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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

新しい名前

「またお前さんがうちの名前を背負う日が来るとはなあ」
釜石さんがしみじみとそう呟いた。
手元にはリーグに送る名称変更に関する書類で、最後の署名捺印を済ませれば東京に送るだけとなっている。
「まあそれもまた人生って奴なんでしょう」
捺印した書類を軽く乾かす間に次の書類に目を通す。
その書類は次シーズンで使う新チーム名が日本製鉄釜石シーウェイブスであることをほかのチームに告知するためのファックスである。
ここにも自分の署名を入れておけばいたずらではない事が伝わるはずだ。
「D2以外のチームにも告知するのか」
「10月以降にプレシーズンマッチやるとこだけですけどね」
「ああ、確かにそこんとこは伝えた方が良いか」
納得したようにつぶやくと乾いた書類を封筒に入れて糊付けしていく。
これが届けば正式な名称変更が完了となる。
「そうだ。リーグの方針無視して企業名入れるんですから、資金弾んでくださいね」
「お金のことはまだ八幡と相談中でなあ、ブレイザーズもお前さんと同じこと言ってるらしいから増やせる可能性はあるが」
「頼みますよ」


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海波さんと釜石。急なチーム名変更はちょっとビビった。

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「わ」と「は」

*どうでもいい小ネタです

八幡「最近ずっと考えてることがあるんですけど聞いてくれます?」
釜石「まあ別にいいぞ」
八幡「私の名前、ちょっと呼んでもらえます?」
釜石「やはた?」
八幡「……やっぱり釜石もはなんですね」
釜石「そういやお前昔はやわただもんな」
八幡「ええ、ここ50年くらいやわたって呼ばれた記憶がないなと思って休憩時間に調べてみたんですよ」
釜石「調べるってのは?」
八幡「まずは一般の辞書で読み仮名を確認してみたんです、そしたら大辞泉 もブリタニカもweblioもやはた表記なんです。ちなみにWikipediaは併記でした」
釜石「うん」
八幡「次にNHKを確認してみると、これも振り仮名はやはた」
釜石「こう考えてみると今結構やはた表記が主流かもな」
八幡「ついでに知り合いにアンケート取ったら約8割がやはた呼びなんですよ」
釜石「今はもう完全にやはたで定着してるよな」
八幡「そうなんですよ!それで記憶を掘り返してみたんですけどいったい私はいつからやわたからやはたになったのか、一切思い出せないんですよ……!」
釜石「それを考えてたのか。ちょっと待て(ガサガサ)」
八幡「?」
釜石「あった、登記簿だ。少なくとも八幡製鐵はやわたって振り仮名になってるな」
八幡「それに今でもパンフレットの振り仮名はやわたなんですよね。一応公式にはやわたのままなのに世間ではやはたで定着しちゃってますよね」
釜石「そうだな、それにわしもいつからお前をやはた呼びしてたのか記憶にないな」
八幡「……言葉は変化すると言えど気づくと愕然としますね」
釜石「本当にな。ちなみにお前さんはどっちで呼ばれたいとかあるのか?」
八幡「日常においてはどっちでもいいんですけど、やわたって呼んでもらう方が地名と混ざらないのでやわた呼びのほうがいいですかね」



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特にオチはない。 アンケートはツイッターでやったやつです

