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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

サンゴリアスが泊まりにくるので

「久しぶりー!」
車から降りてきたサンゴリアスがハイタッチをせがむように手を伸ばしてきたので、俺もそれに応じるように手を合わせる。
「久しぶり」
「これ、好みか分かんないけど宿代の代わりね」
「なんでイエーガーマイスター……?」
「あー……出る前になんか持ってこうと思ってお酒棚漁って持ってきたから。あと未開封なのフルーツ系の甘いのばっかりでさ、フルーツ系よりは好みかなって」
ちょっと申し訳なさげにそう答えたサンゴリアスをみると、やれやれという気分になって「まあ気遣いは受け取る」と言いつつ酒瓶を受け取った。
フルーツ系の甘い酒はいつもアルカスにあげてしまうのを知っていたのだろう。それでこれにしたのだろう。ちょっとピンポイント過ぎて意味が分からなかったが。
「あとは色々お惣菜とか冷凍して持ってきた」
「たすかる」
保冷バック入りのお惣菜を受け取ると、早速サンゴリアスを自宅に招く。
まあ自宅といってもクラブハウスの一角を自分用に使わせて貰ってるだけで人を泊めるのには不向きだが、サンゴリアスも似たような環境で生活してるせいかあまり気にしていないのが救いだ。
「熊谷で代表の国際試合って結構久しぶりだよな」
「5年ぶりだからね」
「思ったより間空いたなぁ」
サンゴリアスがそう言いながら代表ユニを取り出してくる。
早速私服から日本代表の誇りが滲む紅白のユニに着替え、タオマフを首に巻いてグッツ詰めたカバンを出せばもう応援する準備は万端だ。
まあ俺も代表レプリカユニに着替えたので同じようなものなんだけど。
「アメリカ代表って直で見るの初めてだし楽しみだな」
「この大会自体が初だけどね。そういえば、代表戦のあとはアジアラグビーセブンスもあるけど見るの?」
「セブンスもあったか、ワイルドナイツがテレビ貸してくれるなら俺も観たいかな」
「アルカスがいま女子のセブンス見てるはずだし、試合始まるまで3人で見ようか」
こうしてサンゴリアスとラグビーの話が出来る季節が来た。
リーグ戦という本気の戦いの季節が待ち遠しく思いつつも、今は同じチームを応援する友でいたい。



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ワイルドナイツとサンゴリアス。
今夜7時からパシフィックネーションズカップはじまるよ!BS日テレで見れるのでぜひ!

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新しい日々が来る

会見用に整備されたイクスピアリの映画館の一番目立つ場所に、スーツを纏うレイドローが座っている。
それを配信用カメラに収めながら僕はその理知的な眼差しに期待を隠せずにいる。
(まさかスコットランドの英雄が初めて指揮するのがうちになるなんてねえ)
ニヤニヤしながらその姿を見つめていると、レイドローのヘッドコーチ就任が明かされたときの事を思い出す。
『すっかりレイドローはお前んとこの人になってもうたなあ』
電話越しに皮肉めいた一言をこぼすレッドハリケーンズに『はいはい』と僕が答える。
『せやからアッカーマンさんうちに返してくれん?』
『それはそっちで交渉してくださいよ、まあうちのアドバイザーやりながらヘッドコーチは無理でしょうけど』
『お前が連れてったんやろ』
ぶすくれながらライナーズが言い捨てる。
再編の時にハリケーンズの時に実績を上げてたアッカーマンさんがうちに来てくれて昇格まで漕ぎ着けたのは事実だが、そんな誘拐したかのような言い回しはやめて欲しい。
『そもそも全ては親の意向でしょうに』
『ならもっと早よ上にあがれんかったんか?』
そこを突かれると言い返せないのがつらいが、それはしょうがない部分もある。
まあウダウダ言っても結局僕は昇格した。その事実が消えることはない。
『ならそっちも昇格してD1でコテンパンに打ち倒してみなさいよ』
『……絶対D1あがってお前をボコボコにしたるわ』
『せいぜい楽しみにしてますよ』
殺意強めなレッドハリケーンズとの電話を切ればレイドロー来日の予定についての連絡が来ていた。
来日の日に丸をつけた後、最初のプレシーズンマッチの予定日までの日数を数えればあっという間のような心地がする。

「早く試合したいですねえ」

ようやく、僕らの季節が来る。


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Dロックスの話。
ずっとレイドローとトンプソンルークがごっちゃになってたことにこれを書いてる途中で気づきました。

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夏空を往く

ラグビー組の夏短編です

・夏祭りに行こう(ヒートとパールズ)
地元のお祭りに出る事になったので、ちょっと気合を入れて甚平を購入した。
とは言っても昼間はチームユニで行くから甚平を着るのは夕方になってからである。
(でもユニめちゃくちゃ暑い……!)
ただでさえ山車を引いてるせいで暑いのに、黒っぽいユニだから太陽光の熱を溜め込んでめちゃくちゃに暑くなるのだ。
少し休憩を挟んだらうちわ配りもあるし、楽しさよりも疲労感が先に勝ってしまうのがつらい。
「おつかれー」 「パールズ……」
冷たいスポーツドリンクを渡してくれたパールズは白地に朝顔の浴衣を着ていて、お祭りをエンジョイしてる感じが溢れている。
「かわいい」
本心が口から溢れるとパールズはちょっと困惑したような照れを見せてくれて、それがなお可愛かった。

