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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

新しい部屋で

新居はまだまだ段ボールの山となっていて、その一部をどうにかして片付けるだけで半日経っていた。
「とりあえずテレビ見るスペースは出来たな」
鈴鹿から宇都宮への引越しを終えたは良いものの、新居の片付けは遅々として進まずいまだ段ボールで埋まっている。
なのにこんな日に限って見たい試合があるのだ。
「っと、もう7時だ!」
テレビを回せば紅白のユニを着た代表選手達が国家を歌っている。
選手たち一人ひとりを舐めるように映すテレビをじっと見つめていると、見覚えのある選手が1人。
「まさかうちで普段プロップやってるのに代表はフッカーで呼ばれるとは思わなかったよねえ……」
自分のところの選手が日本代表に招集される経験はある。
けれどこんな形での召集は初体験で、いつも見守ってる彼が経験があるとは言え違うポジションでちゃんとやれるのか?という親心めいた気持ちがどうしても湧いてしまうのだ。
彼にとっては初めての大舞台。その場所で己を十全に出し切ってくれることだけが、俺の願い。


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ヒートさんの話

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つれづれ短編✖️2

タイトル通りのラグビー組短編集です

・君を寿ぐ宵の花(スティーラーズ)
今夜のメリケンパークは随分と賑やかで、その一角に同郷の顔見知り四人で集まっている。
浴衣姿のレオネッサはかき氷で頭を痛め、ストークスはヴィッセルと話し込んでおり、俺はそれを穏やかな気持ちで眺める。
今夜の花火はこの同郷4チームの優勝記念花火ということで、みんなで観に行こうと言い出したのはレオネッサだった。
(同郷の友人ってのもええもんよな)
キンキンに冷えたビールを飲みつつ、そんな風に考えているとパァン!と花火の打ち上がる音がする。
神戸港に咲いた大きな花火の美しさとその花火への歓声の乗った夜風のぬるさが今日だけは心地よい。
「……でっかいお祝いの花束やなあ」
俺がそう呟くと「来年もこの4人で見れたらええですね」とヴィッセルがつぶやく。
いつものリーグワンのみんなで見るのとは違う、この大きな祝福の花束に今宵は酔いしれていたい。

・12年に一度(ブラックラムズ+イーグルス)
「今年の干支を覚えているか?」
「突然なんですか?」
ブラックラムズ先輩が突然そんなことを言い出した。
「で、覚えてるか?干支」
「あー……丙午なんですっけ?今年」
干支なんて年末年始しか出てこない話題なので、記憶を遡ってみるとそんな話を思い出す。
「午年の次は?」「未……あ!」
未年、つまり羊である。
この人のツノが羊のツノである事は見ればわかるし、言いたいこともだいたい察しがついた。
「『来年は我の年ぞ!』ってことですか」
「そう云う事だな、来年に向けて面白い企画を出したいのだが何か良案は無いか?」
「僕に求められても……。あ、でも来年正月明けの試合がレヴズくんなら一富士二鷹ってやれ、いや違う僕鷲だよ……」
「似たようなものではあるがな」

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夢に僕ら帆を張って

「今年も楽しかったなあ」
人気の減った夕方の新国立競技場の看板にもたれ、スティーラーズさんが嬉しそうにそう笑う。
梅雨入りが宣言された曇天の東京でこんなに愉快に笑えるのはこの人ぐらいだろう。
「俺は悔しいですけどね」
リーグワン決勝、国立の大舞台で優勝カップに手の届かなかった俺の気持ちもちょっとは考えて欲しいものだ。
「勝負ってそういうもんやろ」
「それはそうですけど……」
胸によぎるのは優勝を掴めず、悔し泣く選手たちだ。
今シーズン限りで引退する選手たちにあのトロフィーを掲げて貰いたかったなあ、と思ってしまうのは俺のエゴだろうか。

「一度覚えた優勝の味は忘れられへんよなあ」

スティーラーズさんがぽつりと言葉を漏らす。
「ホントですよ」
「でも、だからこそ努力できる。優勝という最高の美酒をみんなで分かち合うためにな」
「悪い、待たせたな」
小走りで現れたのはシーウェイブスさんだ。
「別にええわ。そっちも晴れ舞台お疲れさん」
今日の試合前にシーウェイブスジュニアチームよる合唱が行われた。
それが少年少女にとっては素晴らしい経験だったことは容易に想像がつく。
「あれを晴れ舞台とは呼べんわ」
「せやったな、ごめんな」
シーウェイブスさんにとっての夢舞台はきっと国立のグラウンドで試合をすることだ。
それがまた一歩遠ざかったことは、俺も知っている。
(俺は絶対ああいう茶化し方出来ないなあ……)
目の前にいるシーウェイブスさんもまた優勝という美酒の味を知っている。
それに手を伸ばしても遠ざかっていく悔しさはどれほどのものだろう?と不意に考える。
だからと言って譲ってあげられるほど、善人にはなり切れない。
「焼肉、スティーラーズが気前よく奢ってくれるとよ」
「えっ嘘?!いいの?!」
「ええでええで、姐さんが帰ったらボーナスくれる言うし」
まだ俺たちの夢は続いていく、どこまでも遠くへ。


