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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

冬に食べたい

*今回は短編集です

・肉まん(ライナーズ+スティーラーズ)
きっかけはスティーラーズのとこのマスコットのTwitterに上がっていた写真だった。
薄い板の上で真っ白で丸くてホカホカのそれを見てから、今無性に食べたくて仕方ないのだ。
お陰で仕事抜け出して買いにきてしまったのである。
「ひさしぶりやなぁ、551の肉まん」
仕事でちょうど大阪市内まで来る用事があったから店で蒸し立てほかほかの肉まん買ってきてしまった。
天気は良いけれど強くて冷たい風が吹きつけており、こう言う日ほど肉まんの似合う日もない。
包装紙を開けて思い切り齧り付くと、肉まんのふわふわの皮の奥からじわりと肉汁が滲み出る。
「うんま……」
ついでにLINEで肉まんの写真送ったろ、ちょうど今腹が空くタイミングやしな。
『お前のとこのコーロくんのせいで肉まん食いたなってもうたわ』
551の包装紙に包まれた食べかけの肉まんと一緒に写真を送り付けるとすぐに返事が来る。
『あの写真の肉まん、蓬莱やなくて​四興樓なんやけど』
……分かるか!

・カレーパン(ブラックラムズ)
最近パンの企画をやった時にパンを貰ったのが結構溜まっている。
「今宵は貰ったパンを少し頂くとしよう」
冷凍庫に凍らせてあるパンのうち、今回は真っ黒のカレーパンを選ぶことにした。
竹炭を練り込んだ真っ黒い生地にピリ辛のカレーが入っているというそれは、試食でもらったときから中々の旨さだったのでお気に入りの一つだ。
何よりこんな寒い日には辛いカレーを食べて温まりたい。
トースターに入れてカレーパンを解凍し、その間にコーヒーを淹れておく。
(そう言えば、ライナーズがカレーパン好きだったな……何個か送ってやっても良いかも知れないな)
そのうちコーヒーと共にカレーパンの香ばしい匂いがしてきて、軽く頬が緩んだ。

・牡蠣(シーウェイブス)
ここ数年、冬になるとどうしても牡蠣が食べたくなって牡蠣小屋に行くようになってしまった。
特別牡蠣が好きなつもりは無いのだが、冬なのだから冬のものが食べたいと言う気持ちが牡蠣小屋へと駆り立てているのかも知れない。
鉄板に山盛りにされた焼き牡蠣を取って何もつけずにちゅるんと口の中へ流し込むと、潮の香りとミルキーな味わいが口いっぱいに広がってくる。
「……冬の味だなぁ」
この山盛りの焼き牡蠣を全部1人で食べて良いと言うのは贅沢であるし、平日だから並ばずに食べられる。
お待たせしましたーと差し出された地酒のワンカップを受け取ると、焼き牡蠣の味を酒が引き立たせてくれる。
この贅沢は中々真似できないだろうなぁと思うと中々な優雅な休日であった。

・キムチ鍋(レッドレグリオンズ+スカイアクティブズ)
「なぁ、昼飯食ってくか?」
スカイアクティブズのあにさんがそんな風に書くので「もちろん」と即答してしまった。
広島ダービーの入場者数一万人を目指して始めた新企画の打ち合わせが目的ではあったが、会社ではなく自宅の方に呼ばれたので何となく期待してたのも事実なのだ。
「ほんなら良かった、昨日の夕飯で作った豚キムチが余ってたから鍋にリメイクしようと思ってたけぇ」
普段は多忙な親兄弟に代わりこの家を管理しているあにさんは結構家事が得意な人だから、手料理も期待出来る。
「赤い鍋ですね」
「チームカラーじゃけぇね」
豚キムチ・カット野菜・豆腐をだし汁で煮込み、一煮立ちしたら味噌を少し入れてマイルドにしてから軽く味を染み込ませる。
それだけのシンプルな鍋が本当に美味しそうだ。
「あんまり寒いと嫌になりますよねえ」
「ほんになぁ、まあ暑いよりはマシかもしれんけど」
「まあそれはそうなんですけどね。あ、そういえはうちでやる企画用に作ったエコカイロのサンプル、あげようと思って持ってきてたんでした」
うちのマスコットが印刷されたユニフォーム型の赤いエコカイロを手渡すと嬉しそうに笑ってくれる。
作ってくれた鍋もあったかいけど、その笑顔もポカポカと暖かかった。

