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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

新しい名前

「またお前さんがうちの名前を背負う日が来るとはなあ」
釜石さんがしみじみとそう呟いた。
手元にはリーグに送る名称変更に関する書類で、最後の署名捺印を済ませれば東京に送るだけとなっている。
「まあそれもまた人生って奴なんでしょう」
捺印した書類を軽く乾かす間に次の書類に目を通す。
その書類は次シーズンで使う新チーム名が日本製鉄釜石シーウェイブスであることをほかのチームに告知するためのファックスである。
ここにも自分の署名を入れておけばいたずらではない事が伝わるはずだ。
「D2以外のチームにも告知するのか」
「10月以降にプレシーズンマッチやるとこだけですけどね」
「ああ、確かにそこんとこは伝えた方が良いか」
納得したようにつぶやくと乾いた書類を封筒に入れて糊付けしていく。
これが届けば正式な名称変更が完了となる。
「そうだ。リーグの方針無視して企業名入れるんですから、資金弾んでくださいね」
「お金のことはまだ八幡と相談中でなあ、ブレイザーズもお前さんと同じこと言ってるらしいから増やせる可能性はあるが」
「頼みますよ」


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海波さんと釜石。急なチーム名変更はちょっとビビった。

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それぞれのパブリックビューイング

*短編集です
*ワールドカップチリ戦パブリックビューイングの話

・釜石にて(シーウェイブスと釜石製鉄所)
4年前、この街にやってきたワールドカップの事を今も時々夢に見る。
目前で繰り広げられたワールドクラスの試合に心震わされたあの日がまたこの場所で再現されようとしている。
パブリックビューイングに合わせて行われるイベントの設営を終えると、パブリックビューイング用の画面のテストが始まる。
建物の壁をスクリーンにして試合を投影するので機械の調子を見る必要があるのだ。
「大きい画面だなあ」
そうつぶやいたのは釜石製鉄所その人であり、その首元には日本代表のタオルが巻かれている。
「目前で行われる試合の迫力には負けますけどね」
「でも、みんなで同じ試合を見る楽しさは味わえる」
4年前のようにみんなで集まって試合を見るのが、お互い楽しみなのだ。

・府中にて(サンゴリアス+ブレイブルーパス)
4年ぶりに味わう賑わいの中、先輩が「こっち!」と俺を呼ぶ。
「先輩また良い席確保して……とりあえずビールとおつまみ3つ買っといた」
「いくら?」
「おつまみは3つで1400円、ビールは800円。おつまみは俺ももらうから1200円で良いよ」
「100円玉ないから1500円あげよう、残りはお駄賃ってことで」
1000円札と500円玉を手渡されたので「ありがとう」と受け取った。
おつまみの冷やしきゅうりを齧りながら選手のトークショーに耳を傾けていると「4年なんてあっという間だよなあ」とつぶやく。
「ほんとにね、でもこの4年で色々変わりもしたじゃん」
「日本がティア1入りなんて想像出来なかったもんな」
先輩が実にしみじみとそう呟く。
この4年で日本ラグビーがどれだけ進んだかを、この大会で世界にみせつけるのだ。

・横浜にて(TKM+イーグルス+ダイナボアーズ)
「パブリックビューイングに来て欲しい」とイーグルスくんに頼まれた時、本当に私でいいのかしら?とすこし悩んだ。
確かに横浜市民として地域のパブリックビューイングに出ることには意義がある。
しかしイベント慣れしていない私が行って迷惑をかけないかという不安が付き纏っていたのだ。
けれどその気持ちはすぐに打ち消された。 2人はイベント運営に必要な指示を行政さんからすぐに貰って動いてくれ、私が迷わず動けるように支えてくれた。
「今日のイベントは思い切り楽しめそうね」
「当然です、パブリックビューイングって楽しいイベントですから」
ダイナボアーズさんが私たちの分のお茶のボトルを持ってきてくれる。
キックオフまで、あと10分。

