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コーギーとお昼寝

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カモミールティーどこだっけ

ニュースに嫌気がさした日にはカモミールティーが効く。
釣り戸棚のお茶コーナーからハーブティーをいれたかごに手を伸ばそうとするも、微妙に手が届かない。
諦めて踏み台を取り出そうと背伸びを辞めると後ろから手が伸びた。
「姐さん、きょうはハーブティー飲まはるんですか」
「スティーラーズも飲む?」
「貰います」
ポットやティーカップを出してもらい、お湯を沸かす間部屋にはジムノペティを流して。
カモミールティーはぬるめに淹れておく。
マグカップに注いだものとティーカップに注いだものを作って、マグカップのほうを渡しておく。
「はい、スティーラーズの分」
「助かります」
ちびちびと飲みながら心のよどみを吐き捨てるように深く息を吐く。
「……長く生きてるとこういう事ばかり上達してくわね」
「それが長く生きる事なんやないんですか」
お茶に再び口をつけて、ジムノペティに耳を澄ませる。
げんなりする現実と折り合いをつけていかなくちゃいけない。
神様とは名ばかりの何の力もない私たちは無力だし、ただ人間社会に寄り添って傍観するだけの存在にすぎない。
なのになぜ私たちには人と同じ心と体を持つのだろう。
刺されても撃たれても死ぬことを知らず、製鉄所という存在とともに生まれて死んでいく。
その癖死ぬことが誰よりも怖い臆病な自分がいる。
(こんなこと考えてたって何の答えも出ないのにね)
それは私自身がよく知っている。折に触れて自問自答してきた問いはいまも答えが出ないままだ。
……こういう時は頭を切り替えよう。
「スティーラーズ、」
「はい?」
「あなたがやってるパブリックビューイングって明日の試合でもやるんだっけ?」
「明日はないですね」
「じゃあ二人で現地観戦行きましょうか、私仕事休むから」



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神戸ネキとスティーラーズ

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プールにいた話

最近知ったけど、京浜さんは泳ぐのが好きだ。
『お迎え頼んでごめんなさい』
「別に大丈夫ですよ、どうせ目的地は同じですし」
塩素の匂いが残る湿った髪にプールバックをぶら下げたその姿は誰がどう見てもプール帰りと分かる。
車の助手席に京浜さんを乗せ、荷物を後部座席に積んでもらう。
「お昼ご飯どうします?」
『コンビニで大丈夫』
「じゃあ見かけたらコンビニ入りますね」
エンジンをつけてクーラーもかける。
ここからだと京浜さんとこの事務所までの道順が分かりづらいので近くまでカーナビをセットして、さっそく車を走り出させる。
あんまりよく知らない道なので間違えないよう集中して走り抜ける。
しばらくするといつも通る太い道に出た。ここから先は何とかなりそうだ。
「そういえば、京浜さんって潜水士取ってましたよね?」
こくりと彼女が頷く。
前に浚渫工事で潜水士が足りないときに手伝って貰った事があるが、知った時はびっくりした覚えがある。
「泳ぐの好きなんですか?」
京浜さんがスマホをポチポチと打つのが横目に見えた。
しばらくすると読み上げソフトで文章が再生されてくる。
「京浜さんというよりも私個人が泳ぐのが好きで、その一環で潜水士も取った感じかな」
私個人、という事は渡田さんとかは泳ぐのにはそこまで興味がないという事だろうか。
「水の中にいると元気になるの」
「穏やかに?」
「渡田は『扇島は元々海水浴場だし原初の記憶がお前を水に引き寄せてるのかもな』って言ってた」
「そうなんですか?」
「私は覚えてないんだけど、元々海水浴場の小島だったところを埋め立てて製鉄所にしたのが私だからその影響じゃないかって」
お前たちの性格は土地の歴史や文化に影響されるところがある、と親父さんが生きていた時に言われたことがある。
土地と工業のはざまで複合的な要素が絡み合った末に人のなりを得て俺が生まれ落ちたのだとすれば、生まれる前の事が性格や趣味嗜好に影響しててもおかしくないのかもなあ。
そんなことを考えながら車を走らせていく。
「京浜さん、というか扇島さんか。扇島さんは海の子なんですね」
そう告げて横目に見てみるとどこか納得したように彼女が微笑んだ。




