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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

祭りばやしの中で

どんたくの賑わいも四年ぶりとなると例年以上に浮かれているように思う。
肩車に乗せたナナイロプリズムもこの浮かれ気味の空気にそわそわしていて、それがかわいく思える。
「どんたく、初めてやもんなあ」
「うん!」
綺麗な衣装で踊り歩く人々に目を奪われているのが見ずともわかる。
その辺はやっぱ女の子よなあ、なんて思いながらその賑わいを見つめている。
(……4年前のどんたくは、ブルースやレッドスパークスがおったのになあ)
親の手伝いに追われていたら2人からどんたく見に来たなんて連絡が来て、一緒に回ったのだった。
まさか次のどんたくの時には2人がいなくなるなんて想像もしていなかった。
「ねー、お腹空いた」
しんみりした気持ちを知ってか知らずかナナイロプリズムが急にそんな事を言う。
肩から降ろしつつ「何喰う?」と聞けば「ラーメン!」と元気な答え。
「んー、この辺で旨いとこってどこやろ」
うちの親に聞いてみようかとスマホを開けば、もうすぐパレードの準備のために合流する時間だ。
まずい、もう戻らないと。
「時間ないから屋台もんで済ましてええか」
「え~」
納得いかない声を上げてくるナナイロプリズムを宥める方法も思いつかず、もうこうなったら腕に抱えて親のところに向かう。
「終わったらいくらでもラーメンおごるから!」
この子がいると孤独を寂しがる余裕もないらしい。


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キューデンヴォルテクスとナナイロプリズム。
前回どんたくの話書いたときは未実装だったのになあ(遠い目)

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東京の夜の中で

ちょうど東京に行く機会があったので、ついでに試合を見に行こうと思った。
単独行動の許可を取ってサンゴリアス対スティーラーズ戦のチケットを取ると、最低限の荷物だけを手に秩父宮の立見席に滑り込む。
夜の秩父宮は肌寒くも賑やかで、その賑やかしさがちょっとだけ羨ましくもある。
(……まあ人口が違うしなあ)
うちでもナイターやれたらいいのになあ、などと無責任なことを考えつつ選手たちの試合前の練習に目を向けていたその時だった。
「シーウェイブス!なんでおるん?!」
給水係のビブスを着たスティーラーズがこちらの方に駆け寄ってきた。
「今日スピアーズとの練習試合でこっちに来ててな、勉強がてら見に来た」
「先言うてや、姐さんの分の席余っとるし言うてくれたら譲ったのに!」
「身内席はお前の身内で使っとけ」
「同業他社の友人は広義の身内やわ」
ぶつくさ言いつつ「まあお前が来てくれるなんてめったにあらへんからええけど」と呆れ気味に言う。
「試合後、飲みに付き合いや」
「新幹線の時間的に無理だな」
「じゃあ後で感想聞かせ、サンゴリアスとも共有するから」
雑談もそこそこに選手の元へ戻っていくスティーラーズを眺めながら、さっき買ったビールをひとくち飲む。
ナイターが持つ独特の雰囲気は代えがたいものがあり、まして春の夜となれば桜の花も風に乗って飛んでくるのがいい。
グラウンドの隅のほうにいたサンゴリアスとも目が合ったので軽く手を振り交わす。
試合が始まるまで30分、国内トップクラスの選手たちのアップを見るのもいい勉強だ。
「今日はいろいろ学べるといいな」



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シーウェイブスとスティーラーズ。
ちょうど偶然同じ日に東京にいたのでそういうネタです。

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花火と恋の歌

春の宵闇に花火の打ちあがる音が響くと、自然に歓声が上がる。
「試合後の花火とかよくやるよなあ」
「お客さんに来てもらわないといけませんから」
色とりどりの花火が咲いては散っていくのを見ながら「夏以外の花火もいいもんだな」とブレイブルーパスさんが言う。
選手もスタッフも観客も花火に目を見開くのが嬉しくて微かに頬が緩む。
「そういやさ、花火の歌って恋の歌も多いよな」
「whiteberryとか米津玄師とかそうですよね」
「だから今日選手のコイバナトークイベントとかプロポーズイベントしてた訳?」
試合前にあったイベントの話を持ち出してきたブレイブルーパス先輩に「そんなとこです」と笑ってごまかす。
「俺らは恋とかそんなしてる暇もないけどプロポーズのやつとか見てて幸せな気分になれるよな」
「恋はするものじゃなくて落ちるものですよ」
僕がそんなことを言うと「そういうもんなのか?」と素直に尋ねてきた。
(ブレイブルーパスさんはそういうのと縁遠そうだもんなあ)
その良し悪しは判断に迷うけれど、その問いに対する答えには迷うものがあった。
「うちの社長がそう言ってました」
素直に答えにくくて社長のせいにすると「人の言葉かよ」と返ってくる。
恋というやつが花火のように一瞬で散ってくれるものならばどれだけ気が楽だっただろう。
「あ、いた!」
そう言って駆け寄ってきたアザレアを捕まえると、暖かい家族の匂いがする。
腕に抱えて花火がよく見えるようにしてやるとわあっと嬉しそうな声を上げる。
「花火、うちの妹にも見せてやりたいな」
「僕は歓迎しますよ」
その腕に抱えた温かさと重みを感じながら僕はそう笑った。