・清水にて(レヴズ+アザレア)
前半終了が近づいた頃、隣に座るアザレアがうつらうつらとしているのに気づいた。 時計を見れば時刻は9時半を回っており、いつもなら眠りにいている頃合いだと気づく。
「アザレア、眠くない?」
「ねむくない……」
不機嫌そうに答えているのを見ると眠気と試合を見たい気持ちとでせめぎ合っているのを感じる。
寝させてしまうという手もあるけれど、まだ精神も肉体も幼いアザレアはむしろ意固地になって寝ない!と言い張る気がする。
「ねえ、アザレア。もう少ししたらハーフタイムに入るから眠気覚ましにお茶飲みに行こうか」
こんなに小さい子の夜ふかしなんて本当はよくないだろうけど、今日は特別。
2人でカフェインの入った静岡茶を飲んで眠気を覚ましたら後半の試合もアザレアと楽しめる。
「アザレアものむ」
その答えと同時に前半終了のブザーが鳴り響いた。


・東大阪にて(ライナーズ)
花園ラグビー場はもう夜の9時過ぎだと言うのににぎやかに華やいでいる。
キューデンヴォルテクスやレッドハリケーンズも呼んだけどあいつらは家でゆっくり見たい、と言うので今日は1人だ。
こうも賑やかな場所に1人だと何とも言えない寂しさが湧いてくる。
「小腹空いたわあ」
そう言ってもおやつをくれる奴はいない。
売店に足を向ければ大行列で、仕方なく並べば家族や友人と前半の試合内容を語らう人が多く見受けられる。
(……こう言う時、1人の寂しさが身につまされるわあ)

・姫路城にて(スティーラーズ)
試合終了直前、帰りの誘導のため椅子から立ち上がると夜の姫路城が目に入った。
試合前はそれどころじゃなくて気づけなかったがこのパブリックビューイング会場からはライトアップされた姫路城がよく見える。
(ライナーズとシーウェイブスにでも写真送ったろ)
写真を撮ってラインで送ろうとすると、ライナーズから『きょううちのマシレワがすごかったよな』と言うメッセージ。
『うちのぐーくんも頑張ったやろが!』
やっぱり姫路城の写真はシーウェイブスにだけ送ったろ。


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ラグビーのある夏

「まだこの時間は暑いな」
サンゴリアスが日傘を片手にそう呟く。 試合開始を2時間前に控えた地下鉄外苑駅前はユニフォームを着た人でごった返している。
日本代表国内最終戦は秩父宮来れるメンツ全員で試合を見よう、という話になりいまここで待ち合わせている。
「夏だとまだこの時間は明るいしね」
「この時期は日が沈んでからでないとマジで命に差し障るよなあ」
代表戦が遅めの時間で良かったとつぶやくので、本当にそうだと頷いた。
「おつかれさまです」
「イーグルスか、午前中用事でもあったのか?」
「午前中ちょっと打ち合わせありまして。一度家で着替えてから来たんです」
「そりゃお疲れさんだな」
「サンゴリアスいた!」
そう声をかけてきたのはブレイブルーパスだ。
サンゴリアスを見つけると「お前面倒を俺に押し付けるのやめろよなー」と叱りつけてくる。
「いくらこの約束があるからってイベント後に挨拶行くくらいの時間的余裕あったろ?こういうの出来ないと苦労するのはお前なんだからな」
「先輩いるからいいかなーって」
「自分のことは自分でやれ!」
そうお叱りを受けるサンゴリアスは大きな身体をしゅんとさせ、それが愛らしくてふっと頬が緩んだ。
「こんばんわ」 「久しぶりだな」
同時に現れたのはダイナボアーズとブラックラムズだ。
なんで同時に?と思ったら渋谷駅で迷子になって間違えて東急線の方まで来てしまっていたのを、ブラックラムズが拾って連れてきたらしい。
ダイナボアーズ曰く、相模原の自宅じゃなくてみなとみらいの仕事場から来たから迷子になったとかなんとか。 まあ渋谷新宿は迷うよね……。
「おつかれさまでーす!」
最後に来たのはブルーシャークスだ。 こうしてちゃんと話すのは初めてだが日本代表ユニ着てるのに、何故か腕には自分ちのマスコットのぬいぐるみを抱えてる。
「清水建設江東ブルーシャークスです!到着は俺が最後ですかね?」
「そうだね、レッドドルフィンズは到着がギリギリになりそうって話だし」
今回参加を表明したメンバーはこれで全員になる。
ここまで大人数で見に行くのは初めてだがどんな風になるだろう。
「じゃあ秩父宮入ろうか」
ワールドカップ直前の代表国内最終戦という宴は始まったばかりだ。


