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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

ごちそうにしよう!

「聞いてよ!きょうの劇的勝利!」
上機嫌のグリーンロケッツが大量の荷物を抱えたシャイニングアークスを引き連れてうちに来た。
遠征の荷物とスーツもそのままにこっちへ寄ってきてくれたのだろうか。
「開始早々の先制ゴールに最後の最後でもぎ取ったポイントゴールのあの曲線!かっこよかったでしょ?」
「テレビで見てたよ、よかったね」
「そんなミラクルセブンのために美味しいお米を炊いて欲しいんだけど!おかずはあるよ!」
疲れのにじむシャイニングアークスの荷物をもぎ取って出してきたのは、大阪名物のイカ焼きやちりとり鍋のセット。
さらに豚まんやチーズケーキにお酒の飲み比べセットも出てきて、上機嫌で大阪土産を買いあさったのだろうなと言うことは察しが付く。
「このミラクルセブンのために作っといて!あ、三人分あるから安心して!」
そう言ってちゃっかりテレビの前に陣取ってチーズケーキとワインを開けると他会場でのリーグ戦を見始める。
「チーズケーキにワインって美味しいのかな」
「……ツッコミどころそこですか?」
よれたビジネススーツを身にまとった疲れ気味のシャイニングアークスが呟いた。
その疲れ具合から、職場からそのまま訳も分からず連れてこられましたという状況がありありと想像できる。お疲れさまとしか言いようがない。
「別にご飯作るの嫌いじゃないしね。ちりとり鍋は普通の鍋で良いのかな?
あ、ごはんは冷凍のがあるから好きなだけ解凍して食べちゃっていいよ。シャイニングアークスも食べてきなよ。冷蔵庫の残りものだけど鯖味噌あるよ、好きでしょ?」
鯖味噌と聞いて一瞬ピクっと表情が動いた。
仕事による多忙で普段は粗食気味のシャイニングアークスだが、和食党で最近は鯖が好きなことを俺は知っている。
「いただいてもいいんですか」
「うん、だいいち繁忙期はプロテインとカロリーメイトで生き延びてる人をほっとけるほど冷血じゃないしね」
「じゃあ、甘えさせてもらいます」
そう言って冷蔵庫からご飯と鯖味噌を電子レンジで温める。
遠くからグリーンロケッツの「肉まんもあっためといてー」と言う声がする。
「自分でやりなさい」
「えー?このミラクルセブンのお祝いなのに~」
「祝われに押しかけてくるのは世界広しと言えどもグリーンロケッツぐらいでしょうね」
「まあまあ、俺があっためとくよ」
たぶんグリーンロケッツにとって一番の勝利のごちそうは、こうやってみんなで食べてるときなのかもしれない。
そう思えばこのちょっと奔放すぎる振る舞いも許せる気がする。



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スピアーズとグリーンロケッツとシャイニングアークス。
800日ぶり&今季初公式戦勝利おめでとう!

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男子三日逢わざれば

「今年のレッドハリケーンズくんはすごいわねえ」
姐さんがしみじみと言うように言葉を漏らす。
自主的にテント片づけの手伝いをしてくれるという姐さんにありがたく荷物の箱詰めをお願いし、俺は荷物をトラックに積み込む作業に勤しむ。
「ホンマですよね、今日はほんっとヒヤヒヤしましたわ」
「見てるこっちも肝冷やしたわよ、本物のマピンピとペレナラが見れたのは良かったけど……」
箱を閉じながらはーっとため息を漏らす。
「松岡君のトライが無かったらどうなってたことか、ほんとに想像するだけで恐ろしい試合だったわね」
「そこは否定できませんわ」
最後の段ボールを手渡すと「そういえばこのあとまっすぐ帰ってくるの?」と聞いてくる。
「すいません、レッドハリケーンズに夕飯誘われてるんですわ」
「そう、8時ぐらいまでに帰って来れる?一緒に呑みながら試合見ましょ」
「了解です」
姐さんは駅のほうへと歩いていき、スタッフや選手も神戸へと帰っていく。
この帰り路の時間というのは夢から現実へと移り変わる独特のまどろみがあるように思う。
「スティーラーズさん」
「おつかれさんやな」
レッドハリケーンズとともに現れたライナーズに「なんで居んねん!」とツッコミが口から迸る。
「試合あらへんから見に来てただけよ?」
「さっきそこの自販機んとこでばったり鉢会ったんで夕飯三人で行きましょ!」
そういやトップチャレンジは一足先にリーグ戦を終えていたのだったか。
言われてみれば納得の理由に「第三者の意見も必要よな」と呟きが漏れた。
「ほんならライナーズおすすめの美味い店にしよ、あいつのほうがこの辺の飯屋詳しいし」
「えー、俺きょうは混ぜカレーの気分やったんですけど」
「難波まで出なくても吉田駅のほうにめっちゃええカレー屋あるからそこにせーへん?俺のお勧め」
「……じゃあそこで」
男子三日逢わざれば刮目してみよと人は言う。
ならばその男追いつかれないように、俺も早く大きくなっていくために飯を食おう。そしてラグビーの話をしよう。
互いに強く大きくならなければ、最後に与えられる優勝の幸福は得られないのだから。


