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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

「わ」と「は」

*どうでもいい小ネタです

八幡「最近ずっと考えてることがあるんですけど聞いてくれます?」
釜石「まあ別にいいぞ」
八幡「私の名前、ちょっと呼んでもらえます?」
釜石「やはた?」
八幡「……やっぱり釜石もはなんですね」
釜石「そういやお前昔はやわただもんな」
八幡「ええ、ここ50年くらいやわたって呼ばれた記憶がないなと思って休憩時間に調べてみたんですよ」
釜石「調べるってのは?」
八幡「まずは一般の辞書で読み仮名を確認してみたんです、そしたら大辞泉 もブリタニカもweblioもやはた表記なんです。ちなみにWikipediaは併記でした」
釜石「うん」
八幡「次にNHKを確認してみると、これも振り仮名はやはた」
釜石「こう考えてみると今結構やはた表記が主流かもな」
八幡「ついでに知り合いにアンケート取ったら約8割がやはた呼びなんですよ」
釜石「今はもう完全にやはたで定着してるよな」
八幡「そうなんですよ!それで記憶を掘り返してみたんですけどいったい私はいつからやわたからやはたになったのか、一切思い出せないんですよ……!」
釜石「それを考えてたのか。ちょっと待て(ガサガサ)」
八幡「?」
釜石「あった、登記簿だ。少なくとも八幡製鐵はやわたって振り仮名になってるな」
八幡「それに今でもパンフレットの振り仮名はやわたなんですよね。一応公式にはやわたのままなのに世間ではやはたで定着しちゃってますよね」
釜石「そうだな、それにわしもいつからお前をやはた呼びしてたのか記憶にないな」
八幡「……言葉は変化すると言えど気づくと愕然としますね」
釜石「本当にな。ちなみにお前さんはどっちで呼ばれたいとかあるのか?」
八幡「日常においてはどっちでもいいんですけど、やわたって呼んでもらう方が地名と混ざらないのでやわた呼びのほうがいいですかね」



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特にオチはない。 アンケートはツイッターでやったやつです

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瀬戸内を眺めて

*今年の春先ぐらいのお話だと思って読んでください

周南からアフタヌーンティに誘われたので一緒に行くことになった。
元は他社ではあるもののの今は同じ会社でしかも近所という事で、たまーにお茶に行くことがあった。
何よりこうしてお茶に誘われるようになってから、意外に趣味も近いことが分かってきたから一緒にお茶しに行くのも苦じゃない。
「でもよくこんなとこ見つけて来たわね」
「こういうとこ好きだからねえ」
今回は瀬戸内海の見えるホテルのレストランが期間限定で行っているイチゴのアフタヌーンティー。
値段は張るけどたまにの贅沢だからいいのだ。
「でも前から思ってたんだけど、呉さんとはこういうところ来ないの?」
「呉は同じ価格帯ならちょっといいご飯食べたいってタイプだから、嫌いではないんだけど値段とか場所で敷居を高く感じちゃうみたいで。
桜島は大阪近辺なら一緒に行ってくれるよ大阪まで行くのがね~」
「あー」
広畑辺りも同じこと言いそうだなあと思いながら最初の一杯を注いでもらう。
話をしていると春摘みのダージリンの香りがふわりと香ってくるのがたまらない。
「かといってこういうところって一人で行くのも味気ないでしょ」
「それは確かに」
「だから最初光が興味あるって聞かなかったらずっと行けずにいたかも」
(コロナが流行る少し前、全社会議中の暇つぶしで紅茶の話になってその流れでアフタヌーンティーの話が出たんだっけ)
記憶を掘り返しながらまずは紅茶でのどを潤す。うん、美味しい。
ついでスコーンにも手を伸ばすと「ジャムとクロテッドクリーム、どっち下にする?」と聞いてきた。
「私はクリームが下かなあ」

「一緒だ。桜島は逆だったんだけど美味しいのって聞いたら『クリームが濃くておいしいって』いうから試したんだけど、クリーム上の方が濃くなるんだよね」
「でもクロテッドクリームって結構こってりしてるから私は下でいいかなあ」
そう言いながらスコーンにクリームとジャムを乗せると「好みだねえ」とつぶやく。
「まあ特にオチはないんだけど」
「こういう話って八幡や広畑は聞いてくれないのよねえ」
「八幡さんとかただダラダラ話を聞かされるの苦手そうだもんね」
「昔から八幡ってそういうとこあるのよね。なんというか、とりとめのない雑談したくても『で?』って聞いて全部終わりにさせちゃう感じ」
「わかる~!呉や次屋は割と辛抱強く聞いてくれるんだけどね」
「2人の事よく知らないけどいい人なのは伝わるわね」
「うん、すっごくいい人だよ」
お茶で喉を湿らせながらふいに思う。
こんなとりとめのない雑談をただただ延々とできるって、きっと幸せなことだ。



