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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

夜の散歩道

「長良川の鵜飼いって一年中やってるわけじゃないんだな」
何となく寝付けないから、という理由でサンゴリアスと夜の岐阜散歩に出ることになった。
ホテルを抜け出し、繁華街の賑わいを味わい、月夜のふもとに輝く岐阜城を拝み、気づけば長良川の岸辺に腰を下ろしていた。
「10月から来年5月までは休みなんだよ」
「じゃあどう頑張っても見れないじゃん、オフシーズンだし」
サンゴリアスがどこか不満げに声をあげる。
遠征ついでの観光であれが見れないこれが無いなど文句を言うな、と言い返す。
「そうだけどさ」
「明日、お前が試合に勝ったら飛騨牛のみそ焼き奢るって言ったろ」
「そうだったわ、逆に俺が負けたら栄のハブでコラボドリンク全部奢るんだっけ」
サンゴリアスが「まあ俺が勝つけど」と不敵に笑う。
生まれて一度も挫折を味わうこと無く健やかに生きてきた若造のくせに、こういう時に強者の風格を滲ませるのが上手だ。
「岐阜はセカンダリーホームみたいなもんだからな、地の利はこっちにある」
「そんな申請してないでしょ」
「愛知県民みんなそう思ってるぞ」
ちょっと大げさに言う愉快な煽りあい。
川辺の冷たい風と夜半の月がシリアスで愉快な空気を盛り上げてくれる。
「ま、決戦はもう少し先だけどね」
「そうだけどな。ぼちぼちホテルに戻るか?」
「うん、寝よ寝よ。さっさと寝て英気を養わなきゃね」




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ヴェルブリッツとサンゴリアス。岐阜での試合楽しみですね。

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名残

試合や練習のないときは東花園の駅にいる。
駅員として難波行き列車を見送ると赤・黄色・臙脂の三台の自販機が目に入る。
黄色はサンゴリアスの、臙脂はうちのマスコットが印刷された自販機で、もう5年くらいはこの並びだ。
「……レッドスパークスの自販機、まだ残しといてくれとるんやな」
この春にこの世を去ると告げて以降とんと音沙汰のない長身の男を思い出す。
まあ契約の都合とかで撤去されていないだけかもしれないが、こうしてまだあの名前がここにあることを喜ばしく思う。
レッドスパークスに久しぶりに連絡を取ってみようか、という気分になる。
携帯で自販機の写真を撮って『お前のとこの自販機は元気よ』という短いメッセージを添えて送りつける。
ついでにあったかい缶コーヒーでも買って、ぼんやり高架駅からの景色を眺めつつちびちびとコーヒーを飲む。
缶コーヒーを三分の二も飲んだころ、携帯がメッセージの到着を知らせてくる。
もちろん送り主はレッドスパークスだ。
『私も元気ですよ』
短いメッセージとともに自撮りが届く。
少し痩せたような気がするが表情の明るさは最後に会ったときと変わらない。
『ちと痩せたな、でも元気そうでええわ』
お前がここを去った後もこの自販機が名残りのように残り続けることを祈る。


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ライナーズとレッドスパークス。
東花園駅の自販機にまだスパーキーがいると聞いた感動で書いた……

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海風に乗せて声援を

夕食のサンマを焼いているとスティーラーズが「電話終わったで」と告げる。
「どうだった?」
「まあ多少気落ちするもんはあったっぽいな、でもまあしゃーないって感じやったわ」
七輪で焼いたサンマの匂いが晩秋の風に乗って鼻腔をくすぐる。
「シーウェイブス、さんまの具合はどうじゃ?」
「もう少しですかね」
「スティーラーズも寒くないか?」
「いや、平気ですわ」
釜石さんが「ならもう少しで米も炊けるから」と言って台所に戻る。
今日はスティーラーズと釜石さんと自分という取り合わせで夕飯をご馳走になるついでにポルトガル戦の中継を見ることになった。
「なんか今日は色々あったわ」
「本当にな、取材もあったし明日の試合準備もあるのになあ」
苦笑いをしながらサンマの焼ける香ばしい匂いを嗅いでいるとお腹が空いてくる。
「今日の試合のスタメン、お前のとこからだと誰が出るんだった?」
「スタメンやろ?りょーへーさんだけやな。ぐーくんとイシちゃんベンチやから。リーチさんの復帰で話題全部持ってかれたよなあ」
「そりゃーあの人は別格だしな」
ひっくり返した感じからしてもう頃合いだろうか。
大皿にサンマを盛り付けると「美味そ」とスティーラーズが呟いた。
ちゃぶ台には副菜の野菜たちに豚汁の鍋、そして炊き立てごはんの詰まった炊飯器。
「ちと狭くてすまんな」
釜石さんが苦笑いしつつ小さめのどんぶりに白米を盛ってくれる。
「いや、昔みたいでこれはこれで俺は嫌いやないですけどね」
「ならいいんだが。まだキックオフまで時間もあるからこの間の敗戦を振り返りながら今日の試合の事でも考えるか?」
「さすがにそれは飯が不味くなるんでちょっと」
「じゃあポルトガルの試合を見よう、あんまりポルトガルラグビーって知らんし」
「ほんならそうしましょ。いただきます」
「「いただきます」」
応援の活力を得るためサンマに箸を延ばす。
数時間後、潮風に乗せてはるか遠くのポルトガルへ思いを届けるために。