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千葉と京浜。
この間おけいさんちを見に行ったときに聞いた話から生まれた設定の小話。

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東京は初夏の陽

カレンダーを見て、ああそういえば今日だったと思いだす。
年度初めの忙しさにかまけて大事なこどもの二度目の誕生日を忘れるとはなあ、と思う。
「八幡はいつも覚えててすごいよなあ」
「手帳に書いてあるので」
久し振りに東京の本社でふたり、机を並べてそんな話をしている。
「今日何かありましたっけ」
「シーウェイブスの2度目の誕生日が今日でな」
去年はどうしただろうかと記憶を掘り返すと、ラーメンを奢ったなと思い出す。
「よく覚えてますね」
「お前さんはいっぱいいるからなあ」
八幡のところには部活が結構あるのでいちいち覚えてられないのだろう。
ただうち、というか釜石という土地にとってシーウェイブスは特別な存在だった。
一万人以上の署名活動によって生き延びた愛し子にとって今日は新しく生まれなおした日なのだ。
「ただいまー、とりあえず適当に買ってきたよー」
室蘭が弁当の入った袋を下げて戻ってきた。
「おかえり、遅かったな」
「大丸行ったからねー。あ、叙〇苑弁当俺のだからね」
「別にコンビニでも良かったんだけどな」
専門店のおにぎりとお茶を受け取ってパクリとかじる。
そうか、帰りに東京駅の中でシーウェイブスにプリンを買って行こう。
あいつの好物であるちょっといいプリンを誕生日お祝いに持って行けば喜んでくれるだろう。
ひと仕事落ち着いたら調べてみようと思いながらおにぎりをもうひとくちかじると、中からから揚げが出てきて思わずほくそ笑んだ。


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釜石と八幡と室蘭。

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にゃんにゃんにゃん

製鉄所内で部活を作ると、その姿は動物の形を持って生まれてくる。
何故動物の形なのか?というと他の神々が使いとして動物を置くのをまねたのだ。
(まあ今になって思えばそれで正しかったのかもしれんなあ)
動物がいる生活は心の潤いや癒しに繋がるし、何より猫は可愛い。
「サッカー部、」
黄色と黒のトラ猫の姿で生み出した三つの部活のうち、今も手元に残っているのは末っ子ならぬ末猫のサッカー部だけだ。
長男坊の野球部はこの世を去らせてしまったし、次男はシーウェイブスと言う名を得て独立することになった。
「お前さんの分のご飯な」
この末猫はまだまだ人のなりを得られず、ほぼ猫である。
実績を積み上げていくにつれて人に近づいていくのだがまだもう少し猫としてうちにいて欲しい気持ちもある。
しかし実績がないと廃部の憂き目に遭う事もある。難しいところだ。
「……次のスーパー猫の日までうちに居ってくれるかにゃ?」
冗談交じりにそう問えば、末猫は「にゃー」と一声鳴いた。



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釜石とねこ。
スーパー猫の日なので。

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人生を楽しむ

「またサイン貰った!」
水島が嬉しそうに色紙を持ってうちにやってきた。
私はあまり芸能人に明るくないのでよく分からないけれど、水島が嬉しそうなので「良かったわね」しか言えなくなる。
「しかも今回は!ロバート秋山のクリエイターズファイルに出るんだよ!!!!!!!」
「……ごめん知らない」
「じゃあYouTubeあがったら一緒に見よう!ネットフリックスにも上がるだろうし!」
水島が本当にうれしそうに笑うのでよく分からないなりに嬉しくなる。
貰ったサイン色紙は綺麗なファイルに収納され、記念に撮ったという写真も一緒に入れられる。
「この写真、会社の作業着だし背景社員寮じゃないの?」
「社員寮での撮影もあったからねー」
にやにやした水島が自慢げに写真を見せびらかしてくる。
「テレビの撮影来るとほんと楽しくてワクワクするよねー」
「今度から千葉さんにお願いして撮影定期的に回してもらえば?」
「もちろん言ってるよー!一度福山とセットの撮影あってもいいよねー」
楽しそうに最近の撮影の仕事に私をねじ込めないかと考えだすので、まあいいかなんて気持ちで見守るしかできない。


(こういうところ、ほんと嫌いになれないのよねえ)

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福山と水島。今回のネタ元動画

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