃない?」
「天才の発想か?」
そうと決まれば善は急げ。
グラスを買ったらよく合うつまみを作って送ってやらなくちゃ。

・レッドドルフィンズくんの場合
困った。実に困った。
ワイルドナイツさんからの突然のメールの内容に、俺はシンプルに困惑した。
まだ付き合いの浅い相手に送る祝いの品の王道と言えば金券やカタログギフトだろうにそれを封じられているのだ。
引っ越し先にあると便利なものって何だろう、と考えていたその時だった。
「……ブルーベリーの木?」
ブルーベリーは地域の特産であり健康食品である。それに紅葉して美しい。
氷砂糖とホワイトリカーで漬け込めば美味しいお酒にもなる。
「うん、そうしよう!ブルーベリーの苗木なら貰えるあてもあるし何よりブルーベリーはあって困らないし!」
「息子ぉ!!!!!!」
近くにいた親に全力で止められた。

・コベルコスティーラーズの場合
「神戸の酒と言うたらやっぱ日本酒よなあ」
灘五郷ワンカップ30本詰め合わせセットに明石だこの瓶詰をセットで箱に詰めてガムテープで封をする。
色々詰め過ぎたのでちょっと重くなったがご愛敬だ。
「あと住所はーっと……あ、」
メールを見返していると引っ越し先で役立つものという一文に目が留まる。
そんなもん入れてへんわーとつぶやきながら、ふとあるものの存在を思い出す。
「ねーさーん、使ってへんソムリエナイフあるよなー?あれ人にあげてもええー?」
姐さんの部屋に呼び掛けるといいわよーと返事が来る。
いつだったか人に貰ったがずっと使ってるものと使い勝手が違うのでしまい込んでいたソムリエナイフ。
未使用のまましまい込んであった奴だしあげてしまっていいだろう。
「ま、ワイン飲む機会もあるやろうし隙間にこれ入れとこー」
ガムテープの一部を剥がして隙間にむぎゅっと押し込むともう一度封をし直した。

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ラストゲームは君と

最後の一球が蹴り出され、試合終了の声がスタジアムに響いた時何故か無性に泣きたくなった。
「あ゛ー゛……優勝出来なかったなあ」
ひと席空けて隣にいたサンゴリアスが伸ばしていた背筋をだらんと後ろに傾けて空を見た。
ここ数日の悪天候からは想像もつかないほどによく晴れた東京は蒸し暑いくらいだ。
「前半うちの優位で進められたのが大きいかもね」
「まあそうだけどな、審判もまあアレだけどそこは選手で合わせられないといけないわけだし」
「何より今日は福岡堅樹のラストゲームだから気合の入り方も違ったのかもね」
「……ボーデン・バレットも今日が最後だよ」
文句を言いたげにそう告げたサンゴリアスに「それもそうだけどね」と呟いた。
そう考えると今日はいろんなものが随分と終わりを迎える日だということに気づく。
「後で試合見返しながらオンラインで感想戦しようよ」
今日の試合は今日だけに留めておくにはもったいない。
節目の試合でありラストゲームだ、骨まで味わい尽くしたい。
「いいよ、ただ先輩が焼肉連れてってくれるって言うからその後でいい?」
「むしろブレイブルーパスさん参加して貰えばいいんじゃない?」
「じゃあそっちも人呼んでよ、アルカスさんとかさ」
「アルカスはちょっと無理だけど人は呼んどく」
これは全ての終わりのゲーム。その舞台に共に入られたことを俺は心底誇りに思っているのだ。
そして、始まりの舞台にも二人で立ってやろうじゃないか。

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ぽんぽこたぬきは吉兆か

『うちのグラウンドに狸が出た!』
サンゴリ明日からハイテンションのLINEとともに届いたのは、芝生で一休みする一匹の狸。
そこそこの大きさのように見えるし大人だろうか。
『都内で狸ってたまに見るぞ?』
『そうなの?!』
『ブラックラムズのところはよく見かけるって聞いた』
サンゴリアスはまだ若いから見たことがあまりないのだろうが、ブラックラムズやグリーンロケッツの所にはよく出てくると聞いた。
でもまさか狸でこんなにテンションが上がるのか。
(こういうところは都会育ちだよなあ)
戦前生まれなんかむしろタヌキは捕まえて食うものぐらいの感覚だろうに、と思うと苦笑いがこぼれる。
『珍しいから明日優勝できるぞって意味だと思ったのにな(´・ω・`)』
明日の日本選手権の吉兆と言う風にとらえたらしく、しょんぼりの顔文字までつけてくる。
『神頼みはいいけど最後は実力だろ』
『そうだけどね』
『タヌキは他を抜くで吉兆と思うのは間違いじゃないけど、最後は実力で勝たないとな』
『優勝したら酒奢ってね』
調子のいいスタンプまでつけてくるサンゴリアスに思わず苦笑いが漏れる。
俺より強いくせにこういうところでは後輩っぽいところを見せてくるからずるいよなあ、と思いながら『次の週末ならいいぞ』と返信をした。
せっかくだしたぬき汁でも探してやろうと思いながらスマホの検索画面に狸と打ち込むのだった。


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ブレイブルーパスとサンゴリアス。
公式がたぬきでテンション上がってて可愛かったので。

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大舞台で待ち合わせ

『決勝進出おめでとう』
ワイルドナイツからの第一声はそれだった。
試合後の浮かれ騒ぎのなかでかかってきた電話の声はどこか熱があった。
「ありがと、また今年もこの組み合わせだな」
『順当でしょ』
「そうだけどさー、試合前にLINE送ってきたろ?決勝で待ってるって。ちょっとは負ける可能性考えてたろ?」
『ちょっとだよ、8割がたお前が勝つかなって思ってた』
「残り2割は負けかよ」
『勝負は時の運だしね』
それを言われると言い返せなくてちょっとムッと来た。
「俺は100パーお前が勝つと思ってたんだけどなー」
『そうなんだ?』
「おう、お前のラグビーをよく知ってるのは俺だしな!」
しばらく妙な間が空いて『……一瞬求婚しそうになった』と呟いた。
「お前と一緒になったら試合できないじゃん」
『そうだけどさ……俺の純情もてあそんでない?』
「純情もてあそんでないって、一番のライバルとしてパナソニックワイルドナイツをよく知って居るって自負があるだけだよ」
俺の言葉にワイルドナイツは深い深い溜息を吐いた。
果たして俺は呆れられるようなことを言ったか?と疑問が沸く。
『……まあいいや、23日楽しみにしてる』
「俺も!」


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サンゴリアスとワイルドナイツ。

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