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残りはお土産にした

盛岡駅に来るのは久しぶりだった。
地元のJRとのコラボ企画で盛岡駅の休憩室に展示を置かせてもらうことになり、その手伝いで小貫まで来たのである。
かつてのユニフォームや記念品をきれいに並べ、駅員や担当者に挨拶もした辺りで小腹が空く。
乗る予定のきっぷを見ればまだ発車まで40分ぐらいある。
「……久しぶりの盛岡だし、盛岡のもん食いたいよなあ」
じゃじゃ麺や冷麺は40分で完食するのも厳しいので電車の中で食べられるといいだろうか。
なんとなく駅の外へ出ると電柱のある文字が目につく。
「福田パン、そういやしばらく食ってないよなあ」
色んなクリームや具材をコッペパンに挟んで食べる盛岡名物が出てくるともうそれの口になってしまう。
ちょっと駅から歩くので早歩きに切り替えると何にしようか?と思考がさまよう。
定番のあんバターやジャムバターも嫌いじゃないががっつりしたカツサンドだろうか?
でも前に食べた田野畑の牛乳で作ったミルククリームも美味しかったので、そこにチョコレートクリームもいいだろう。
ああでもカスタードにキャラメルでプリン風というのもいいかもしれない。
考えれば考えるほどお腹が空くがふと気づく。

(でも福田パンって結構でかいよな?)

市販のコッペパンよりも2まわりぐらいは大きかった記憶がある。
自分は体格の割に食べる方だと思ってはいるが、想定したものを全部ひとりで食べるのは少々厳しい気がする。
……他の人に食べて貰えばいいか。
同行するスタッフさんと食べたり、それでも残った分は事務所のスタッフさんと分け合えばいい。
てくてく歩いていくと白とワインレッドの建物が見えてきた、福田パンの本店である。
(よし、思いつくままに頼んでみんなで食べよう)
帰ったら今日は冬のパン祭りである 。
「ご注文お決まりですか?」
「とんかつサンド、照り焼きたまごサンド、ミルククリームとチョコクリームのミックス、カスタードとカラメルのミックス、つぶあんバターと桃ジャムバター、あと……」
思いつく限りのパンを袋に詰めて持ち帰ればパンの幸せなにおいがするのであった。



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シーウェイブスさんのどうでもいい話。
また盛岡に行ったらチョコクリームと地元の牛乳クリームのパン食うんだ……(?)

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花園に行く

リーグワンが正月の中断期間に入っても、忙しいやつは忙しい。
特に今目の前にいる青と臙脂に身を包んだこの男はその最たるものであろう。
「お、俺の庭と書いて花園にようこそ」
「ライナーズも元気そうやな、さっきレッドハリケーンズのテントで会うたけどあいつも元気そうやったし」
段ボールの積まれた台車を押しているライナーズの上着には高校ラグビーの刺繡。
毎年この時期は高校ラグビーの大会運営を手伝うライナーズの邪魔にならぬよう、一緒に歩きながらしゃべってみる。
「今年も神戸製鋼さんと来たんやろ?あの人は?」
「先に席行ったわ、今年は今日ぐらいしか来れへんから色々見たいんやて」
「忙しいもんなあ……ま、うちも似たようなもんやけど」
物販コーナーの隅に台車を止めると商品をどんどん運び出してくる。
高校ラグビーファンや関係者の視線がこっちに向くと、顔見知りのファンもちらほら見受けられたので軽く頭を下げておく。
(やっぱみんな来とるんやなあ)
バックヤードのほうに入っていくライナーズを見送り、姐さんに頼まれた今年の分の有料パンフレットに手を伸ばす。
今年の高校ラグビーのテーマソングに耳を傾けながら他に買うもんあるかな~?などと眺めてみる。
時折幼い子供も見受けられ、あの子たちも10年後には花園のヒーローになるんかなあなどと思いをはせてみる。
「お、パンフ一冊だけなん?」
「そんな何冊もあっても保存しきれへんやろ」
奥から在庫を抱えてやってきたライナーズが声をかけてくる。
「ほかに買うもんないなら俺が清算したるからこっち来ぃや」
「なら頼むわ」
誘導されるままにレジへ連れていかれると「でもパンフ毎年手持ちで置いとくとおもろいよな」言い出した。
「そうよな、うちの選手とかでも高校の時と今で見た目全然違うやん!とかあるし」
「あとはこの子うちのチーム来てくれへんかなあって夢みたりな。袋有料やけどいる?」
「要らん」「ほなテープだけ張っとくな」
バーコードにテープを張られたパンフレットと現金を交換すると「ほな、俺の庭を楽しんでいきや」と返していく。
(……冷静に考えるとこの会場って今ライナーズの私有やないよな?)
そんなことを考えつつ姐さんのいる席のほうを目指し、入口へ一歩足を踏み入れると試合前の緊張感が辺り一帯を包んでいた。


(ああ、青春が冬空の下で燃えよるわ)