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レヴズとブレイブルーパス。試合後の花火見たかったな~(無理)

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ふりだし

「この度は本当にご迷惑をおかけしました」
玄関を開けると、レッドドルフィンズが深々と頭を下げて手土産のお菓子を差し出してくる。
ご迷惑の心当たりはひとつだけあるがもう終わったことのつもりだった。
「……あの件ならもう協会から審判も下りた、今更詫びられても困る」
「そうかもしれませんが、僕としてはこうしてちゃんとダイナボアーズさんに詫びを入れない事には気が晴れなくて」
その一言で心にかすかな靄が浮かんでくる。
少し意地の悪いことを言って困らせてやろうかというささやかな復讐心である。
「つまりそれは、レッドドルフィンズが自分のために頭を下げに来たということだろう?」
あの件ではこちらも迷惑を被ったし、D2の面々も同様に迷惑を被ったはずだ。
彼らにも詫びを入れるのが筋じゃないのだろうか?
「……そうかもしれません。ですが!」
それまで頭を下げていたレッドドルフィンズが体を起こし、目を見てこう告げた。
「新選組の誠の文字を一度でも背負ったものとして、正しくありたいと思ったんです」
以前見た赤に新選組をイメージしたダンダラ模様のデザインのシャツを思い出した。
「俺に詫びを入れることがその第一歩ということか」
「はい、D2メンバーや関係者の皆さんにもちゃんとお詫びに行くつもりです」
「なら俺に構わず他の者にも詫びに行くべきじゃないのか?」
レッドドルフィンズは虚を突かれたように一瞬ぽかんとしてから「ありがとうございます」と頭を下げた。
お菓子を受け取るとレッドドルフィンズは再び会釈をして去っていく。



(……ちゃんと更生してくれるといいんだがな)

人生にはやり直しが効くが、やり直しのチャンスは決して多くない。
その少ないチャンスをしっかりと正しくまっすぐに生きていくことが彼の新しい始まりなのだから。

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ダイナボアーズとレッドドルフィンズ。
今日から活動再開らしいので、ほんと次こそはしっかりしてくれよ(懇願)

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だって今日は寒いので

東京・江戸川区陸上競技場は試合後の片付けが終わってもまだ冷たい雨が降っていた。
「お風呂行きたい」
イーグルス君が寒さに震えながらそんなことを言うので無性にお風呂に行きたくなった。
「わかる」
「サウナでもいいからとにかく風呂で身体を温めたいですよね」
ずぶ濡れとまではいかないけど足回りは雨で冷え、ポンチョで蒸れて汗もかいてる。
(ただこの辺ってあんまり温浴施設ないはずなんだよなあ~)
いますぐお湯で身体を温めたいのに何にも思いつかないのがツラすぎる。
「ヘイsir、この辺の温浴施設を調べて」
「かしこまりました」
もうお風呂の気分が固まってしまったのだろうイーグルス君の動きは速かった。
最も近い温浴施設を調べて僕を運転席に座らせると「僕この辺の土地勘ないんで運転お願いしますね」と押し付けてきたのである。
「……容赦ないね」
「勝ち点あげたんだからいいじゃないですか。あ、今住所ナビに入れたんで」
「もうそれ土地勘関係ないよね?別にいいけどさ」

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目的地はいかにも昔ながらの銭湯という風情のところで、入湯料の支払いもそこそこに熱いお湯に浸かれば一気に体が温まる。
「……お風呂っていいねえ」
「クラブハウスのお風呂とは違う風情がありますよね」
冷えて感覚の鈍った指先をお湯で温めながらふと目前のペンキ絵に目が行った。
富士山に三保の松原という定番のペンキ絵で思い出すのはイーグルス君のユニのことだ。
「そういやイーグルス君のユニって北斎柄だけど好きなの?」
「んー、北斎が好きかと言われると悩みますけど今のユニは気に入ってますよ」
「確かにあれかっこいいもんねえ」
「よかったらレプリカ買います?」
「しれっと買わせようとしないでよ」
ちゃぽちゃぽとお湯と戯れながら、お互いの身体を見比べると小さな擦り傷や切り傷が見えた。
あんまり関わりのない後輩ではあるけれどこういうの見ると同じだなあと思うのだ。
「そういやお風呂代後で返してね」
「ブラックラムズ先輩ならこういう時奢ってくれるんですけどね」
「俺は奢りませ~ん」



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スピアーズとイーグルス。
今日マジで寒すぎません???????現地観戦勢強すぎる

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