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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業擬人化サイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

特に何もなかった日の話

下丸子の本社から町田に帰る前にと寄り道した砧グラウンドは思ったより静かだった。
「やっぱ日本代表不在チームは静かですね」
「嫌味か」
後ろからぬっと出て来てそう言い放ったのは僕の愛する先輩であった。
「違いますよ、最近はご新規さんが増えてグラウンドも賑やかになったものですからちょっと疲れてただけです」
にわかファンと呼ばれるファンの急増は僕らを囲む環境を大きく変え、その対応にスタッフのみならず選手たちも日々追われている。
その上、変則日程に新型コロナの感染拡大に新リーグ発足に向けた動きなど日々目まぐるしく動く状況に少し疲れていたのかもしれない。
「何方にせよ其れは嫌味ではないか?」
「違いますってば」
今日のブラックラムズ先輩はなんだか不機嫌だ。
ベンチに腰を下ろした僕らは練習に励む人たちを見つめながら、冬晴れの空気を吸い込んだ。
「……久しぶりの個人的な逢瀬かと思えばその様なことを言われるとは思わなかっただけだ」
ああやっぱりちょっと酷いことを言ってしまったみたいだ。
「酷いこと言ったなら謝ります」
「本心から疲れていたのだろう?怒り様がないだろう」
目の下に隈が浮き出してるぞとその人は呆れ気味に言う。
ああ確かに、このところずっとバタバタしていた自覚はある。
「まあ、そうかも……ですね」
「近くにイーグルスの好みそうな良いカフェが有る、落ち着いたら少し茶でも飲んで行こう」
「練習まだ終わってないのにですか?」
「我のところは馴染みの人しか来ないからな、我不在とて問題は起きない。ついでに町田の事務所まで送って行く」
言葉と眼差しからこの人の優しさが静かに染みわたる。
ああやっぱ僕、疲れてるのかな。
ちょっと泣きそうになりながら「ごちそうになってもいいですか」と僕が聞くと「割り勘だ」と僕の好きな人は笑うのだった。



イーグルスとブラックラムズ。
最近ラグビー組更新サボり気味ですいません。
今年こそカメラダービー見ようと思ってたのにチケット取り損ねた/(^o^)\

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愛は重くとろける

毎年のことだが、今年もまた八幡からチョコが届いた。
チョコレートケーキが1ホール。
(……あいつ、手加減しないな)
甘いものが食えないわけではないが一人で1ホール食いきれるわけがないのに奴はいつもホールで送ってよこしてくる。
当然食いきれない分はシーウェイブスや職員にお裾分けとなるが、言うと面倒なことになりそうなので他の奴に食わせたことはいつも伏せている。
全くなあとと思いながら同封された手紙を開いた。

釜石へ
今年もバレンタインですね、本来なら休みをもぎ取ってそちらに行くのですが今年は多忙のため行くことが出来ず郵送にて贈ることになりました。本当にすいません。
ですがその代わり、自分でケーキを作って拵えました。
釜石が以前食べておいしかったと言ってくれたオペラです。レシピはネットで探ったものですがその分チョコはいいものを使いましたし、何より釜石のことですから私の作ったものは全部食べてくれますよね?
ちなみにコーヒーは口直しにと用意しました。これも国内で手に入る中で一番高級なゲイシャです。大事に飲んでくださいね。
親愛なる師への敬愛を詰め込んで。
八幡

「……重すぎるわ!!!!!」
これは他人に絶対食わせられない。
コーヒーの方はともかくケーキのほうは人に分けたのがバレたらヒステリーもののヤツである。
いや、分かってる。八幡を突き放さない自分が悪いのだ。だけど同時に八幡の特別はこの世界で一人だけだと再認識する。たぶんこの先も八幡の特別は自分一人きりなんだろう。
ナイフを入れて素手で一口放り込むと、チョコレートの深い苦みとともに柑橘酒の香りがふわりと広がる。
まあいいさ、それがお前の望みなら胃もたれ覚悟でちゃんと食い切ってやろう。
お前の世界で一番重い愛に答えてやるのも務めなんだから。




八幡釜石の重い愛とバレンタインの話

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永遠の嘘をついてくれ

寂しい時は甘いものを食べるといい、甘さは心を落ち着けるから。
そう言ったのは姉だった。いまはもうここにいない、たったひとりの姉。
「こんばんわ、呉」
こんな遅くにごめんねと告げると呉は「いいんですよ」と言ってくれた。
閉店ギリギリにケーキ屋さんに飛び込んで購入したパイをどんと机の上に置く。
「これ、好きでしょ?エーデルワイスのクリームパイ」
「……クリームパイよりレモンパイの方が好きなんですけどね」
「そうだっけ」
そうとぼけてみるけれど本当は甘いものの方がいいから避けただけだ。
コーヒーでも淹れるよと告げると大丈夫と呉が言う。
お店の人がつけてくれた大きなプラフォークをケーキに突き刺して一口に切って、そのまま静かに咀嚼する。
「おいしい」
「うん」
黙々とケーキを食べる呉をただ静かに見守りながら、何もかもが嘘であればいいのにと思う。
もうこの世界にいない姉のことも、この世界を去る呉のことも、何もかも嘘であってほしかった。
「周南も、少しどうです?」
「……ううん。呉が帰ってきてくれると約束して」
その約束も八幡や偉い人たちの意思で翻意にされることはわかっている。
ただ、その気持ちだけでも欲しかった。愛する人を一人にしないという呉の想いが聞きたかったのだ。
「最後には絶対に帰ります、あなたの横に」
そう告げる声は少しだけ震えていた。




