スピアーズが来るたびに色々と米を用意してる気がするが、今年は米が高いので取れたての銀河のしずくを用意しておいた。
「今年はこれだけかー」
「しょうがないだろ、米が高いのが悪い」
「値段はねえ……」
そのぶんおかずはいろいろ揃えておいたので、おかずを一品づつスピアーズの前に並べていく。
ご近所さんからいただいた漬物、自然薯のとろろとむかごの塩ゆで、ブロッコリーのくたくた煮にトマトのおひたし、無限ピーマンと焼きナス、シイタケのバター醤油焼き。
ちなみにお味噌汁はわかめとねぎだ。
「全部美味しそう!」
「とろろは掘るの大変だったんだからな?途中でめんどくさくなってへし折ったが」
「確かに自然薯は掘るの大変だって言うもんねえ。ちなみにたんぱく質は?」
「あるに決まっとるじゃろうが、ちょっと待て」
どんと目の前に出したの大きな石製のプレートに乗せられた鮭の切り身。
付け合わせ無しのシンプルな一品だが脂ののった鮭がじゅうじゅうと立ち上らせる香りだけで十分であろう。
「南部鮭の溶岩焼きじゃ」
「シャケ!ちょうど今の時期だもんねえ~。そういえばフライキーも持ってたよね」
「釜石の名産だからな。まあ他所の地域の人には岩手と鮭は結び付きにくいだろうが……」
チームマスコットには以前からしゃけのぬいぐるみを持たせてるのだが、県外から来た人にはいまいちイメージが湧きにくいらしく不思議がられる。
まあそれも含めて地域PRになると思えばいいのだろう。
「いただきます!」
そんな独り言をスルーしたスピアーズはさっそくお米に箸を伸ばすと「新米うまぁ……」ととろけたような声を上げる。
「やっぱブランド米は美味しいねえ。鮭も食ーべよ」
脂ののった南部鮭で米を喰らい、漬物でも米を喰らい、幸せそうによく食うのでもはや何も言えなくなる。
「やっぱ年一くらいで釜石遠征捻じ込めないかなあ」
「お前がこっち来るたびに米米言うから用意するの大変なんだぞ」
別に米が嫌いなわけではないが岩手の美味しいお米沢山食いたい!と言うせいで、地味に種類を揃えるのが面倒なのだ。あとで米代は払わせるし残りは自家消費に回せるからいいのだが……。
「感謝してます」
「おう」
「来年のリーグワンライジングも釜石がいいなあ」
「それならもし来年うちのチームがお前のホームで試合になったら、成田山のうなぎ奢れよ」
おまけ:溶岩プレートはどこから来たのか
シーウェイブス「溶岩プレート助かりました」
釜石「おー、と言うかわざわざ返しに来なくて良かったんだが……」
シーウェイブス「一応借り物なんで返しとくべきかと思って。というかこんなもんなんで持ってたんですか?」
釜石「……ネット通販が普及し始めた頃、翌日配送が売り文句なのを見て『本当にこんなとこまで翌日配送できるのかー?』って思って酔った勢いで買った」
シーウェイブス「酔っ払いにネット通販はダメですね」
釜石「ホントにな」
-------
シーウェイブスさんとスピアーズさん
リーグワンライジングの話するはずなのに何故かこうなった。