・菅平の恋しかり(ブラックラムズとサンゴリアス)
チームで運営してるラグビーアカデミーがサンゴリアスのところのアカデミーと合同で合宿をやる事になった。
「じゃあ、アカデミーの合宿に同行するんだ」
「お互い初めての試みだからな、様子見に同行しようかと」
「俺も仕事がなければなあ、トップチームはともかくアカデミーのほうのイベントは仕事扱いにならないし」
サンゴリアスはそうぼやきながらお茶を飲む。
このところ別の仕事が詰まっていて、息抜きがてら我のところに来てアカデミーの書類を渡しに来たというが少々リラックスしすぎのようにも見える。
「其れは仕方無いと思うがな。我も夜はホテルで仕事だぞ」
「でも菅平なら東京より涼しいから捗りそう」
「最近は菅平も幾ばくか暑くなったがなあ」
けれど菅平が東京よりは涼しいのも確かな話であり、あの涼しさが恋しいのはみんなきっと同じなのだろう。

・今年もみんなで(グリーンロケッツ)
今年もファンクラブイベント花火のタイミングがいいよね、と俺が提案したら思いの外するっと話が通ってしまった。
ファンイベントのお見送りをしながら、花火も良かったねえなどと言う声を聞いていると提案が通った事が嬉しくなる。
「来年以降も花火のタイミングに合わせてファンクラブイベントが良いかなあ」
選手もスタッフも楽しかったみたいだし、来年も同じ提案をしてみようか?

・炎天下を駆け抜けて(ライナーズ)
「もうこんな季節なんやなあ」
新しいチームが始まる前に、彼らのために新しい練習着やトレーニング用の道具などを発注しながらついそんな言葉が漏れる。
秋冬のスポーツであるラグビーはチームが夏頃に始まるのでそれに合わせて準備をしている。
古い道具の買い換え、新しく来た選手やスタッフのサポート、あとはリーグ戦に向けた準備もぼちぼち始めておく必要がある。
窓の外では炎天下の中を汗だくで走る選手たち。
そのうちの数人と不意に目が合ったので、「気張りや」の気持ちを込めて手を振ってみたりなどすると選手達もニコリと微笑み返してくれる。
(まあ気張るのは選手だけやのうて俺もなんやけどねえ)
今年のシーズン開幕まではまだ半年くらいはあるけれど、日々の仕事に追われていればあっという間だ。
また今年もラグビーの季節が忍び寄ってくる。


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お前はまだラグビーを知らない

*普段出てこないこの話に出てくるキャラたちの詳細はらぐぶら。の方をご覧ください

祝日の東京・秩父宮はラグビーファンで賑わい、その賑わいを縫うように荷物を抱えてライナーズが走っていた。
「ライナーズ?」
「あ、グリーンロケッツや。ちょっと待って」
荷物を目的地らしいテントに置いてから「お待たせ」と戻ってくる。
「グリーンロケッツはこの大会出てるんやろ?」
「うん、でもライナーズは出てないよね?手伝い?」
「おん。この大会、うちのスポンサー企業さんが関わってるんで誘って貰ったんよ。そんでそのお礼代わりにちょっと荷物運んでただけで」
「あー!」
「俺セブンスあんまり詳しないし、勉強も兼ねてな」
突如どこからかマツケンサンバと共に誰かの声と気配がしてくる。
「セブンスに詳しくない?」
「もうすぐオリンピックなのに?」
「「詳しくないとは言わせないよ!!」」
謎の爆発音と一緒に出てきたのはセブンス代表その人達だった。
1人は編み込みから桜の花咲く少女、もう1人は耳に桜に花を飾った少年である。
「セブンスさんたち、まだパリ行ってなかったんだ?」
「日七人がこの大会見てから行くって言うから」
「あー、そういう……」
「ごめんグリーンロケッツ、この2人がセブンスの代表チームさんなん?」
「そうだよ。ほら、ブレイブブロッサムズさんと同じように髪の毛に桜咲いてる」
「あ、ホンマや」
セブンスさん達の髪の毛に咲く桜の花を確認すると納得してくれたみたいだ。
「オリンピック前の今やっとくべきよね」
「やろうか、セブンスの解説を!」
その瞬間、ライナーズが(コレめんどい奴?)と目で訴えて来た。
勉強だと思って聞いてあげて……!