周南と呉。

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俺にも彼女が出来たなら

「最近さあ、ちょっとよく遊んでる子がいるんだよ」
ビールを飲みながら尼崎がそんなことを言う。
居酒屋やバーで酒を飲みながら可愛い女の子を眺めるのが尼崎の趣味なことは知ってるが、仲良くしてるしてる人がいるのははじめて聞いた。
「んでさぁ、その子がめちゃくちゃかわいーの。んで最近なんかいい雰囲気だしこのままお付き合いとかしたいなーって思うんだけどどう思う?」
「……人間相手はお勧めしないぞ」
空の缶をゴミ箱に投げ込むとスコンとゴミ箱に入って行った。よし、まだ酔ってないな。
「人は私らよりも早く老いてくし、簡単に死ぬぞ」
「簡単に死ぬのは俺らも同じでしょ」
尼崎が不満げにそんなことを言う。
財閥解体で兄弟たちが去って行った時も、葺合がいなくなった時も、こいつは知ってるからそう思うんだろう。
だけど人間の命の儚さはそれとは違う部類のモノじゃないだろうか。
私達の儚さが人間に捨てられた犬の儚さであるならば、彼らの儚さは季節が終われば死んでいく虫たちの儚さだ。
「それともあの押し入れの本箱に仕舞ってある写真の人との関係に基づく実体験?」
思わず身体の動きが止まる。
「おま、開けたのか、あれ」
「だって此花って本全部押し入れに仕舞ってるから本借りようと思うと押し入れ漁るしかないじゃん。んで一つっきりの本箱、そりゃ開けるでしょ」
開けるでしょ、じゃねえぞ。
阪神淡路の後本棚は倒れるからと思って押し入れ改造して本収納してたのが仇になりやがった。クソ。
「で、あのお兄さんとの悲恋体験で俺のこと止めるの?」
「止める理由はノーコメント。でもほんと人間と付き合うのはやめとけよ。どうせ老いてかれるのはこっちなんだからな」
「んー、考えとく。でもたぶん会ったら全部吹きとんじゃうかも♡」
尼崎が何も考えてない顔でケロリと言い放つので、思い切り頭をチョップした。




此花と尼崎。
二人の恋愛についてはそのうち書きます(設定はあるんだ設定は)

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豆と厄払い

「豆まきしましょう」
会議の終わり、八幡が突然買い物袋から節分の豆と鬼の面を取り出してそう言った。
「……急すぎじゃない?」
「無事故ゼロ災の願掛けみたいなものですよ、去年は災害も多く今年は日新製鋼の合併と再編も控えてますからね。全員帰りの飛行機や新幹線夜に取ってるでから時間もあるじゃないですか」
「その時間に取らせたの八幡じゃん!」
「豆まきの時間確保するために夜帰りにさせたな?!」
鹿島や此花からの盛大なブーイングを横目に、八幡は無反応だ。たぶん最初からやる気だったんだろう。
それを察した釜石や戸畑は苦笑いだし小倉はアホかコイツという冷めた目で八幡を見てる。
スライドに大きなあみだくじを映すと「鬼役を決めるあみだくじプログラム用意したので好きな番号選んでください」と言い出す。
上は右から順番に数字を割り振り、下には鬼役の文字が二つ。
「とりあえず私は10番取ってあるので各々それ以外で好きな数字選んでくださいね」
「じゃあ僕6番で、室蘭の六ね」
僕があきらめ気味に数字を挙げるとこの謎の茶番に乗っかる事にした面々がぽつぽつと数字を挙げてくる。
ぶうぶう言ってた此花や鹿島も結局乗っかる事にしたらしく、あみだくじの数字はどんどん埋まる。
「なんか人数足りなくないですか?」
「たぶん直江津だと思います、あいつよほど強く言わないとすぐに現場仕事しに帰るんで……」
「どういう了見なんですかね」
「直江津はそう言う奴ですから」
和歌山に宥められつつもさっくりプログラムを修正して、あみだくじを始めると鬼役はすぐに決まった。
「鬼役は君津と大分ですね」
二人の表情が途端に曇るが八幡から鬼のお面を受け取ると、やれやれと言う風にそれを受け取るのだった。

***

「「「「「「鬼はーそと!!!!!!!」」」」」」」

会議室に大音量の掛け声と豆を投げる音が響く。
逃げまどう君津と大分を尻目に、若干やけくそ気味な此花が「くたばれ天災!」と叫びつつ豆をぶつけてくる。しかも結構本気だ。
というかついでに八幡に豆ぶつけてる鹿島と小倉は何なんだろう。ストレスかな。

「「「「「福はーうち!!!!!!!」」」」」」

まあでも、楽しいからいっか。


日鉄組と楽しい(?)豆まき。

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