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瀬戸内を眺めて

*今年の春先ぐらいのお話だと思って読んでください

周南からアフタヌーンティに誘われたので一緒に行くことになった。
元は他社ではあるもののの今は同じ会社でしかも近所という事で、たまーにお茶に行くことがあった。
何よりこうしてお茶に誘われるようになってから、意外に趣味も近いことが分かってきたから一緒にお茶しに行くのも苦じゃない。
「でもよくこんなとこ見つけて来たわね」
「こういうとこ好きだからねえ」
今回は瀬戸内海の見えるホテルのレストランが期間限定で行っているイチゴのアフタヌーンティー。
値段は張るけどたまにの贅沢だからいいのだ。
「でも前から思ってたんだけど、呉さんとはこういうところ来ないの?」
「呉は同じ価格帯ならちょっといいご飯食べたいってタイプだから、嫌いではないんだけど値段とか場所で敷居を高く感じちゃうみたいで。
桜島は大阪近辺なら一緒に行ってくれるよ大阪まで行くのがね~」
「あー」
広畑辺りも同じこと言いそうだなあと思いながら最初の一杯を注いでもらう。
話をしていると春摘みのダージリンの香りがふわりと香ってくるのがたまらない。
「かといってこういうところって一人で行くのも味気ないでしょ」
「それは確かに」
「だから最初光が興味あるって聞かなかったらずっと行けずにいたかも」
(コロナが流行る少し前、全社会議中の暇つぶしで紅茶の話になってその流れでアフタヌーンティーの話が出たんだっけ)
記憶を掘り返しながらまずは紅茶でのどを潤す。うん、美味しい。
ついでスコーンにも手を伸ばすと「ジャムとクロテッドクリーム、どっち下にする?」と聞いてきた。
「私はクリームが下かなあ」

「一緒だ。桜島は逆だったんだけど美味しいのって聞いたら『クリームが濃くておいしいって』いうから試したんだけど、クリーム上の方が濃くなるんだよね」
「でもクロテッドクリームって結構こってりしてるから私は下でいいかなあ」
そう言いながらスコーンにクリームとジャムを乗せると「好みだねえ」とつぶやく。
「まあ特にオチはないんだけど」
「こういう話って八幡や広畑は聞いてくれないのよねえ」
「八幡さんとかただダラダラ話を聞かされるの苦手そうだもんね」
「昔から八幡ってそういうとこあるのよね。なんというか、とりとめのない雑談したくても『で?』って聞いて全部終わりにさせちゃう感じ」
「わかる~!呉や次屋は割と辛抱強く聞いてくれるんだけどね」
「2人の事よく知らないけどいい人なのは伝わるわね」
「うん、すっごくいい人だよ」
お茶で喉を湿らせながらふいに思う。
こんなとりとめのない雑談をただただ延々とできるって、きっと幸せなことだ。



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光と周南。この2人が仲いい話を書きたくなったので。

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最後だと分かっていたとして

三連休は呉のところで過ごすつもりでいたのに、ちょっと前倒しになりそうだと聞いたので急遽休みを交代してもらってきょう行く事にした。
「呉!」
愛しい人の名前を呼ぶとその目にすこし光が戻って来て小さな声で名前を呼んでくれた。
「どうしてここに?土曜日に来るんじゃ……」
「休みを交代して貰ったんだ」
「無理を言っちゃったかな」
ポツリと呉が僕を見てつぶやく。
「大丈夫だよ、みんな分かってるから」
東予や桜島・次屋も呉と会って話せるのはこの三連休が最後だろうという覚悟はしていた。
広畑も仕事に大きな支障が出ない限りどこで誰と会おうと咎めない、と言っていた。
だからちゃんと交代して貰った上で来てるのだから大丈夫だ。
「周南、」「うん?」
呉が僕を撫でてきた。
働き者の無骨な手はちょっとざらついていて、でもすごく温かい。
「すきです」
「うん」
「出逢った時から今日のいままで、周南が好きです」
愛しい人の愛の言葉を脳髄の隅々に至るまで染み込ませるように、呉は繰り返し愛の言葉を告げてくれる。
呉の製鉄所としての機能はきょうで終わり、解体が始まればきっともう会うことも声を聞くこともできない。
だからせめて溢れるほどの愛を乞うのだ、

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呉周南の、最後かもしれない日のはなし。

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それぞれのパブリックビューイング

*短編集です
*ワールドカップチリ戦パブリックビューイングの話

・釜石にて(シーウェイブスと釜石製鉄所)
4年前、この街にやってきたワールドカップの事を今も時々夢に見る。
目前で繰り広げられたワールドクラスの試合に心震わされたあの日がまたこの場所で再現されようとしている。
パブリックビューイングに合わせて行われるイベントの設営を終えると、パブリックビューイング用の画面のテストが始まる。
建物の壁をスクリーンにして試合を投影するので機械の調子を見る必要があるのだ。
「大きい画面だなあ」
そうつぶやいたのは釜石製鉄所その人であり、その首元には日本代表のタオルが巻かれている。
「目前で行われる試合の迫力には負けますけどね」
「でも、みんなで同じ試合を見る楽しさは味わえる」
4年前のようにみんなで集まって試合を見るのが、お互い楽しみなのだ。

