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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業擬人化サイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

一万巻の祈り

煌めく糸をひと針、またひと針と刺していく。
その間だけはすべての雑念が払われて凪いだ海にいるような心地になれる。
紫から青へと変わる布は夜空になり、黄金色に光る糸は夏の星空になり、遠くに混ざる水色は水平線になる。
星空の下にはわれらの可愛い末弟・周南とその良人である呉ののうしろ姿を。足元には果てしない白砂の大地を。
輪郭を縫い取ったところで窓の外に目を向ける。
5月、新緑と青空の季節だ。しかしそこには人気は無い。
昨今の病禍により人々は日を浴びることなく暮らしていることを思い知らされる。

(……あの二人は、どうしているのだろう)

まともに顔を合わせていないのではないだろうか。ひとりでつらく悲しんではおるまいか。
そんな風に思うのは自分にとって周南のみならずその良人、そしてその兄たちももまた自分にとって大切な人だからなのだ。
かつて国営の名を冠した人の思惑によって出会い、新たな名を得て共に働いた日々は手が届きそうなほどに近いがすでに過去のことになってしまった。
良人として選んだ呉を失う未来が定められた周南を想う。
そして二人の幸いを願って神仏に何度となく祈ったことを、その祈りが届かなかった無力さを、思う。
そして、兄よりも先に死ぬことを宿命づけられた弟のことを泣くことすらできなかった次屋のことを想う。
そのことを誰かのせいにできたらばどれだけよかっただろう。
紫の空に向かって手を延ばす二人を布に描くことは祈りであり贖罪であり供養であるのかもしれない。
「……祈りとは、無力だ」
しかし終わりのない荒行のように延々と祈りを重ねること以外に詫びる手を知らなかった。




桜島さんのはなし。

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アンソロ参加のお知らせ

こんにちわ、もしくはこんばんわ。管理人です。
茨城県アンソロ「死ぬまでに行きたい茨城」に参加しました。ほぼほぼ結城さんの話です。
最近は製鉄とラグビーしか書いてないので久しぶりに結城さんを読むことができる貴重な機会となっております。いやここでも書けという話なんですが。

詳細はアンソロ公式サイトか、主催さんによるサンプルをご覧ください。

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夜明けまで語れたら

外出自粛のこの頃、とにかく人との雑談が恋しくなりがちで気づくと誰かに連絡してしまう。
特に酒が入るといやに寂しくなっててきとうに連絡をつなげてみる。
今日は西宮と神戸のほうと連絡がつながって「ひさしぶり」と声をかける。
『久しぶりって程じゃないわよ、3日ぶり』
「そんな頻繁に連絡してたっけ」
西宮が何かを確認すると『今月半ばからほぼ3~4日おきに連絡もらってますね……』と言う。
人恋しくなってる自覚はあるがそこまでやってたのかと思うと「なんかごめん」としか言いようがない。
『そういえばお気に入りの飲み屋が閉まってるとか言ってたわね』
「緊急事態宣言出てすぐに閉まっちゃって、いちおう配達はしてくれるんだけど人と話さないと飲んだ気しなくて」
『今いろんなもので前で頼めますもんね』
「ほんとになー、西宮いまなに食ってるの?」
『お取り寄せした北海道のカチョカバロと山梨の無添加ワインです、これがすっごい美味しくて……』
液晶画面に映されたワインの瓶と焼いたチーズの画像はいかにも美味しそうだ。
『ホットプレートでお野菜も一緒に焼いてるんですけどこのお野菜もおいしいんですよ』
『完全に酒飲みねえ』
「神戸は?」
『木曜は休肝日にしてるのよ。代わりにチャイを淹れてもらってるとこ』
そう言ってると神戸の横から小さめのマグを持った手が伸びてきた。
『スティーラーズ、挨拶』
『ああ、いつもお世話んなってますー』
いつもの赤毛をナイトキャップにしまい込みゆったりしたパジャマのスティーラーズがへらりと笑って手を振った。
「スティーラーズか、こっちは本格的に久しぶりだな」
『そうですねえ、姐さんがここでお茶する時しかお会いしませんもんねえ』
「ラグビーも休みだし暇してるだろ」
『そりゃーそうですよぉ』
「サッカーも中止だしなあ、千葉とかも泣いてるだろ」
『うん、本当はこの連休に遠征がてら顔見に来てくれる約束だったんだけど試合が中止になっちゃったからやっぱりさみしいわね』
『ラグビーも中盤のいいとこでリーグ戦終わっちゃったからほんと嫌よね』
『こればっかりはどうにもなりませんって。お二人もお体気を付けて、俺はここで退散さしてもらいますねー』
そう言ってスティーラーズが画面から消えていくのを手を振って見送れば『ま、あの子がすねてこないぶんましなのかしらね』と神戸が言う。
「拗ねてるのは神戸のほうだろ」
『べつにすねてないわよ』
『そういう人のほうがすねてるように見えたりしますよね』
「西宮もこう言ってるぞ」
『すねてないわよ』
不機嫌そうに神戸がチャイを飲むと、西宮がそういえばと話を切り出す。
『私チャイって飲んだことないんですけどスパイス入ってるんですよね?』
『そうよ、生姜とシナモンとカルダモンを紅茶と煮だして牛乳と砂糖を入れてね。生姜入ってるから指先の冷えに効くし、寝る前に飲むとよく寝られる気がするのよね』
『へえ、私も試してみようかな』
『茶葉はニルギリで作ると美味しくできるわよ、水も硬めのミネラルウォーターを沸かしてね。
スパイスは粉末のを使うんだけど私は粉を買っても使いきれないから普通のひね生姜を薄切りにして使っちゃうのよね。あ、シナモンとかカルダモンも買ったやつ余ってるから今度あげるわ。
あとはー……「長いな!」
思わず私が渾身の突っ込みを淹いれると『いいじゃない別に』と不満を漏らす。
「ほんとに紅茶好きだよな」
『そうね、此花はあんまり飲まないわよね』
「出されれば飲むけど高い紅茶を少量より安い麦茶がぶ飲みしたいだけ」
『あなたそういうタイプよね、量より質というか』
『それはちょっとわかりますね』
「西宮ー……もどっちかと言えば神戸タイプか」
『そうですね。私たくさん食べるタイプじゃないですし多少高くてもおいしいもの食べたいじゃないですか』
『一人だからこその自由ね』
「味方がいない……」
『まあそういう日もあるわよ』
終わりのない雑談をグダグダと続ければちょっとは寂しさも消えていく。
新しい酒に口をつけてると神戸がおすすめの茶葉の話をしだすので、それをぬるく眺めながら終わらない夜を過ごしている。