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スティーラーズとライナーズ。
高校ラグビーの季節ですね。

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同じ湯の中で

温泉行きませんか、とDロックスが突然言い出した。
「ほら、この辺って温泉ありますしせっかくなら入って帰りましょうよ」
「……入浴料奢りならいいぞ?」
思わず意地の悪い言葉が口から出てきたが、そんなことを気にもとめず「いいですよ」と返してくる。
タクシーで近くの日帰り温泉へと直行(無論これもDロックスが出した)すると、2人分の入浴券に石けんまで買ってくる。
若干いいのか?と聞きたくなりつつも、しかし本人が気にしてないので何も返せない。
日帰り温泉の浴室の扉を開ければ、温泉特有の硫黄の香りがふわりと漂ってくる。
同じように冷えた身体を温めにきたらしい見覚えある顔もちらほらおり、視線がかち合えば軽く頭を下げた。
まずは冷えた身体を温めようと掛け湯をすれば、その温かさにびくりとなる。
(思ったより体冷えてたんだな)
かれこれ5年ぶりのいわきゲームで、地元出身のキャプテンの帰還も相まって少し緊張してたのかもしれない。
「は〜……」
「あったかいな」
肩まで湯に浸かれば少しばかり緊張も解ける感じがする。
「こういうのも遠方での試合の醍醐味ですよねえ」
「お前さんも定期的に仙台ゲームやればいいのに」
「仙台好きですけどスタジアムの都合が難しいんですよね、雪の心配もありますし」
「雪はどうにもならんよなあ」
そんな世間話に飽きると、ぼうっと天井を見上げながらただ暖かい湯に浸かるだけの時間が始まる。
プレーの一つ一つを頭の中で振り返り、ああすれば良かったとかここは伸ばせるポイントだとか思考が整理されていく感じがする。
「シーウェイブスさん、」
「うん?」
「ちょっとは気が晴れました?」
そんな問いかけで初めて自分が気を遣われていたことに気づき、申し訳なさとほんの少しの文句が口から漏れそうになってしまう。
「お前さんが勝ち点くれればもっと晴れたんだがな」
そんなふうに冗談めかして答えれば「なんかすいませんね」と笑うのだった。


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シーウェイブスとDロックスのいわきゲーム、見てきました。

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歓声と幕開け

その日、神戸の朝はすっきりと良く晴れた晴天だった。
「おはよう」
「スティーラーズ遅かったわね」
「いや姐さんらが早すぎなんですって」
仕事でもないのに土曜の6時頃から起きる人はそう多くないはずなのだが、それより先に起きてる2人が不思議でならない。
姐さんが淹れてくれた目覚めの一杯が差し出される。
「だって今日開幕戦でしょ?」
「まあそうですけど、俺みたいに試合の準備ある訳やないんですから」
「楽しみがあると朝早く目が覚めるものじゃない」
加古川さんがトーストとサラダ・焼きたてソーセージの乗ったワンプレートを渡しながら「姉さんの期待ですよ」と付け足してくれる。
その加古川さんもよく見ると赤いネイルをしており、ちょっとしたわくわく感を感じる。
(これ、昨日ネイルサロンでも行って塗ってもらったパターンやな……)
「今日は三重ホンダヒートよね?」
「そうですよ、モスタート気になります?」
「興味はあるわね。まあそれ以上にサベアやレタリックも楽しみだけど」
姐さんが上げたのは新しくうちに来てくれた選手たちの名前だ。
俺もその二人には期待してるので気持ちは同じだ。
「スンシンくんって今日出場でしたっけ?」
「あー、今日はベンチですねえ。まあ体調が悪くなさそうなんで期待はできますよ」
加古川さんはお気に入りの子の事をいくつか聞いてくるので、
ちょこちょこ答えながら朝食に箸を伸ばす。
朝食を胃に収めるともうそろそろ出ないといけない時間になる。
さっさと残りの身支度を整えていつものリュックを背負ったら気持ちは試合に向かっていく。
「帰りは7時ぐらい?」
「ですねえ、姐さんもそのくらいですかね」
「早めに家戻って他の試合の録画見ながら加古川と飲んでるつもりだけど?」
「え、録画残しといてくださいよ」
「当然よ。試合、楽しんできてね」
姐さんがそんな風に言うてくれる。
俺がラグビーを全力で楽しめば姐さんも楽しんでくれることを、俺は知っている。
だから今日も手抜かりなく、全力でラグビーボールと戯れる。
「ほな行ってきます」


ラグビーリーグワン、本日開幕!

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スティーラーズと神戸加古川姉妹。
今日の開幕戦は行けそうにないので行く人は楽しんできてください

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