・府中にて(サンゴリアス+ブレイブルーパス)
4年ぶりに味わう賑わいの中、先輩が「こっち!」と俺を呼ぶ。
「先輩また良い席確保して……とりあえずビールとおつまみ3つ買っといた」
「いくら?」
「おつまみは3つで1400円、ビールは800円。おつまみは俺ももらうから1200円で良いよ」
「100円玉ないから1500円あげよう、残りはお駄賃ってことで」
1000円札と500円玉を手渡されたので「ありがとう」と受け取った。
おつまみの冷やしきゅうりを齧りながら選手のトークショーに耳を傾けていると「4年なんてあっという間だよなあ」とつぶやく。
「ほんとにね、でもこの4年で色々変わりもしたじゃん」
「日本がティア1入りなんて想像出来なかったもんな」
先輩が実にしみじみとそう呟く。
この4年で日本ラグビーがどれだけ進んだかを、この大会で世界にみせつけるのだ。

・横浜にて(TKM+イーグルス+ダイナボアーズ)
「パブリックビューイングに来て欲しい」とイーグルスくんに頼まれた時、本当に私でいいのかしら?とすこし悩んだ。
確かに横浜市民として地域のパブリックビューイングに出ることには意義がある。
しかしイベント慣れしていない私が行って迷惑をかけないかという不安が付き纏っていたのだ。
けれどその気持ちはすぐに打ち消された。 2人はイベント運営に必要な指示を行政さんからすぐに貰って動いてくれ、私が迷わず動けるように支えてくれた。
「今日のイベントは思い切り楽しめそうね」
「当然です、パブリックビューイングって楽しいイベントですから」
ダイナボアーズさんが私たちの分のお茶のボトルを持ってきてくれる。
キックオフまで、あと10分。

・清水にて(レヴズ+アザレア)
前半終了が近づいた頃、隣に座るアザレアがうつらうつらとしているのに気づいた。 時計を見れば時刻は9時半を回っており、いつもなら眠りにいている頃合いだと気づく。
「アザレア、眠くない?」
「ねむくない……」
不機嫌そうに答えているのを見ると眠気と試合を見たい気持ちとでせめぎ合っているのを感じる。
寝させてしまうという手もあるけれど、まだ精神も肉体も幼いアザレアはむしろ意固地になって寝ない!と言い張る気がする。
「ねえ、アザレア。もう少ししたらハーフタイムに入るから眠気覚ましにお茶飲みに行こうか」
こんなに小さい子の夜ふかしなんて本当はよくないだろうけど、今日は特別。
2人でカフェインの入った静岡茶を飲んで眠気を覚ましたら後半の試合もアザレアと楽しめる。
「アザレアものむ」
その答えと同時に前半終了のブザーが鳴り響いた。


・東大阪にて(ライナーズ)
花園ラグビー場はもう夜の9時過ぎだと言うのににぎやかに華やいでいる。
キューデンヴォルテクスやレッドハリケーンズも呼んだけどあいつらは家でゆっくり見たい、と言うので今日は1人だ。
こうも賑やかな場所に1人だと何とも言えない寂しさが湧いてくる。
「小腹空いたわあ」
そう言ってもおやつをくれる奴はいない。
売店に足を向ければ大行列で、仕方なく並べば家族や友人と前半の試合内容を語らう人が多く見受けられる。
(……こう言う時、1人の寂しさが身につまされるわあ)

・姫路城にて(スティーラーズ)
試合終了直前、帰りの誘導のため椅子から立ち上がると夜の姫路城が目に入った。
試合前はそれどころじゃなくて気づけなかったがこのパブリックビューイング会場からはライトアップされた姫路城がよく見える。
(ライナーズとシーウェイブスにでも写真送ったろ)
写真を撮ってラインで送ろうとすると、ライナーズから『きょううちのマシレワがすごかったよな』と言うメッセージ。
『うちのぐーくんも頑張ったやろが!』
やっぱり姫路城の写真はシーウェイブスにだけ送ったろ。


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