「今年も楽しかったなあ」
人気の減った夕方の新国立競技場の看板にもたれ、スティーラーズさんが嬉しそうにそう笑う。
梅雨入りが宣言された曇天の東京でこんなに愉快に笑えるのはこの人ぐらいだろう。
「俺は悔しいですけどね」
リーグワン決勝、国立の大舞台で優勝カップに手の届かなかった俺の気持ちもちょっとは考えて欲しいものだ。
「勝負ってそういうもんやろ」
「それはそうですけど……」
胸によぎるのは優勝を掴めず、悔し泣く選手たちだ。
今シーズン限りで引退する選手たちにあのトロフィーを掲げて貰いたかったなあ、と思ってしまうのは俺のエゴだろうか。
「一度覚えた優勝の味は忘れられへんよなあ」
スティーラーズさんがぽつりと言葉を漏らす。
「ホントですよ」
「でも、だからこそ努力できる。優勝という最高の美酒をみんなで分かち合うためにな」
「悪い、待たせたな」
小走りで現れたのはシーウェイブスさんだ。
「別にええわ。そっちも晴れ舞台お疲れさん」
今日の試合前にシーウェイブスジュニアチームよる合唱が行われた。
それが少年少女にとっては素晴らしい経験だったことは容易に想像がつく。
「あれを晴れ舞台とは呼べんわ」
「せやったな、ごめんな」
シーウェイブスさんにとっての夢舞台はきっと国立のグラウンドで試合をすることだ。
それがまた一歩遠ざかったことは、俺も知っている。
(俺は絶対ああいう茶化し方出来ないなあ……)
目の前にいるシーウェイブスさんもまた優勝という美酒の味を知っている。
それに手を伸ばしても遠ざかっていく悔しさはどれほどのものだろう?と不意に考える。
だからと言って譲ってあげられるほど、善人にはなり切れない。
「焼肉、スティーラーズが気前よく奢ってくれるとよ」
「えっ嘘?!いいの?!」
「ええでええで、姐さんが帰ったらボーナスくれる言うし」
まだ俺たちの夢は続いていく、どこまでも遠くへ。
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スピアーズとスティーラーズ、ちょこっとシーウェイブスも添えて。
最近全然書けてなくてすいません、ちょっとシーウェイブス降格の精神的ダメージがですね……。
それはそれとして決勝戦面白かったですね。すんしんのキック成功率やべえよ。