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現時点実装済みの関東メンツわちゃわちゃ

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きょうは夏祭り

もう日も暮れたというのに熊谷のまちはまだ暑い。
せっかくだからと浴衣を着てきたアルカスに対し、半分仕事で来た俺はチームポロシャツである。
「夏祭り感ゼロじゃん」
「何割か仕事出来てるからしょうがないんだよ」
そう言いながらアルカスが代わりに買って来てくれた屋台めしに口をつける。
何とも言えないチープなソース焼きそばの塩気が身体によくしみ込んでく美味しい。
「仕事って昼の巡行に出てたってだけでしょ」
「そのあと行政さんとか関係者のあいさつ回りしてて、戻る暇もなかったんだよ」
「はー、大変だねえ」
「アルカスも大学でお世話になるのやめてフリーターになればわかるよ」
オフシーズン中は自分と関わり深い立正大さんに養われつつ学生をやってるアルカスとは違うのだ。
と言うかあの人もよくまあずっとアルカスの面倒見れるよな……。
面倒になったので焼きそばを食べつつビールを飲んでいると、アルカスが「あ、」とつぶやく。
遠くからお囃子と光を纏った山車が四方から近づいてくる。
「叩き合いが来るよ」
四つの山車が向かい合い、自らの威勢を見せつけるようにお囃子をかき鳴らしキラキラと山車が輝いた。
この街に移ってから初めて見るうちわ祭りの叩き合いは例年より煌びやかだ。
何より観客もこの煌びやかな空間に目を奪われている。
「ワイルドナイツってうちわ祭りはじめてだっけ?」
「太田にいた時見に来たことはあるけど夜の巡行祭は初めて」
「じゃあ明日夜のひっかわせも見に行こう」
アルカスがにやりと笑う。
生まれながらの熊谷人であるアルカスが「本物のうちわ祭りを見せたげるよ」と言うので「じゃあ、お願いしようかな」と口にした。


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ワイルドナイツとアルカス
夏祭りといえば夜のイメージです。

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野球の季節とラガーマン

ラガーマンにとって夏はオフシーズンなので日本代表戦を見る以外はただただ仕事をこなす季節である、いや合宿とかもあるけど。
まあ比較的余裕のある季節なので全く関係ないイベントに呼ばれる事もままある。
「……東京ドームって何回来ても迷うなあ」
都市対抗野球の応援の手伝いとして呼ばれた僕はトランペットを抱えながら、応援席を探して歩き回っていた。
「レヴズ?」
「シーウェイブスさんなんでいるんですか?!」
「旅行で東京に来てたら応援に駆り出されてな」
「応援って、相手鹿島ですよ?」
「血縁じゃあないが鹿島もいちおう日鉄だからな」
そう言われればそうだった、どうもうちの親と接点の薄い業種だと覚えられないよなあ……。
シーウェイブスさんは応援グッズにビールと牛串やモツ煮などのセット、僕の方も身内の応援グッズで揃えてるからお互い見慣れぬ服装である。
「でもこんなとこで会えて嬉しいです」
「そうだな。ああ、あとお前さんのお兄さん来てるならうちの応援団とタイミング合わんようにした方がいいぞ」
「なんかありました?」
「鹿島さんとアントラーズが来てるんだが、ジュビロの身内になんか負けないぞー!って妙な気合い入れててなあ……鹿島さんはともかくアントラーズはすぐ帰るから帰り駅で鉢合わせたら面倒そうで」
「うちの兄さんとアントラーズさんってライバルでしたしねえ、Nボックスとかやってた時期なんでだいぶ昔ですけど」
「N-BOXはホンダの車だろ?」
「あー……まあいいや。とりあえず鉢あわないようにしときます」
「じゃ、応援頑張れよ」
そう告げると反対側へと抜けていき、それを見送りながら今日は純粋に観戦を楽しんでもいいかなあと思うのだった。


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レヴズとシーウェイブスと社会人野球の話。

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