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スピアーズとスティーラーズ、ちょこっとシーウェイブスも添えて。
最近全然書けてなくてすいません、ちょっとシーウェイブス降格の精神的ダメージがですね……。
それはそれとして決勝戦面白かったですね。すんしんのキック成功率やべえよ。

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美しき君たちの日々

*ラグビー関係の小ネタ集です

・さよならの代わりに(サンゴリアス+ブレイブルーパス)
「……カッキーは面白プロップキャラを最後まで貫き通していったなぁ」
「そりゃーカッキーはそうでしょ、むしろらしいと思ったけどね」
突然の引退宣言、本人の歌うさよならの代わりに、そして歌い終えてからラグビーボールを置くパフォーマンス。
あれほど面白い引退式典、きっとそうそうないだろう。
「らしいと言えばらしいけどな、送り出す余裕も無くいなくなられるよりはずっといい」
先輩の脳裏には多分、急逝した元選手の影があるのだろう。
ああやって満足した顔でラグビーボールを置いて次に行けるのはきっと幸せなのだろう。
そんな事を、ぼんやり考える。

・残酷な僕のテーゼ(スピアーズ)
誰が呼んだかえどりく神話、それを一番信じていたのは俺だったのだと今更思い知る。
『試合終了ー!スティーラーズ、スピアーズのホーム連勝記録を止めたーァ!』
ホームゲームでワイルドナイツにだって勝った。きっと外国の強豪でもホームなら勝てる、なんて思っていた。
なのに今、俺のホーム連勝記録は終わってしまったのだ。
ぶわっと涙がこぼれてくる。無性に悲してしょうがない。
負け試合はいつだって悔しいけれど、こんなに泣くほど悔しいのは久しぶりだった。
俺の大好きなこの場所、俺の名前を冠した特別なスタジアム。ここで負けることがこんなにも悔しいなんて、知りたくなかった。

・ラストダンスは誰と(レッドハリケーンズ+グリーンロケッツ)
「ようこそ、俺たちの街へ」
新大阪駅の改札でそう声をかけた俺にグリーンロケッツが驚きに目を見開く。
いつもは迎えを頼まれてもなんばや長居の駅なのに、こうして新大阪まで迎えに行くことはほぼない。
「……ここまで迎え来てくれるの、初めてじゃない?」
「たまにはな。荷物持ったろか?」
「今日は大丈夫」
ゴロゴロと荷物を転がしながら街並みの一つ一つをぼんやり眺めるグリーンロケッツに、ある言葉が口をつく。
「名前が変わったかて、見える世界は何も変わらんよ」
NECグリーンロケッツ東葛として見る最後の大阪の景色にセンチメンタルになる心情を俺はよく知っている。
親会社の再編のあおりで自分が消えるかもと思った時の自分に似ているのだ。
「Dロックスと同じこと言うんだねえ」
「あいつの名前出さんといてくれる?お土産あげへんで」
「お土産より勝ち点欲しいなあ」「あげませーん」
そうやって笑い合えばグリーンロケッツは楽しそうに笑う。
新しい自分になるその前に、最高の試合をすることが俺に出来る最高のお見送りなのだ。

・美しきこの街の日々(ヒート)
初夏の夜空に花火が打ちあがる。
「今シーズンお疲れ様!」「次は宇都宮で逢いましょう」
鈴鹿で行う最後のホームゲームを彩る花火に、ファンの人々が思い思いの言葉を口にする。
そんな言葉の節々からこの街で過ごした60年の思い出が走馬灯となって駆け抜ける。
この街の事は好きだった、けれど俺が大きくなるためにはこの街を離れなくちゃいけないのだ。
すうっ、と息を吸い込むと思い切り言葉を叫ぶ。

「これからもホンダヒートを応援してね―!」

俺という存在を愛してくれる人のために、三重でも栃木でも俺は戦うのだ。

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さよならだけが人生だ

うちのGMが退任することになった。
選手や監督の退任は嫌というほど経験してきたが、40年来そばにいてくれた人が自分の手元を去るというのはいっそう寂しいものである。

「この盃を受けてくれ
どうぞなみなみ注がしておくれ
花に嵐の例えもあるぞ
さよならだけが人生だ」

ぽつりと口をついたのは有名な詩だった。
窓には散り始めた桜の花びらが張り付いており、北国の春も通り過ぎていこうとしている。
「さよならだけが人生ならば人生なんか要りません、とも言うけどな」
そう口にしたのは製鉄所さんだった。
「なんでここに?」「GMさんの手続き手伝いにな」
GMは書類上製鉄所の所属になるので、頼めない訳でもないがよくもまあ町の端っこのほうまで来てくれたものだ。
「シーウェイブス、別れってのはいつも寂しいよなあ」
「慣れたりしないんですか?」
「わしは全然慣れんな」
「……150年生きててもそんなもんなんですねえ」
「でも、挨拶も無しにいなくなる方がもっと寂しい」
その言葉の意味を数秒かけて飲み込むと「ええ」と小さく返事をする。
「まあまだシーズン終わるまでひと月ぐらいあるか」
「ええ、せめてあの人にいいとこ見せてから見送りますよ」
さよならという悲しみだけが人生だとしても、有無を言わさず人生は続いていく。
そうして生きていくうちにまた桜のように美しい出会いは、またこの街にやってくる。



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シーウェイブスと釜石おじじ
桜庭GM退任の一報を受けて思いついたネタでした。

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