Q:セブンスって何?
桜七「セブンスは7人制ラグビーのことで、7人対7人で行うラグビーの事だよ!」
日七人「他にも13人制とか10人制とか9人制とかあるけど、基本的に国内でラグビーと言えば15人制で、セブンスと言えば7人制ラグビーを指すかな」
サム「呼びました?」
日七人「呼んでないですけど……一応13人制の説明もしますか」
サム「では簡潔に。13人制ラグビーは正式にはラグビーリーグと呼ばれていて、日本ではマイナーですが南太平洋ではユニオン……15人制のラグビーよりも人気の競技です。詳しくはラグビーリーグで検索ください」
日七人「ありがとうございました」

Q:セブンスって普通のラグビーとどう違うの?
桜七「まずセブンスは競技時間が短め!7分ハーフで試合時間は休憩込みで17分!セブンスの大会は1日くらいで終わる場合も多いから気軽に見に行けるよ!」
日七人「走るグラウンドは15人制と同じなのでとにかくスピードが求められ、得点もガンガン入るので目が離せないスポーツです!」
桜七「15人制より少ない人数で出来るから始めやすいのもメリットかな」

Q:オリンピックとセブンスってどう繋がるの?
桜七「7人制ラグビーは!オリンピックの!正式種目です!!!!」
日七人「2016年のリオ五輪から7人制ラグビーはオリンピック競技に採用されて、その時は後に15人制で活躍する福岡堅樹選手もいましたよ」
桜七「意外とコレ知らない人多いんだよねえ」

Q :でもテレビでやってないよね?
日七人「ネット中継等はあるのでそちらでご確認下さい……」

Q:ちなみにパラリンピックでもラグビーってやるの?
ウィル「車椅子ラグビーはパラリンピックの正式種目ですよ」
嵐【でもデフラグビーはデフリンピックの正式種目じゃないんだよね……】
嵐【ちなみに来年は東京でデフリンピックが開催されますので覚えておいてください】
桜七「なんかまた関係ない人が……」
日七人「まあ専門外の話だしね」

Q:7人制ラグビーの見どころは?
日七人「15人制にはないテンポの速さやスピード感を是非お楽しみくださいね!」
桜七「スタジアムのお祭り騒ぎ感!15人制よりも観客が面白い変装してる率高いし、その辺含めて楽しんで欲しいな!」


「なるほど。セブンスさんらもおおきに」
「ライナーズさんもグリロケさんも、みんな楽しんできてねー!」

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悔しい夜に飲むならば

「なんか今日は規律が駄目だったねえ」
スピアーズがひとりそんなことを呟くと、グリーンロケッツが「本当だよねえ」と困ったように呟いた。
管を巻くならいつもの3人で、と思ってテレビ通話を繋げてみたけれどやっぱり規律の話になってしまうのはやむなしだ。
「ディーロックス、今日仙台まで見に行ってたんでしょ?現地組としてはちょっと悲しかったんじゃない?」
「せっかく来たんなら勝ち試合が見たかったですけどね、地のもの食べて気晴らししたんですけどやっぱりねえ?」
「頑張りは認めるけど消化不良感は否めないよねえ」
スピアーズは冷やしトマトを齧りながらビールで流し込んでから、ハーッとため息をついてから口を開く。
「やっぱり試合のほとんどの時間をひとり少ない状態で過ごしてたのが一番の敗因だよね」
「そこ抜きにしてもジョージアのフィジカルの強さはすごかったけどねえ」
グリーンロケッツはお気に入りのお店のテイクアウト惣菜をつまみにハイボールを飲んでいる。
ちなみに僕は三角油揚げと牛タンで日本酒を味わいながら店の個室で1人飲み中である。
「フィジカル強いのは昔から言われてる事じゃん」
「あとジョージア、前よりスピード出るようになってません?」
「なってるかも。あんな走れるチームだったっけ?ってぐらい早かったよね」
「フィジカルあって走れる人はうちにも欲しいよねえ」
「スピアーズがスカウト視線でものを言い出した……」
「代表戦も大事だけど俺らはチームだもの、チームを強くすることも考えなくちゃじゃん?」
「強い選手がいるチームが強い訳じゃないけどね」
グリーンロケッツが自虐めいたつぶやきをこぼしてきたので、相当酔いが回ってきたのかなあなどと思う。
「スピアーズって今日チームイベントだったんですっけ」
「そうだよー!だからどうしてもそういうこと考えちゃってさ、代表戦と選手や俺の強化は別物だよなあって。あ、ちなみにこのトマトもイベントの直売コーナーで買ったんだよ」
チームイベントに何故野菜の直売コーナーがあるんだというツッコミは置いておく。
「プロップ満員電車とかインタビュー企画もウケたけど、あの場にいた人が代表戦絶対見てるとは限らないんじゃないかなあとか思っちゃってさ」
「告知してましたね……部屋をプロップしかいない満員電車に見立てて脱出する企画でしたっけ?」
「だいたいそんな感じー、今度みんなで飲むときにやる?」
「暑苦しそうなんでいいです」
ぐだぐだと喋りながら飲んでいれば、遠方まで行って酷い負け試合を見た悔しさも少しは晴れていく気がした。


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Dロックスとスピアーズとグリーンロケッツ。
今日の試合ほんとさぁ……という気持ちがプロップ満員電車の写真で全部吹き飛んでいった。

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