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納豆のある生活(納豆メーカー擬人化)

*ネタ程度に書きました




・タカノフーズ
おかめ納豆でその名を知られた小美玉の覇者。
自らのイメージであるおかめのお面をいつも持ち歩いており、柔和な笑顔を絶やすことのないほわほわした美女。
見た目の穏やかな雰囲気に反して情熱的な一面があり、郷土愛と大豆愛は強い。
おかめのお面は複数枚持ってるが理由は本人以外誰も知らない。

・金砂郷食品
瀕死から立ち直り、いまもくめ納豆のブランドを守る小さなプリンス。
くめ・クオリティ・プロダクツとしては一度死んだがミツカンによって蘇ることになり、業務委託でくめ納豆を作りつつ独自の商品にチャレンジしている。
「どうせ一度死んでるから(=死ぬより怖いことは無いし何やっても許される)」が口癖。
一度納豆をワッフルに突っ込んで周囲をドン引きさせたことがある(味は普通のワッフルです)
自分を蘇らせてくれたミツカンさんには頭が上がらない。
・ミツカン
金砂郷の後ろ盾として暗躍する日本最大のお酢メーカー。
金のつぶやにおわなっとうなどの独自ブランドも販売していたが、ある時くめ納豆ブランドを蘇らせるために死んだのを叩き起こし以降自社ブランドとして販売している。
金砂郷のことは適度に面倒見てるけど変な方向に吹っ切れてるなと思ってる。

・丸真食品株式会社
茨城が誇る最高級納豆ブランド・舟納豆の製造元。
味と品質へのこだわりが強く職人気質だが、適応力が高く人付き合いも上手で喋りも上手い。
ただ舟納豆と言うブランドに愛着が強すぎてたまに自分の本名を忘れてる。
なお周囲も認知していないので、もっぱら舟納豆と呼ばれてる。

・笹沼五郎商店
・天狗納豆株式会社
水戸天狗納豆のブランドを分け合う兄弟。
わら納豆や天狗モチーフへのこだわりなど、類似点が多くよそ者にはほぼ見分けがつかない。
本人たちも元ヤン&天狗のお面という共通点のせいで見た目にはあまり見分けがつけられないが、まあそう言うものだし……と納得してる。

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たいていのことは不要不急

やる事がない。本当に驚くほどやる事が無いので、このところ土日は自分のグラウンド整備とクラブハウスの掃除に勤しんでいる。
「もう洗うもんがない」
ボールと言うボールを全部磨いてアルコール消毒したり、潮風をずっと浴びてるゴールポストや車のさび止めを塗り直したり、芝生を整備したりと施設内のありとあらゆるものを洗浄漂白しているがいかんせん誰も使ってないので汚れようが無い。
玄関わきに物干し台を作って色んなものを干してるが、もうこれが乾いたら洗うものが無くなってしまう。
「おひさしぶりデスヨー」
「ああついに暇すぎて幻聴まで聞こえて来よる……」
「幻聴じゃないですヨー」
声のする方を見ると何故かマスクもしてないレッドスパークスと目が合った。
ようやく気付いて貰えたのが嬉しいというように思い切り抱きつこうしてくるので、

「ソーシャルディスタンス!!!!!」

反射的にアルコール消毒液を吹き付けると「ぁ゛ーっ!」と悲鳴が上がる。
「目がー!目に入ったデスー!!!!!!!」
「と言うかお前このご時世によく家まで遊びに来よるな」
「宗像の道の駅まで新鮮なお魚の買い出し来たから寄り道しただけデスヨ……」
「道の駅はあの川の先やけん間違えとるぞ」
「う゛~゛……みんなこれですヨ……」
「このご時世やけん仕方ないっちゃ、あと目ぇ擦り過ぎると腫れるぞ」
「顔にアルコール吹き付けたのそっちでショ?!」
「それはすまん」
不要不急の外出じゃないのかこれ、と思ってしまったがもうめんどくさくなってきた。
「マスクあるか?」
「ありますケド……」
「ならつけろ。そしたら買い物付き合っちゃる、ついでにコーヒーでも奢るけんそれで許せ」
そう言うと実に嬉しそうにこっちを見るので、抱きつかれないよう適度に距離を取りつつマスクと消毒液を取りに行くのであった。
「あと選手スタッフ社員に感染させんように帰ったら全身洗え!」
「そこまでのことデス?!」






―その頃のキューデンヴォルテクス氏「自粛で家庭用電気の需要が上がってる……きつい……」


ブルースとレッドスパークス。
タイトルはツイッタで見た曲から。

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