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スティーラーズとレッドハリケーンズとライナーズ。
今年の台風の目は大木巨頭をなぎたおせるのか。

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土佐は春のなか

「高知ってもっとあったかいイメージだったのにな……」
思ったよりも肌寒い空気に思わずため息が漏れる。
グラウンド整備を手伝ってくれた学生さんに挨拶を済ませ、カメラの準備をしていると「何ばしよると?」という声がする。
聞き覚えのある福岡訛りの主はブルースくんだ。
「キャンプテンズランの中継準備を」
「試合じゃ無うて?」
「ええ、試合中継はアプリでやりますけどねそれとは別に」
「変わった事ばしよるな」
ブルース君がぼそっとそんなことを言う。
「グリーンロケッツに比べればマシですよ」
「あん人も変わった事しよるけど……」
「あ、そこにある延長コードこっちに伸ばしてもらえます?」
ブルース君は何となく腑に落ちないという顔をしつつ、延長コードをこちらへと伸ばして渡してくれる。
「ちなみにブルースくんは何してるんです?」
「試合前にグラウンドをくまなく見るのがおいの習慣なもんで」
「君も大概変わってる気がします」
「そげん事はない、って思うとるんですけどね……」
首を傾げつつも再び彼はグラウンドの様子を見て回る作業に戻っていく。
陽が高くなるにつれ、肌寒かった風が少しづつ温まっていく。
南国土佐の春の日に開幕のホイッスルが鳴るまであとすこし。


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シャイニングアークスとブルース。

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秋田と縁がない話

『今回は本当に申し訳ありませんでした』
電話で詫びを入れてきたレッドドルフィンズさんに「いいんですよ」と僕は緩く答える。
『いえ、感染者が出なければ中止にはなりませんでしたし……』
「第四波の話も出てきましたしね、集団感染を防ぐことが一番ですから」
『いや、まあそうなんですけど……早くワクチン受けられればなあ』
「そうですね、次こそちゃんと試合しましょうね。失礼します」
電話を切ると目の前にの段ボールにようやく手を付けられる。
(レッドドルフィンズさんには悪いけど、正直詫びの電話よりこっちのほうが重要なんだよな)
秋田での試合は去年も予定にあったが見事に中止となり、先日のブラックラムズ先輩とのやり取りもあって無性に秋田名物が恋しくなってしまった。
その勢いのままに注文した秋田名物・稲庭うどんに比内地鶏ステーキがちょうど電話の直前に届いたのだ。
うどんはお湯で3分ゆでて、うどんつゆは水に入れて解凍。比内地鶏は袋ごとレンジでチンするだけ。
指示通り手早く作れば美味しいにおいが立ち込める。

「……来年は現地で食べたいなぁ」

二年連続で立ち消えとなった秋田での試合。
来年こそは絶対秋田で試合をしたいと、心底思いながら比内地鶏を噛みしめるのだった。

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イーグルスのはなし

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7年ぶりに勝ちの味

「そういえば事務機ダービーで僕が勝つのって結構久しぶりですよね」
イーグルスは久しぶりの勝利への感涙をタオルで拭いながら此方に問う。
「七年ぶりになるか、随分汝も成長したな」
「速度はともかく成長しないものはないですから、これで安心して秋田遠征出来るなー!」
そう言いながらイーグルスは心地よい春の風を胸いっぱいに吸い込み、晴れやかな面持ちで空を見上げる。
正直に言えば今日の試合は最後のミスが響いてしまったように思う、しかしそれを誘い込むだけの地力を得たというのは正しく成長である。
「少々血の気が荒くも見えたがな、何度か揉めていただろう」
「あー、まあ、そうですね」
「何か心当たりが在るのか?」
僅かな躊躇いの後、周囲の目を確認して小さな耳打ちをする。

「……ここだけの話ですけど、今日うちの親が会長と一緒に来てたんですよね。勝ったら特別勝利給出すって言われてたんでそれでヒートアップしやすかったのかも」

そこまでこの試合に思い入れがあったのかと言う感想の前に、イーグルスは唇に人差し指を当てて他言無用を知らせてくる。
個人としての我らは付き合いの長い先輩後輩であるので話しても良いと判断したのだろう。
しかし内容が選手の士気に係わる事だ、我が必要以上に人の話す事を嫌がったのだろう。
「イーグルス、「はい?!」
「秋田土産は稲庭うどんを頼むぞ、我は稲庭うどんを食べた事が無くてな。ついでにいい酒を一本」
口止め料の意味も含め手土産を頼むと後輩は「……先輩のお望みのままに」とほほ笑んだ。


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ブラックラムズとイーグルス。
事務機ダービー楽しかったなー!

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