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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

神在りし国へ

ワイルドナイツからお菓子を貰った。
「なにこれ」
「どじょうすくいまんじゅう」
ひょっとこ顔のまんじゅうを受け取り、お茶でも飲もうと冷蔵庫の麦茶を取り出す。
ついでにワイルドナイツの分の麦茶も出してあげた。
「島根行ったんだっけ?」
「うん、スポンサーへのあいさつでね。ついでに出雲大社も行ってきた」
「完全に遊びに行ってない?」
「遊びじゃなくて仕事だから」
何割か遊びで行ってそうな気がするのは気のせいだろうか? まあ別に怒られるのはワイルドナイツ自身だし、私の知った事じゃないが。
「サンゴリアスさんとかの分も買ったの?」
「あー、向こうは練習始まっちゃったしぼちぼち節制始めるだろうから渡さないと思うなあ。特に顔合わせの予定も無いし」
「まあそんなもんだよねえ。男子はポストシーズンだし」
まんじゅうの二個目に手を伸ばしていると「そうやって呑気に食えるのはシーズン終ってるとこの特権だよね」とぼやく。
女子ラグビーはもう大きい試合もないから多少気を抜けるのだ。
「羨ましいよ」
「私はワイルドナイツみたいに仕事であっちこっち行ける方が羨ましいけどね」
「プロチーム化すれば?」
「まだ当座は良いよ」




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アルカスとワイルドナイツ。
野武士ちゃんとこのアンバサダーの人が仕事で島根に行ってたらしいので。

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離別と成長痛

「ヒートくん、引っ越すって本当なの?」
なんの脈絡もなくうちにやって来たパールズが真剣な目でそう俺に聞いてくるので、ちょっと困った気分になってしまう。
まるで浮気を咎められる気分で「うん」と答えると「……なんで」とパールズが泣きそうな顔をして答える。
「栃木は新幹線も大きめのスタジアムもあるし、集客的に関東への移転は大きいっていう判断があったから」
出来るだけ冷静にそう答えてみるけれど、俺だってこの街にはそれなりの愛着がある。
でも俺が上に行くためにはそれが良いという話になったのだ。だからこれは大きくなるために俺が背負うべき痛みだ。
「……行かないでよ、栃木なんか」
パールズが俺の手首を掴んでそんな言葉をこぼすと、その瞳に透き通った粒が滴り落ちる。
「ごめんね」
「私はずっとここでヒートとラグビーの話してたかった!なのに勝手に引っ越すとか言わないでよ!だいたい関東なんてもういっぱいスポーツチームあるんだから出て行って集客で勝てるわけ?!ならここで2人でラグビーやってお客さん集めたってよかったのに!」
まだ幼く純真なパールズの口からこぼれ落ちる言葉のまっすぐないばらがザクザクと俺の胸に刺さってきて、どうしようもない気持ちになる。
「俺は三重を捨てるつもりは無いし、パールズも捨てない。それだけは信じて」
「ほんとに?」「うん」
この離別に痛むこころは俺が育つための糧だ。
いつか日本を、世界を取るために背負うために俺は愛するこの街を離れるのだ。



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ヒートさんとパールズちゃん。
ちょっとヒートさんが宇都宮移転すると聞いて混乱してます。いやなんで?!?!?!?!

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熊谷駅で

熊谷駅に一歩降り立つとまだ夏の気配がそこらじゅうに残っていた。
「あっつ」
電車内が涼しかった分外の暑さが身に染みてくるのだ。
スタジアム行きのシャトルバスの乗り口を探して歩いていると、見覚えのある男女が自販機の前で揉めてるのが見えた。
「……スティーラーズ?」
「あ、キューデンさんや。いま小銭あったりします?」
「あるけどなに?」
「いや飲みもん買おうと思ったらちょうど100円玉だけ無うて」
「ほんなら100円玉2枚あれば足りる?」
それくらいならという気持ちで100円玉を渡すと「助かります」と答えてくれる。
残りの小銭でジュースを2本買って、そのうちの1本を女性へと手渡すと勢いよく半分近く飲み干した。
「九州電力さんのとこの子よね?」
「はい。えっと……」
「神戸製鋼よ、今回は助かったわ。あなたもラグビー見に来たの?」
「ええ。うちの選手が試合前のイベント呼ばれたんでその手伝いですね」
本当はまだ行ったことのない熊谷のスタジアムに行って試合を見に行きたかっただけである事は伏せておく。
「そこは私も同じよ。会場着いたらお礼に何か奢らせて貰える?」
「別に200円くらい気にせんでも良いんですけどね」
「年上の気遣いは素直に受け取るものよ。まさか明治より前に生まれたって事はないでしょ?」
「……ほんなら、試合の話しながら行きましょ」
今回は遠方での1人観戦。付き合ってくれる人がいるに越した事はないのだ。