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光と周南。この2人が仲いい話を書きたくなったので。

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最後だと分かっていたとして

三連休は呉のところで過ごすつもりでいたのに、ちょっと前倒しになりそうだと聞いたので急遽休みを交代してもらってきょう行く事にした。
「呉!」
愛しい人の名前を呼ぶとその目にすこし光が戻って来て小さな声で名前を呼んでくれた。
「どうしてここに?土曜日に来るんじゃ……」
「休みを交代して貰ったんだ」
「無理を言っちゃったかな」
ポツリと呉が僕を見てつぶやく。
「大丈夫だよ、みんな分かってるから」
東予や桜島・次屋も呉と会って話せるのはこの三連休が最後だろうという覚悟はしていた。
広畑も仕事に大きな支障が出ない限りどこで誰と会おうと咎めない、と言っていた。
だからちゃんと交代して貰った上で来てるのだから大丈夫だ。
「周南、」「うん?」
呉が僕を撫でてきた。
働き者の無骨な手はちょっとざらついていて、でもすごく温かい。
「すきです」
「うん」
「出逢った時から今日のいままで、周南が好きです」
愛しい人の愛の言葉を脳髄の隅々に至るまで染み込ませるように、呉は繰り返し愛の言葉を告げてくれる。
呉の製鉄所としての機能はきょうで終わり、解体が始まればきっともう会うことも声を聞くこともできない。
だからせめて溢れるほどの愛を乞うのだ、

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呉周南の、最後かもしれない日のはなし。

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ワールドカップを待ちわびる

今日は午前中で仕事を切り上げて買い物に出ることにした。
関東と違いこの辺は台風の影響は少なそうだが、楽しみのために万全の準備は欠かせない。
「お、シーウェイブスか」
「ああ!こんな時間鉢合わせるなんて珍しい」
立ち寄ったスーパーで卵をにらんでいたシーウェイブスに声をかけると、いつもの水産加工場の仕事が悪天候で休みになったので雨が降る前に買い物に来ていたらしい。
「で、卵にらんでどうしたんじゃ」
「一個当たりの値段で六個入りを買うか、使い切ること重視で四個入りを買うかで悩んでたとこです」
「いま卵も高いからなあ……六個入り買うから半分持ってくか?」
そう聞くと表情が一気に明るくなって「是非!」と返ってくる。
六個入りの卵をかごに入れると「かご持ちますよ」と言うので、ついでにかごを預けることにした。
「ああそうだ、シーウェイブス必要なもん奢ってやるから荷物運び頼むぞ」
「いいんですか」
「今ポイント貯めててな、まだボーナスも残っとるからお前さんの日常の買い物ぐらいなら問題なく奢れる」
そう告げるとかごに牛乳を入れていた。現金な奴め。
さらに冷凍野菜や切らしていた日用品などをどんどんかごに入れていくシーウェイブスに、呆れ半分仕方なさ半分で見つめているとふと酒コーナーで足が止まる。
ちらっとシーウェイブスがこっちを見た。
飲みたさと遠慮が入り混じる気持ちを読み取ると「今回のワールドカップスポンサーに課金するか」と口にする。
「生ジョッキ缶6缶セット買うから3本もってけ、あとうちに貰った日本酒が二升あるから一升もってけ」
「じゃあ、遠慮なく」
そんな話をしながらレジへと向かうと平日昼間にしてはレジが混雑している。
2人分にしては買い込みすぎた荷物を抱えたシーウェイブスが「釜石さん買いすぎでは?」と聞いてきた。
確かにシーウェイブスがかご1つで収まっているのに対して、自分はかご2つと多めになっている。
「土日は天気悪そうだし、テレビでワールドカップ三昧しようかと思ってな」
「開幕戦からずっと見る感じで?」
「もちろん、フランス対ニュージーランドは見たいし日本対チリも楽しみだ」
「それならこの量にもなるか。でもどうせならパブリックビューイング来て欲しいですけどね」




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釜石とシーウェイブス。 ラグビーワールドカップは日本時間きょうの深夜開幕です

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ふたりでひとつ

千葉で事故が起きたという話を聞き、情報の確認のため急いで様子を見にいくことにした。
事務所で事故のことを把握して電話でうちの事務所側へ連絡すると千葉くんがいないことに気づく。
『千葉くんはどこですか?』
「実は事故の時に倒れてしまわれて、今は医務室の方にいらっしゃいます」
そう聞くとありがとうと軽く頭を下げると急いで医務室へと駆け込んだ。
消毒液の匂いに満ちた医務室の扉を開けるとベッドに横たわる千葉くんの目がこちらに向いた。 「京浜さん……?」
『倒れたって聞いたけど大丈夫?』
走り書きでそう聞くと「実は事故現場が高炉だったせいで軽い心筋梗塞みたいになっちゃって」と言いながらへらりと笑う。
事故現場は銑鉄をトーピードカーに乗せる場所だったと聞いている、場所が高炉に近いので心臓に異変が出たようだった。
『しばらく無理しないでいいからね』
「京浜さんが気にすることでもないでしょ、まあしばらくあの高炉使えないだろうけど他は生きてるし……」
『設備は修理すればすぐ動くけど肉体は案外脆弱だから無理すると他にクるわよ』
この辺の経験は渡田を見て知っている。
私たちの肉体は人間の肉体とそう変わりがないから、心臓をやられたとなると肉体にかかるダメージの大きさは計り知れないのだ。

『私たちはふたりで東日本製鉄所だもの、千葉くんが出来ない時は私がやる。それが分業だと思わない?』

千葉くんがその言葉に目を見開いた。
私たちの付き合いはまだ20年ちょっとに過ぎないけれど、今見せたへらりとした笑顔が私を心配させないために無理にした笑顔だということくらいその20年の付き合いでわかる。
『だから、しばらく無理せずしっかり身体を休めて』 「京浜さん……」
私は大丈夫だからと軽く撫でると「身体治ったら頑張りますね」と答えながら心からの笑みがこぼれ落ちていた。


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京浜と千葉。千葉の事故を聞いて。

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