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シーウェイブスとスティーラーズと釜石おじじ。
ポルトガル戦は日本時間きょう26時キックオフ!明日予定がある人は無理せず寝よう!
あと日曜日(14日正午)は二人の試合もあるのでよろしくね。

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さよならの代わりに

アスリートがアスリートで居られる時間は短い。
それは自分の感覚でたとえるなら桜が咲いて散るような儚さで、時にそれを見送り時に違う形で残ってほしいと頼んだ。
それでもここを去る人の事を止められたことは一度だってない。

「トムさんもどうせならうちで復帰してくれたらなー……」

液晶画面の向こう側。
日本ラグビー界への電撃復帰とシャイニングアークスへの入団を報告すその人は、俺が泣きながら見送った人だった。
本人から電話でアークスんとこに行くと報告されたときは正直ちょっと泣いた。
あんまり悲しくて『日本のラグビー恋しなったんならうちで復帰したらええやん』という事も出来なかった。
だってわざわざスタッフだけやのうて俺にも報告してくれたんやぞ?俺何の権限もないのに。つまりそれは本人なりの誠意な訳で。
そんなもん見せつけられたらもう何も言えへんやん、俺。
うちとの契約解除文章を出して一時間も経たんうちに入団会見やるシャイニングアークスの根性は正直どうかしてると思うけどな?まあ俺がギリギリまで出したなかっただけやけど。
臙脂と青のユニから青と黄色のユニフォームへ。それだけなのに全然違う人に見える。
今更泣いても仕方ない。ただせいぜい、シャイニングアークスの所で大事にされてくれという祈りを込めてこうつぶやくのみだ。




「シーユーアゲイン、ミスター・トンプソン・ルーク」

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ライナーズの独り言。しゅーひがさんの記事読んでて思いついたネタ。

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がおにゃっ!

仕事と練習の合間の短い時間に打ち合わせをすることになった。
「シーウェイブスお疲れさん、元気しとった?」
『何とか無事にな』
「とりあえず確認したいんやけど、お前俺との試合の日にマスコット発表ってホンマなん?」
『ああ、ちょっと事情があって報告が少し遅くなったがそのつもりだった』
「あー……せやったらうちもコーロクン連れてこれるか考えんとな」
そうぼやきつつメモを取る。
コーロクンの予定もあるので色々詰めておく必要がありそうだ。
「というか、お前んとこに虎のマスコットおったやん。あの子らは?」
『なかぴーのことか。あれはもともとファンが自主的に準備してくれたマスコットで所属はうちじゃないぞ?』
「せやったん?!」
『所属は地元の薬局で、あくまでうちのサポーターだ。今度出すフライキーはうちの所属で選手志望だぞ?』
詳細の乗った公式サイトのページを送ってくれたので確認したら本当だった。
なんか試合会場で大漁旗振って応援してくれてるイメージしか無いわ、と思いつつ一通り目を通す。
「そういう感じやったんか」
『ああ。それにずっと手弁当で応援してくれたなかぴーにこれ以上無理はさせられんしな。
自前でマスコットを持ったほうがこの先活動の幅も増やせるし、グッツのレパートリーも増やせる』
「せやなあ、俺も需要あればコーロクングッツとか作ろかな」
『いいな。コラボグッツも機会があれば作れるな』
「マスコットどうしのコラボグッツか、女子受けしそうやしええな。今からやと少し急すぎて納期きついか?」
メモを取りながら『それは来年でええじゃろ』とシーウェイブスが言う。
まあさすがに急よな、という事でこれは来年以降に後回しにする。
『マスコット人気も侮れんものがあるよな。ラムまるくんとか』
「あー、アレすごいよな。あのデカいぬいぐるみめっちゃ目ぇ引くし次世代のサポーターの涵養に一躍買うてくれるもんな』
『うちもあれぐらい人気のマスコットにしたいし、デカいぬいぐるみ作るか検討してみるか』
「でも着ぐるみ作ったばっかやろ?意外にぬいぐるみもって高ぉつくって言うてたで」
『じゃあ検討程度にしておくか』
マスコットを巡る話し合いはもうしばらく続きそうだ。



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スティーラーズとシーウェイブス
新マスコット楽しみですね

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