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キューデン先輩とこべるこ親子。マスコットさんが熊谷行ってたのを見て思いついたネタでした。

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サンゴリアスが泊まりにくるので

「久しぶりー!」
車から降りてきたサンゴリアスがハイタッチをせがむように手を伸ばしてきたので、俺もそれに応じるように手を合わせる。
「久しぶり」
「これ、好みか分かんないけど宿代の代わりね」
「なんでイエーガーマイスター……?」
「あー……出る前になんか持ってこうと思ってお酒棚漁って持ってきたから。あと未開封なのフルーツ系の甘いのばっかりでさ、フルーツ系よりは好みかなって」
ちょっと申し訳なさげにそう答えたサンゴリアスをみると、やれやれという気分になって「まあ気遣いは受け取る」と言いつつ酒瓶を受け取った。
フルーツ系の甘い酒はいつもアルカスにあげてしまうのを知っていたのだろう。それでこれにしたのだろう。ちょっとピンポイント過ぎて意味が分からなかったが。
「あとは色々お惣菜とか冷凍して持ってきた」
「たすかる」
保冷バック入りのお惣菜を受け取ると、早速サンゴリアスを自宅に招く。
まあ自宅といってもクラブハウスの一角を自分用に使わせて貰ってるだけで人を泊めるのには不向きだが、サンゴリアスも似たような環境で生活してるせいかあまり気にしていないのが救いだ。
「熊谷で代表の国際試合って結構久しぶりだよな」
「5年ぶりだからね」
「思ったより間空いたなぁ」
サンゴリアスがそう言いながら代表ユニを取り出してくる。
早速私服から日本代表の誇りが滲む紅白のユニに着替え、タオマフを首に巻いてグッツ詰めたカバンを出せばもう応援する準備は万端だ。
まあ俺も代表レプリカユニに着替えたので同じようなものなんだけど。
「アメリカ代表って直で見るの初めてだし楽しみだな」
「この大会自体が初だけどね。そういえば、代表戦のあとはアジアラグビーセブンスもあるけど見るの?」
「セブンスもあったか、ワイルドナイツがテレビ貸してくれるなら俺も観たいかな」
「アルカスがいま女子のセブンス見てるはずだし、試合始まるまで3人で見ようか」
こうしてサンゴリアスとラグビーの話が出来る季節が来た。
リーグ戦という本気の戦いの季節が待ち遠しく思いつつも、今は同じチームを応援する友でいたい。



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ワイルドナイツとサンゴリアス。
今夜7時からパシフィックネーションズカップはじまるよ!BS日テレで見れるのでぜひ!

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新しい日々が来る

会見用に整備されたイクスピアリの映画館の一番目立つ場所に、スーツを纏うレイドローが座っている。
それを配信用カメラに収めながら僕はその理知的な眼差しに期待を隠せずにいる。
(まさかスコットランドの英雄が初めて指揮するのがうちになるなんてねえ)
ニヤニヤしながらその姿を見つめていると、レイドローのヘッドコーチ就任が明かされたときの事を思い出す。
『すっかりレイドローはお前んとこの人になってもうたなあ』
電話越しに皮肉めいた一言をこぼすレッドハリケーンズに『はいはい』と僕が答える。
『せやからアッカーマンさんうちに返してくれん?』
『それはそっちで交渉してくださいよ、まあうちのアドバイザーやりながらヘッドコーチは無理でしょうけど』
『お前が連れてったんやろ』
ぶすくれながらライナーズが言い捨てる。
再編の時にハリケーンズの時に実績を上げてたアッカーマンさんがうちに来てくれて昇格まで漕ぎ着けたのは事実だが、そんな誘拐したかのような言い回しはやめて欲しい。
『そもそも全ては親の意向でしょうに』
『ならもっと早よ上にあがれんかったんか?』
そこを突かれると言い返せないのがつらいが、それはしょうがない部分もある。
まあウダウダ言っても結局僕は昇格した。その事実が消えることはない。
『ならそっちも昇格してD1でコテンパンに打ち倒してみなさいよ』
『……絶対D1あがってお前をボコボコにしたるわ』
『せいぜい楽しみにしてますよ』
殺意強めなレッドハリケーンズとの電話を切ればレイドロー来日の予定についての連絡が来ていた。
来日の日に丸をつけた後、最初のプレシーズンマッチの予定日までの日数を数えればあっという間のような心地がする。

「早く試合したいですねえ」

ようやく、僕らの季節が来る。


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Dロックスの話。
ずっとレイドローとトンプソンルークがごっちゃになってたことにこれを書いてる途中で気づきました。

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